喜び17
前回は
いや、わかってたよ、ずっと絵を描いている人には勝てないって。
でも諦めたくない。
母さんに報告した。
「あらー頑張ってたのにね、どうするの?また受験する?」
未来の話は今はしたくないな、ちょっと一人で考えるよ、応援ありがとう。
幸いにもう一度受験できるくらい、入学したって、難なく生活できるほどの家に生まれていたからよかったけれども、死に物狂いで受験していたライバルもいたわけだから、そう考えると考えが甘いことなんてわかってた。
金持ちの道楽、その言葉が頭に浮かんだ。
僕は所詮、金持ちのボンボンだ。
愛子にも報告に行こう。
愛子に会いに行く時はいつも、会いたくて仕方がない感じなのだけれども、今日は少し嫌だ、どう報告したって、不合格は不合格。
「不合格だったよ、応援してくれていたのにごめんね、、、、」
さすがに母さんには見せられなかった涙がしとしとと、こぼれ落ちてしまった。浅はかな自分と環境に甘えていた自分と、努力が足りなかった自分、色々な弱い自分が涙と一緒に落ちていくのがわかった。
「落ちると思ってたわよ、あなたはなんでもできるんだもの、そりゃあ、根拠のない自信だって持つだろうし、私だって、あなたのそういうところ、好きだもの、でも、弱い人の気持ちわかった?お金がないだけで不幸になる人間だっているのよ、受験さえできなかった人だっている、親に反対されてとか、いろいろ。」
愛子はいつも冷静だ、僕はそこに惚れている。
愛子が居てよかったよ、まだ僕はやれる、今日はカラオケにでも行かないか?
いいわよ
よろぴく!