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デン・ハーグの公園でどん底に落ち込んでいる子がいた・・・生きることが辛い人へ

デン・ハーグのマウリッツハイス美術館で絵画を鑑賞した。

アムステルダムに戻るために駅に向かっていたのだが、公園でひどく落ち込んでいる若者の後ろ姿が目に入ったので、声をかけて慰めてやらなきゃと思った。

Den Haag | 2023年12月 | 筆者撮影

「おおーい、そこの若者よ!どうしたんだい?オバチャンが話を聞いてあげようか?」(おせっかいオバチャン登場・・・笑)

ところがこの子は、もう立ち直れないぐらい絶望していたのだった(涙)

Den Haag | 2023年12月 | 筆者撮影

ああ、ごめんね。
誰も助けてあげられなかったのね。
なんでそんなことになってしまったのかな。。

黄色いパーカーの端にはタグが付いている。そこにはオランダ語で以下のように書かれていた。

Zelfdoding is doodsoorzaak nummer 1 bij jongeren onder 30 jaar

Den Haag | 2023年12月 | 筆者撮影

私はオランダ語はほとんど知らないが英語とドイツ語の知識を総動員すればこれは十分読める。

そして、今この記事を書くために、現地で撮った写真を拡大してみたら下に小さく英訳が添えられていることに気がついた。

Den Haag | 2023年12月 | 筆者撮影

「30歳以下の死因No.1は自殺です」

周辺の小さな白いロウソクは亡くなった若者たちの数を示すのだろうか?タグのQRコードにアクセスしていないので、このプロジェクトの詳細は確認していない。

いくつか写真が置いてあった。遺族あるいは友人が提供したのだろうか?

こんなにオープンで多様性のあるオランダ社会でも何かに絶望して死を選ぶ若者がいる。

短い二度目のオランダ滞在だったが、気になった点がある。

最近はドイツ語圏に旅先が偏っているが、オランダとドイツは似ているようで全然違う。今回はオランダの飛行機(KLM)に乗った途端、やけにテンションの高い明るいアナウンスに驚いてひっくり返りそうになってしまった(笑)あれれ?ドイツに近いドイツ的なところに行くつもりだったのに、間違えて南米かどこかラテンの国に行く飛行機に乗ってしまったのだろうか?

この旅では、オランダは明るい人ばかりだと感じた。ホテルのスタッフの楽しげな様子は、まるで毎日パーティーをしているようだった。もしかしたら、いつもハッピーに笑顔で過ごすために皆んな必死になっているのでは・・・というのは私の見方が斜め過ぎるせいだろうか?

根がネガティブな私としては、ポジティブ推しな社会は少々生きにくいかもと思ってしまう。その点、ドイツ語圏やフランスあたりは憂鬱な気分も許してくれそうな気がする。そんな憂鬱な気分から音楽や文学などの芸術が生まれるのだとさえ思う(超クラオタ的発想!)

はっきり言って人生などそれほど面白くない!
生きることが素晴らしいなんて私は思わない!
ネガティブな気分こそ人間らしさではないか!
ネガティブバンザイ! ネガティブバンザイ!

だから、ネガティブな自分を否定する必要など全くないと思うのだ。誰だって、そんな気分のときもある。それなのに、もし、ポジティブに明るく振る舞うことを強要されるとしたら、それはかなりシンドイだろう。

それでも、これだけは書いておきたい。

こんなにネガティブな私でさえ、どのような事情か分からないが人生に絶望して命を絶つ若者がたくさんいるなんて悲しいことだと思う。悲し過ぎる。泣けてくる。2〜3年でガラリと状況が変わって「あの時、早まらなくて良かった」と思う可能性も大いにあるのに。

何とかして生き延びて欲しい。死ぬまでにやりたいことリストでも作って、死ぬのは先延ばしにしませんか?

明るく前向きに素敵に生きなくても別に良いです(笑)
イヤイヤ気分で堂々と生きましょう(笑)
生きるのも面倒だけど、死ぬのも面倒だから、だったら生きてみましょう(笑)
どうせ面白くない人生なのだから、ちょっとだけ面白くする工夫でもしてみましょう(笑)
ガハハと大笑いできなくても良いから、クスッとかニヤリとか小さく笑えることでも見つけて、積み重ねていきましょう(笑)

あのう、もし良かったらクラシック音楽の世界に来てみませんか?
(ここで突然、さりげなくクラシック音楽の世界に誘惑する。)

偉大なる作曲家たちの中にも生きにくさを抱えていた人が多かった。それでも生きた。苦しい人生の中で、何度かは幸せな瞬間も訪れた。作曲家の人生を調べれば分かる。辛い時期に作曲された作品は時代を越えて今も愛されている。そんな作品をぜひ鑑賞しよう。

クラシック音楽は不思議な世界だ。一般的な歌ではタブーとされる死にたい願望や復讐心などを堂々と歌ってしまうのだ!こんな気持ちは自分だけではなく、人間として普通に持ってしまうこともある感情なのだと気付く。音源と一緒に熱唱するのもかなり快感だ!オススメする!(もし希望者がいれば、オススメの歌を紹介する記事を投稿する。)

クラシック音楽は、辛い気持ちを無理やり捻じ曲げて明るく振る舞うことを強要しない。辛い気持ちを受け入れてくれる音楽である。

鬱々と生きた作曲家たちと比べると、今ステージで活躍する演奏者たちは比較的ポジティブで明るい人が多いように思う。でも、彼ら彼女らは、繊細な作曲家たちの想いに共感し、心を動かされて、その想いを表現したいと強く望んで努力することを惜しまない、優しい人たちなのだ。悲しんでいる人たちに寄り添ってくれるアーティストを心から尊敬する。

繰り返しになるが、私は人生など面白くないと思っている(笑)
しかし、大好きなクラシック音楽のことを考えると人生は短過ぎると思う。

作曲家たちの遺した作品が多過ぎるのだ(笑)
しかも1作品あたりの演奏時間が長過ぎる(笑)

交響曲なら1時間、オペラなら2〜3時間、いや4時間以上かかる作品もある。それに、一般に知られている有名作曲家よりはるかに大勢の作曲家がいる。演奏者の個性、作品の解釈の違いなどに興味を持てば、さらに鑑賞時間を要する。作品を深く知り、より音楽に浸るために、ヨーロッパの歴史、文化、思想、文学、言語・・・あらゆる知識が欲しくなり、時間が全然足りないことに気付く。

そうなってくると、明日死んでも良いかもという思いは吹っ飛ぶ。私は長生きをしたいとも思わないけど、出会うべき作品と死ぬまでに出会えなかったら、やっぱり後悔しそうなので、生きている間は積極的に作品探訪を続けたい。できるだけ沢山の作品と出会いたい。調べて分析して音楽に没頭したい。まだ道のりは長い。

悶々と悩み続ける時間も時には必要かもしれないが、何かやることを見つけて自分を忙しい状態にする (keep yourself busy) のも良いのではと思う。そうすると、あっという間に時間は過ぎていく。何かに集中することで少しの間だけでも嫌なことを忘れる。

クラシック音楽でなくても良いので、退屈な人生で楽しむ気晴らしが見つかりますように。

Den Haag | 2023年12月 | 筆者撮影




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