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Masanao Kata
2021年1月22日 23:22
「葬られたる秘密」(生誕170年の小泉八雲に捧ぐ)抽斗に閉じ込めた彼女の記憶が息を潜めている世に「秘すれば花」とは言うけれどその大きな箪笥の中で遮られた時間こそ 揺れ動く盗まれた手紙でありもしくはボヘミアの醜聞のような甘い芳香が小鼻を撫でるこの案じられるがままに眠りに咲く白粉花はやがて苦悩の化身が現れて念じられるうちに摘み取られてしまう煙は高くて 灰に散る話Masanao
2021年1月20日 02:48
「Not」開かない扉をノックして、弾けない鍵盤を押してみて、書けないペンで手紙を書いて、空のカップのコーヒーを飲み干した。陽射しだけが優しかったから、許された日を探しに行きます。Masanao Kata©️ 2021Anywhere Zero Publication©️ 2021
2021年1月1日 18:52
「嫌な日」目を覚ました。今日は嫌な日だ。それでも動かなきゃ。俺のソーラーパネルは充電を始めてしまった。有り合わせの言葉を詰め込んでさ。硬い箱に詰め込まれてね。無益なパネルディスカッションが待っている。なんだか忙しなく 煮たり焼いたりメスティンに詰めた食材かと思ってしまう時がある。結局、月は帰ってくるのかと訊ねた。Masanao Kata©️ 2021Anywhere Z
2021年1月1日 18:50
「四十雀」ぼくの詩の神様は「詩人は四十から」と仰っていたが齢四十を過ぎても僕の詩は実りを知らずもしや詩人は四十雀なんじゃないかと仮説を立てた四十雀はその道の学者先生の研究に拠ると語順を正確に理解してその啼き声を駆使するそうだその音で仲間への伝達を行うらしい市街地の緑の中に棲んで言葉を使えば羽ばたくことも出来るだなんて鳥で収めておくには勿体ないだから四十雀は都会の詩人なの
2021年1月1日 18:30
「氷った男の話」未来以上の未来を求める時こそあらゆる沈黙が目を醒ます民衆はあの駅前広場でわからないことを信じるべきだったのかつまらないことを履き違えるべきだったのか扉を開く鍵なんてものは常にひとつの存在であった衝動は冷たい部屋の中で震える舌を引き抜くべきだったのかああ 声が見えないよああ 姿が聞こえないんだこんな自分なら溶けてしまえ未来以上の未来はつきまとう嫌いに