詩117「葬られたる秘密」

「葬られたる秘密」
(生誕170年の小泉八雲に捧ぐ)

抽斗に閉じ込めた彼女の記憶が息を潜めている
世に「秘すれば花」とは言うけれど
その大きな箪笥の中で遮られた時間こそ 揺れ動く盗まれた手紙であり
もしくはボヘミアの醜聞のような甘い芳香が小鼻を撫でる
この案じられるがままに眠りに咲く白粉花は
やがて苦悩の化身が現れて
念じられるうちに摘み取られてしまう
煙は高くて 灰に散る話



Masanao Kata©️ 2020
Anywhere Zero Publication©️ 2020

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