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第5章<成長する>人材開発の加速化におけるエグゼクティブ・コーチの役割は明確する

1.エグゼクティブ・コーチングに何を期待すべきか?

経営幹部階層の職務や役割に向けて能力開発を加速化すると、リーダーはすぐに、かつての成功を助けてくれた支援の仕組みがなくなっていることを知る。彼らにアドバイスをする視点やスキルをもち、時間を割いてくれる人は減る。そして、考えてもいなかった複雑さに直面する。リスク、可視性、支持者、管理の範囲などの変化が、意思決定をしたり効果的な行動を取ったりする能力にどのように影響を及ぼすのか、彼らには予想できない。過去に成功をもたらしてくれた方法も、もはや同じ効果を持っていない。重圧と孤立感があいまって、支援してくれるコーチを求める気持ち(あるいは必要性)が高まっていく。


エグゼクティブ・コーチという肩書は、幅広いカテゴリーの専門家につけられる。だが人材開発の加速化におけるコーチの役割は明確である。成長を加速化させる強い影響力を持つカタリスト(触媒)であり推進役である。そのため、エグゼクティブ・コーチの選出と配置、評価は、その役割を果たす能力があるかどうかで決まる。コーチをつける目的は、新しいリーダーの準備度の加速を支援すること、重要な職務に欠かせないスキルを開発すること、あるいはビジネスの危機の真っただ中で困難な課題に直面しているベテラン幹部を支援することである。コーチングは、若手であろうと経験を積んだ幹部であろうと、以下のような学習者に価値を与える。

・キャリアの大きな飛躍をしようとしている。
・新しいスキルを迅速に習得しようとしている。
・新しい経営幹部チームに異動しようとしている。
・新しいチームを集めようとしている。
・業績の危機を脱しようとしている。
・リスクの高い職務を担おうとしている。
・新たなビジネスプロセスや取り組みを始めようとしている。
・人間関係の課題(同僚と、境界線を越えてなど)を経験している。
・自身の阻害要因を克服しようとしている。

コーチの目標は、ビジネス上のニーズと個人の責任、個人の強みと弱みを勘案して、当人が適切なときに適切なスキルを獲得し実践できるよう、能力開発計画を作るのを――ときには実施するのを――支援することである。この行動計画は常に、客観的アセスメントに基づいているべきで、進捗度合いの定期的な測定と報告を含まなければならない。例えば、権限委譲の能力をより熟達したいリーダーは、四半期に一度、チームの主要メンバーから権限委譲の質と明確さについてフィードバックを集める計画を立てるだろう。コーチングの深さや期間、タイプによっては、コーチが補完的なガイドやメンターとして、こういった目標を目指すのを長期にわたって支援することもある。 

優れたコーチは十分に時間を掛けて信用と信頼を築き、経営幹部が不要なプライドを捨てて、診断による洞察や率直なフィードバック、仕事ぶりに対する提言、キャリアに関する助言を前向きに受けとめて利益を得られるようにする。彼らは、その関係の中で双方のアカウンタビリティを明確にする。こうすることで、セッションを重ねるごとに弾みがつき、前進できる。コーチは、ビジネス上および個人的なニーズヘのアプローチを状況に応じて変えられるような柔軟性がなければならない。これは、忙しい経営幹部の関心と参画を維持するのに不可欠である。
 
優れたコーチは十分に時間をかけて信用と信頼を築き、経営幹部が不要なプライドを捨てて、洞察やフィードバック、助言を前向きに受けとめて利益を得られるようにする。

図5.5が示すように、エグゼクティブ・コーチングは、フィードバックと能力開発の優先事項の確立から新たな行動の適用や進捗状況の測定の支援に関するガイダンスまで、人材開発の加速化プロセス全体を通して、カタリスト(触媒)に、そして強力な支援者になる。人材開発の加速化プロセスは、単に新しいリーダーだけにあてはまるということではないことも注意してほしい。成長の加速化のニーズに直面した最高経営幹部階層にも適用することが多い。この場合、コーチによる支援はより長期でより深い関わりを通して行われる(自己変革や是正・改善のためのコーチングなど)。

5.5図 人材開発の加速化の中てコーチングが役割を果たせる場面

2.コーチングが人材開発の加速化に最も影響を与えるのはいつか?

エグゼクティブ・コーチングは能力開発の万能薬と見なされることがある。コーチングは強力な存在になりうるが、あくまで能力開発の手段のひとつと見るべきだ。つまりコーチングには適さない場合もあることを明確にするのも重要である。以下のケースでは、コーチングは良い選択肢とは言えない。

・解雇の直前(コーチングが、問題を抱えたリーダーを「救う」ことはほとんどない)。
・業績管理の代わり、あるいは本来上司がすべき業績のフィードバックの代わり。
・適切な行動アセスメントがないとき。
・経営陣と人事部門の全面的な関与と支援がないとき。
・明確な目標がなく、この取り組みがゴールに到達したといえる指標について共通理解がもてないとき。

人材開発の加速化の観点で言うと、成長の加速化と改善が可能な場合に、コーチングを活用すべきである。誰が何のためにコーチングを受けるのか、慎重に考え抜かれた基準がないと、エグゼクティブ・コーチは特定の階層に付与される権利、あるいは組織の価値を示すシンボルとしか見られない。アクセラレーション・プールのメンバーや特定の階層の幹部には全員コーチングを受けさせる組織もある(たいていは、投資に対する相応の見返りが得られない)が、一方で、慎重に選んで下記の3つの主要カテゴリーにコーチを配置する組織もある。

・リーダーシップの移行を加速するため。
・ビジネスや個人の重大なニーズに応えるため。
・リーダーの阻害行動を回避するため。

4.おすすめ人材アセスメントソリューション

5.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

6.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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