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プロティアン・キャリア?その意義・実践方法/企業の役割・メリット/人材アセスメントの活用

1.プロティアン・キャリアとは

近年、「プロティアン・キャリア」という言葉が注目されています。プロティアン・キャリア(Protean carrier)とは、個人が自身の価値観に基づいてキャリアを自律的に管理し、組織の枠にとらわれずにキャリアパスを築く概念です。これは、1970年代にD. Hallによって提唱されたキャリア理論です。


この概念は、従来の組織内での昇進を重視するキャリア観から転換し、個人の心理的成功や価値観を重視するものです。以下に、プロティアン・キャリアに関するいくつかの研究結果を紹介します。

✅プロティアン・キャリアは、組織ではなく個人がキャリアの主導権を握り、個人のコアバリューがキャリアの意思決定を左右し、主な成功基準は主観的(心理的成功)であるとされています (Hall, 2004)

✅プロティアン・キャリア態度は、キャリアの成功にとって重要な要因とされ、自己管理とキャリアインサイトの発展がその関係を完全に仲介すると示されています (Vos & Soens, 2008)

✅プロティアン・キャリアモデルは、個人が自分のスキルや知識を多様なキャリアに適応させることができる柔軟性を強調しています (Haber & Bertone, 2015)

2.現代社会において、プロティアン・キャリアの意義・実践方法について

現代のビジネス環境はグローバル化や技術革新により常に変化しており、一つの職業やスキルセットに固執することはもはや通用しない時代となり、自身の価値観や目標に基づいてキャリアを形成し、柔軟に適応する力が必要です。このようなキャリア観は、急速に変化する市場のニーズに対応し続けるための鍵となります。たとえば、人工知能(AI)やデジタル・トランスフォーメーション(DX)の進化により、次々と新たな職種やスキルが現れています。これに適応するためには、継続的な学びと柔軟な思考が求められます。

プロティアン・キャリアを実践するための具体的方法についてですが、まず、自身の強みと興味を深く理解し、それに基づいてキャリアの方向性を定めることが重要です。さらに、定期的にキャリア目標を見直し、環境の変化に対応するための準備を怠らないことが必須です。例えば、定期的なスキルアップや新しい分野への挑戦を通じて、自身の市場価値を高める努力は欠かせません。こうした行動により、キャリア自律に対応することが可能となります。

3.プロティアン・キャリアを実現するため、企業としての役割とは

プロティアン・キャリアを支援する企業の役割にも触れておく必要があります。様々な役割として主に以下の4つが考えられます。

1. 柔軟なキャリアパスの提供

企業は、社員が多様なキャリアパスを選択できるような柔軟な制度を整える必要があります。これには、部署間の異動やプロジェクトベースでの仕事の割り当てが含まれます。社員が自身の興味やスキルに基づいてキャリアを選び、自己実現に向けた道筋を提供することが重要です。

2. 継続的なスキルアップの支援

急速に変化するビジネス環境に対応するためには、社員の継続的なスキルアップが求められます。企業は、社員が最新の知識や技術を習得できるように、研修プログラムやトレーニングセッションを提供すべきです。外部の専門家を招いたセミナーや、オンライン学習プラットフォームの利用などが有効です。

3. 多様性と包括性の推進

多様なバックグラウンドを持つ社員がそれぞれの強みを発揮できるようにするためには、多様性と包括性のある職場環境を提供することが重要です。企業は、異なる視点や経験を尊重し、それを活かす文化を醸成する必要があります。これにより、社員は自分らしく働き、創造性を発揮することができます。

4. 変化に対応する企業文化の構築

プロティアン・キャリアを支援するためには、変化を前向きに受け入れる企業文化を構築することが必要です。柔軟な働き方やオープンなコミュニケーション、挑戦を奨励する環境を整えることで、社員は変化に対して積極的に対応することができます。

4.プロティアン・キャリアで得られるメリットについて

🔶社会全体のメリット

1.労働市場の流動性向上
プロティアン・キャリアを追求する個人が増えることで、労働市場の流動性が高まります。これにより、適材適所の配置が進み、全体的な生産性の向上が期待されます。個々人が自分の適性に合った仕事に就くことで、社会全体の効率性が向上します。

2.イノベーションの促進
多様なキャリアパスを持つ個人が集まることで、異なる分野の知識や経験が融合し、新しいアイデアや技術が生まれやすくなります。これが、社会全体でのイノベーションを促進し、経済の活性化に寄与します。

🔶企業のメリット

1.多様なスキルセットの活用
プロティアン・キャリアを持つ社員は、多様なスキルや経験を有しています。企業はこれらの多様なスキルセットを活用することで、イノベーションを促進し、競争力を向上させることができます。例えば、新しいプロジェクトにおいて異なる視点やアプローチを提供することで、独自の価値を創出できます。

2.従業員のエンゲージメントの向上
自分のキャリアを主体的に築いている社員は、仕事に対するモチベーションやエンゲージメントが高まります。これにより、社員の生産性が向上し、企業全体の業績にも良い影響を与えます。また、自己実現をサポートする企業文化は、社員の離職率を低下させる効果もあります。

3.適応力のある組織形成
プロティアン・キャリアを持つ社員が多い企業は、組織全体としての適応力が高まります。市場の変動や技術の進展に対して柔軟に対応できる組織は、長期的な視点での成長と安定を実現することができます。

🔶個人のメリット

1.自己実現と満足感の向上
プロティアン・キャリアを追求することで、個人は自分の価値観や目標に基づいてキャリアを築くことができます。これは、単に仕事をするだけではなく、自己実現を目指すプロセスです。自分の興味や強みに基づいたキャリア形成は、日々の業務に対する満足感や充実感を高め、職業生活全体の質を向上させます。

2.柔軟な対応力の向上
現代のビジネス環境は急速に変化しています。プロティアン・キャリアを追求することで、個人は新しいスキルを習得し、変化に柔軟に対応できる能力を養うことができます。これにより、技術革新や市場の変動に迅速に適応できるようになります。

3.キャリアの持続可能性
プロティアン・キャリアを持つ個人は、一つの職業や業界に依存しないため、経済的な安定性を保ちやすくなります。異なる業界や職種への転職がスムーズに行えるため、長期的に見てもキャリアの持続可能性が高まります。

このように、プロティアン・キャリアは現代のビジネス環境において非常に重要なキャリアモデルであり、今後のキャリア形成における指針となります。

5.人材アセスメント活用によるプロティアン・キャリアの進化

定期的な人材アセスメントによるセルフ診断は、キャリア形成に非常に有用です。まず、アセスメントを通じて自身の強みや弱みを客観的に把握できるため、自己理解が深まります。これにより、キャリアの方向性が明確になり、自分に適した職種や職場環境を選びやすくなります。さらに、個別の成長プランを立てる際にも役立ち、具体的なスキルアップのための研修やコース選択が可能です。

次に、アセスメント結果は具体的なキャリア目標設定の指針となります。明確な目標を持つことで、日々の業務や学習のモチベーションが向上し、自己の向上を促します。また、アセスメントによるフィードバックは、自己改善のための具体的なアドバイスを提供し、キャリア全体の質を高めます。

さらに、アセスメントはキャリアチェンジを考える際にも新たな可能性を発見する手助けとなります。これまで気づかなかった強みや興味を見つけることで、選択肢が広がり、リスクを軽減しながら新しいキャリアパスを模索できます。

人材アセスメントは自己理解の深化、成長プランの策定、モチベーション向上、新たなキャリアの発見を支援し、充実したキャリア形成を促します。このツールを活用することで、持続可能なキャリアを築くことが可能となるのです。

6.マネジメントサービスセンター(MSC)の人材育成ソリューション

7.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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