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『「変化を嫌う人」を動かす』で学ぶアイデアが拒否される本当の理由

新しいアイデアがぶつかる壁は、なかなか見えません。魅力的なアイデアや画期的なイノベーションさえあれば、それだけで世界は変わると信じがちですが、実際にはもっと複雑な心理的要因が働いている。「The Human Element(『「変化を嫌う人」を動かす』草思社)」の著者、デイヴィッド・ションタールとロレン・ノードグレンは、その見えない壁に名前を付け、それをどのように乗り越えるかを探求しています。この書籍を読んで、なぜ革新的なアイデアが受け入れられないのか、どのようにしてその障壁を取り除くのかについて、目からウロコの理解を得ることができました。この本を手にすれば、変革への新しい道が明かされる感じがするはずです。ここ最近読んだ本の中で一番面白かったです。この感動を共有したいです。

デビッド・ションタル教授は、革新的なアイデアと起業家精神を育てることで知られるノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のスター。彼はただの学者に留まらず、200を超える製品やサービスを世に送り出すという実績を持つイノベーションの実践者です。デザイン、コンサルティング、ベンチャーキャピタルという多岐にわたるフィールドでの成功は、彼の著書に込められた深い洞察と経験の豊かさを物語っています。

一方、ロレン・ノードグレン博士は、新しい考えが受け入れられるかどうかを左右する心理的要因を探求する学者。彼のアプローチは「行動デザイン」と呼ばれ、世界中の企業が直面する行動変化の問題解決に貢献してきました。講義は生徒たちから高い評価を受け、その教育と研究の両面で多くの賞を受賞しています。

ションタル教授とノードグレン博士の共著であるこの本は、単なる理論にとどまらず、彼らの豊かな経験と実践的知見が結集されています。イノベーションの道に興味がある方はもちろん、人を指導したり教育したりする立場にある人こそ、この本から間違いなくインスピレーションを得られます。アイデアやビジネスが新たな高みへと導かれる突破口になるかもしれません。

新しい考えやイノベーションを世に送り出すことは、しばしば不可解な抵抗に直面することがあります。この抵抗に立ち向かい、打ち勝つことは、多くの創造者や変革者の究極の挑戦と言えます。『「変化を嫌う人」を動かす』は、その挑戦に取り組む者のための指南書といった感じです。マーケター、イノベーター、経営者、活動家などなど、変化を生み出すすべての人々が、しばしば見落としがちな真実をあぶり出し、その原因を分析しています。それは、新しいアイデアの魅力を高めることだけが人々を説得する唯一の方法ではないということです。

本書は、「Fuel-based mindset」という本能的な反応に疑問を投げかけます。単にアイデアに機能を追加したり、メッセージに派手さを加えることで人々の同意を得ようとするこの考え方が、どのようにしてイノベーションを阻害しているかを明らかにします。このアプローチの問題点は、変化に対する心理的な抵抗、すなわち「Frictions」を無視していることにあります。イノベーションに対するこれらの抵抗を理解し、克服することが、新しいアイデアを世に出すための鍵であると、著者は強く主張しています。

『「変化を嫌う人」を動かす』では、イノベーションに対する四つの抵抗(惰性・労力・感情・心理的反発)に焦点を当てています。これにより、自らの優れたアイデアや取り組みがなぜ拒絶されるのか、そしてそれにどう対処すべきかを学べます。さらに、私たちを抑えつける「Frictions」を変革の触媒に変えて行く方法も解明しています。

ビジネスリーダー、製品マネージャー、教育者、そして新しく刺激的なアイデアを生み出したいと考える全ての人々にとって、この書籍は変化への本能的な抵抗という人間の強力な力を克服するための必読書になりそうです。『「変化を嫌う人」を動かす』は、アイデアの魅力や特徴にさらに燃料を追加するのではなく、真の変化をもたらすためには、思考と行動のパターンを根本から見直し、調整することが不可欠だというメッセージを、強く感じ取ることできます。

人とコミュニケーションを取る際、どう考えても自分が正しい、自分のアイデアの方が優れているはずなのに、理不尽とも思えるような抵抗に直面し、受け入れてもらえないことがあります。そんなとき、自分の正しさをさらに追加説明しても抵抗は強まるばかりです。相手が抵抗している真の原因を取り除く手助けをするという視点を持つことで、少しコミュニケーションがスムーズに進むことがあるのだろうなぁと感じました。難しいですけど。


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