Writing や小論文のアイデアを自分で出す方法
英検の Writing 問題や、大学受験の小論文など、いざ答案を書こうとしてもなかなか書き出せないことがあります。無理やり書き始めても、書いているうちに考えが変わってしまい、途中から違う内容を盛り込んでしまって、結局まとまりがなくなったり、後からせっかく良いアイデアが浮かんだのに、いまから全部消して書き直す時間はない…など。
ブレインストーミングをすればいいよ!というアドバイスを受けることがありますが、そもそもその「ブレスト」をどうやれば良いのかはあまり教えてもらえません。その辺りまで掘り下げて考えてみます。
1. 問題の理解と思考法の提案
そもそもの問題の原因:
設問文の理解が不十分である
早い段階で思考が停滞したり、迷走したりする
バラバラの情報の組み立てや構築が難しい
必要となる思考法:
設問文の分解
設問文からキーワードを抽出する
キーワードが求めている内容や意味を明確にする(このとき、課題文や設問で使われている意味でキーワードを捉えることが大切)
ブレインストーミング
制限時間を設け、その間に思いつく限りのアイデアや言葉を紙に書き出す
質より量を重視し、自由に考えを広げる
アイディアの絞り込みと構造化
ブレインストーミングで得たアイデアの中から主要なポイントを選択する
選んだポイントを論理的な順序に整理し、筋道を立てる
答案のスケッチを作成
上記のポイントをもとに、大まかな答案の概要やスケッチを作成する(下書きよりも簡単なメモでかまいません)
このステップで文章の流れや構造を明確にする(矢印で流れを明確にしたりします)
詳細な答案の記述
スケッチを基に、具体的な文を書き出す(時間があれば下書き、なければここで答案用紙に書き始めます)
ここで初めて完全な文の形にして、答案にします
最終的なチェック
完成した答案を読み返し、文法や論理の整合性をチェックする(下書きせず答案用紙に書く場合は、センテンスごとに読み返すことをオススメします)
必要に応じて修正や追加を行う
この方法を使用すれば、設問文に対する迅速かつ論理的な答えを形成することができます。
が、しかし。
この方法は「最初からできる人」にしか役立ちません。「できない人」はなにができないのか、その原因を探らねばなりません。やはり「ブレインストーミング」を具体的にどうやるか、についての説明が必要です。
2. ブレインストーミングの具体的な方法
タイマーを使用する
制限時間(例: 5分や10分)を設定して、その間に思いつく限りのアイデアを書き出します。タイマーを使うことで、焦りや緊張感を利用して思考を刺激します。
ワードアソシエーション
設問文のキーワードから連想される言葉やフレーズを次々と書き出します。最初は関連性が薄くても構いません。途中から新しい視点やアイデアが浮かぶことがあります。
マインドマップを使用する
中心に主題やキーワードを書き、それに関連するサブトピックやアイデアを放射状に広げていきます。視覚的にアイデアを整理しながら、関連性や新しい視点を見つけるのに役立ちます。
異なる視点からのアプローチ
例えば、逆の立場や異なる背景を持つ人々の視点から考えることで、新しいアイデアや視点を得ることができます。
フリーライティング
一定時間内に、考えを整理せずに手を止めずに書き続ける方法です。意識の流れをそのまま言葉にすることで、意外なアイデアや視点が見えてくることがあります。
問題の再定義
設問文を異なる言葉や角度から再定義してみます。これにより、新しい視点や解釈が生まれることがあります。
ちょっと待った!
これらの方法を組み合わせれば、ブレインストーミングの成果を高めることができそうなのはわかる。でも、これはやはり「できる人」がどうやっているかの説明に過ぎません。
難しそうなのは「2.ワードアソシエーション」だと思います。「キーワードから連想される言葉やフレーズを次々と書き出す」ことができれば、最初から苦労しません。
そこで、つぎにキーワードから連想する方法論を考えてみます。
3. キーワードからの連想を助ける思考法
5W1Hを利用する
キーワードに対して「誰(Who)」「何(What)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」といった質問を投げかけます。これにより、キーワードの背後にある情報や状況を具体的に想像することができます。
感覚を活用する
キーワードを見たときに、それに関連する五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の中から何を感じるかを考えます。例えば、「夏」というキーワードであれば、暑さ(触覚)、セミの声(聴覚)、海の香り(嗅覚)などを連想して広げます。
シチュエーションを想像する
キーワードがもしもあるシチュエーションや場面の中心になったらどうなるかを想像します。キーワードを具体的な状況や背景の中に置くことで、関連する要素やアイデアが見えてくることがあります。
類義語や反対語を考える
キーワードに近い意味の言葉や、逆の意味の言葉を考えます。これにより、キーワードの範囲や幅を広げることができます。
物語を作成する
キーワードを主人公や中心にして、短い物語やエピソードを考えます。物語の中でキーワードがどのような役割を果たすか、どのような展開になるかを想像することで、新しい連想や視点が得られることがあります。
過去の経験を振り返る
キーワードに関連する自分の過去の経験や思い出を思い浮かべます。個人的な経験から得られる具体的なエピソードや感情は、連想のヒントとなることが多いです。
これら全てを使う必要はなく、設問やキーワードによっていずれかを試してみるのが良さそうです。うまく行かなければ他を試すといった感じです。
4. 実際の問題で考えてみる
2023年第2回英検(準1級)の Writing 問題を見てみましょう。英検準1級の場合は、TOPIC が与えられた上で、4つの POINTS のうち2つを含めて答案を書くことになっています。実際の問題は英検のサイトでご確認ください。
TOPIC 「企業はリサイクルしやすい商品を生産すべきか?」
POINTS「企業の利益」「消費者の需要」「汚染」「製品品質」
TOPIC の「企業はリサイクルしやすい商品を生産すべきか?」を読んで、まず、この段階で「何を聞かれているのか」を軽くブレストしておくとやりやすくなります。「3.-1. 5W1Hを利用する」 を当てはめて考えると、とくに「Why」に答えなければならないことがはっきりします。当たり前のことですが、的外れの答案にならないようにしっかりと意識します。
この「Why」を考えることで、「『なぜ』企業はリサイクルしやすい商品を生産するべきなのか?」となり、なぜなら「企業側のメリット(経済的側面)があるから」や「環境問題に配慮するため」などが浮かんできます。
「経済的側面」と「環境問題」の観点から「リサイクルしやすい商品を生産すべきだ」という主張ができそうですので、POINTS からは「企業の利益」と「汚染」を選べます。英検の問題は POINTS が与えられていることから「ブレインストーミング」を手助けしてくれていると言えますが、TOPIC との関連付けを自分ですることが大切です。(POINTS なしでもっと自由な連想で作文を書かれると採点が難しくなってしまうという事情があるのかもしれません)
ここからは2つのポイントについて、さらに考えます。1つ目の「企業の利益」を中心にして考えましょう。「3.-3. シチュエーションを想像する」を使ってみます。「企業の利益」を中心に、リサイクルしやすい商品を考えれば良いわけですから、リサイクルしやすい商品の方が儲かる状況を考えます。例えば、リサイクル素材を利用できるので、原材料のコストを抑えることができるとか、リサイクルしやすい商品にすることで、過剰な包装などがなくなり、結果として運送コストを下げることができるなどです。
2つ目は「汚染」を中心に、リサイクルしやすい商品を考えます。リサイクルしやすい商品の方が、廃棄物を減らすことができそうですから環境保護に貢献しそうですし、非リサイクル商品を悪者にしてリサイクルしやすい商品を使わないと環境に負荷がかかると述べることもできます。
ある問題に関して、どこまでの深さで考えるのかは、向き合っているのがどんな試験なのかによって様々です。
英検準1級であれば、上記のことを英語で表現できれば十分ですが、仮に大学受験の小論文で同じ内容の出題があれば、それぞれのポイントをもっと掘り下げなければなりませんし、「一般論」ではなく「オリジナリティ」が求められることになります。
まずは一番最初のとっかかりとして、「どうブレストするか」について考えてみました。
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