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部下とは、あなたの「下」にいる人ではない

上司であるあなたが、本当にしなければならないこと

部下を持つとは、その部下の仕事についての責任も持つということ。管理職の仕事に専念できるとは限らず、上司となる人の負担は増えることが多いでしょう。そんな中で、なんとか部下を指導しようとするものの、なかなか部下に響かない、仕事の成果にもつながらない、などということもあるのではないでしょうか。

上司として、部下から慕われたい、仕事も上手にこなしたい……。誰しもこのように願うものです。

では、なぜそうならないのでしょうか。そこには根本的な原因があります。

ここで、もう一度よく考えてみましょう。上司であるあなたが、本当にしなければならないことは何でしょうか。部下を励ますことでしょうか。部下を管理することでしょうか。仕事の成果をあげて会社に尽くすことでしょうか。――あなたが上司として本当にしなければならないことは、まず「部下に幸せを感じさせること」です。

人は自分が幸せでなければ、他人の幸せを心からは願えません。自分が幸せでないと、職場の幸せも仕事の成功も願うことができないからです。それでは、部下を幸せにするためには、上司であるあなたがしなければいけないことは何でしょうか。

さまざまな職場をコンサルタントとして見てきた経験から、部下は以下のようなときに幸せを感じると考えます。

・いつでも上司に自分の話を聞いてもらえる
・裁量が与えられ、自由にさせてもらえる
・自分の良さを認めてもらえて、長所を伸ばしてもらえる

あなたが部下だった時にも思い当たる節はないでしょうか。

あなたが以下の3つの心構えを持つだけで、部下を幸せにすることができます。

・何度でも同じ話を聞く覚悟を持つ
・部下を勝手に評価しない
・部下のことを好きになる

何度でも同じ話を聞く覚悟を持つ

それでは、最初に、「何度でも同じ話を聞く覚悟を持つ」についてです。

部下を持つと、別々の部下から同じ話を聞かされることがあります。でも、その話を何度でも聞く覚悟を持たなければいけません。

「その話は聞いたよ」
「その報告はさっき受けた」

などと言ってはいけません。そう言ってしまうと、部下は落胆するばかりか、次第にあなたには最小限の報告しかしなくなる可能性もあります。

部下の話は、いつどんな時でも、まるで初めて聞いたかのように聞くように努めるのです。一度聞いた話であっても、そうとは悟られないように、最初から聞きます。

こうすることは、あなたにとってもメリットがあります。そうするうちに、同じ話にもかかわらず、不思議と新たな発見ができるようになるのです。最初のうちはおっくうでも、同じ話を、違う部下の視点から聞くことが楽しみになっていきます。

話す落語家が違えば、同じ話であっても、まったく新しい発見があるといいます。これと同じように、同じ話であっても、何度でも味わえるようになることが部下を幸せにする上司への近道です。この方法は、上司であるあなたも幸せにしてくれるはずです。

どのような話にも真剣に耳を傾けてくれる上司を慕わない部下はいないからです。そして、部下の話にアンテナを張ることで、あなた自身も常に新たな発見ができる上司へと生まれ変わります。あなたの方から進んで部下の話に耳を傾けたくなるようになれば、ますますさまざまな情報が入ってくるようになるかもしれません。

ここで大切なポイントがひとつ。

部下の話をひととおり聞き終えたら、必ずその部下のよい点を探すようにします。特に、その部下の得意なところと結びつけるようにします。そして、部下の得意なところについて、わざとあなたの弱みを伝えるといいでしょう。本当はあなたにとっての得意分野であっても構いません。

「今までは××が苦手だったけど、××さんがいてくれるおかげで助かるよ」

その部下にあなたと職場が助けられているということを伝えます。よい面を褒められたことも相乗効果となって、どのようなことでも気軽にあなたに報告・相談をしてくれるように変わっていきます。

自分流の評価軸で、部下を勝手に評価しない

誰であっても人は自分が一番大事です。ごく限られた一部の人以外は、自分より他人の方が大事だとは考えないでしょう。仮に、そのように思えたとしても行動が伴わないことがほとんどです。これがきれい事ではない真実です。

でもそれでいいのです。まずは自分自身こそが大事だという気持ちをしっかりと持つことが大切です。そしてそう自覚したならば、本気で自分を大切にしましょう。そうすれば、嫌なことが続いても、自暴自棄になんてなりません。なにかを放り出したくなることもなくなります。

そして何よりも自分を大切にすると、自分の本当の大切さに気づくことができます。

自分を大切にできるようになれば、自然と他人のことも大切にできるようになります。

他人を大切にするということは、他人の価値観を受け入れるということです。人には人それぞれの幸せがあります。そのことを理解して納得しなければなりません。

学歴が高いから幸せ、年収が高いから幸せ、容姿がいいから幸せ、スポーツができるから幸せ、などというのは単なる固定観念、思いこみです。そのような通り一遍な評価軸で他人を測ってはいけません。もっと自由に考えたらどうでしょうか。

それぞれが別々の土俵で幸せになればいい。幸せとは一直線上にあるのではありません。

あなたが重要だと思う何らかの能力が相手に「ない」と嘆くのではなくて、今その人に「ある」ものにまず感謝する習慣を持ちましょう。これを習慣にしていくと、「ない」ことが気にならなくなっていきます。

たとえば、「無口なやつだな」ではなくて「黙々と集中して仕事ができるな」、「仕事が遅いな」ではなくて「仕事に慎重で間違いが少ないな」などです。この世の中に「ない」ものはありません。あなたが見つけるかどうかだけなのです。

当たり前のことですが、部下はマイナスの評価をされることを嫌います。誰でも分かっていることのはずなのに、安易にマイナスの評価を下していないでしょうか。部下をマイナス評価する、本当にそれだけの理由があるのでしょうか。もしそうであるならば、ぜひプラスの評価に置き換えてみてください。部下があなたを見る目は必ず変わります。


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