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対岸の家事/朱野帰子

▽あらすじ
家族の為に「家事をすること」を仕事に選んだ詩穂。
娘と二人だけの、繰り返される毎日。
幸せなはずなのに自分の選択が正しかったのか迷う彼女の街には、
性別や立場が違って様々な現実に苦しむ人たちがいた。
誰にも頼れず、限界を迎える彼らに、
詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める。

▽印象に残った文章

でも、これからの社会は誰の世話もしないでいい人たちを
中心に回っていくのですか。

かつて専業主婦が担っていた労働は、男性だけでなく、
女性からも見えなくなってしまった。
大変だよね、しんどいよね。
そう言い合える相手もいなくなってしまった。

「いつか笑って話せるから。
あなたの寂しかった日々が、誰かの役に立つ日が来るから」

大人になるとは、自分で責任を負うことではないのか。

▽感想
専業主婦は確かに今の時代では珍しいのかもしれない。
珍しいから少ない、少ないから専業主婦の人たちも
出会いや友達もなく孤独になってしまう。
そもそも”専業主婦”というだけで
ワーキングママの輪の中に入りやすいのかと言えば
話題もすれちがってしまいそうだなあという印象。

特に最近は、公園でも規制があったり、
スマホやゲームが普及しているので子供だって家にいる。
必然的に家の中で生活が完結してしまっている。
いざ、助けを求めたりはできないし、
町のイベントで出会えばと思うけど
そのイベントがいつあるのかも分からなかったりする。

なんだか窮屈な世の中だなと思う。
保育園だって兄弟別々の園にいれさせるし、
なんだって子育て世代には優しくないんだろうと
読みながらモヤモヤしてしまった。

詩穂はその中でも、逞しいし、
どんな人にだって手を差し伸べる。
周りにこういう人がいてくれたことはないけど、
きっと心強いだろうし、
私もそんな人になればいいなと思う。

子供への接し方や、街のイベントの話、
料理の話、旦那の話、自分の話
どんな話だっていい。
人と話すことが大事なんだと思う。

私もこれからずっと子育てをしていくわけだけど、
お互いに手を差し伸べ合える
ママ友やパパ友ができればいいなと思ったなあ。


✓対岸の家事/朱野帰子/講談社文庫

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