✓息吹/平野啓一郎
▽あらすじ
「かき氷屋が満員だったかどうかで、
生きるか死ぬかが決まる人生って何なんだろう?
そういうものなんだろうか?
人の一生って、そういう偶然の積み重ねなの?」
とある夏の日、中学受験を控えた一人息子を
模試会場に迎え行った斎藤息吹は、
勘違いから自分が一時間も早く到着してしまった。
時間つぶしに入ろうとしたかき氷店は満席。
仕方なく、十数年ぶりに入ったマクドナルドで、
隣の席から聞こえてきた気懸りな会話に、
彼はにわかに不安を募らせてゆく。
▽感想
Audibleで視聴。
偶然で重なって入ったマクドナルド店で
ガン検診の話を聞いて息吹は、
ガン検診を受けてみることにした。
そこで見つかった初期のガン。
取り除くことにも成功し、
重篤な状態にならずにすんだ。
しかしそこから不思議なことに、
ガン検診を受けた自分と受けなかった自分と
別れて人生が進み、
その二つの人生を行ったり来たりするようになる。
病状が進み、どんどん死へと向かう自分を
もう一人の自分が見て、
その体験自信を妻に伝える。
当然、妻は困惑し、奇怪な目で息吹を見るようになる。
ガン検診の大切さも分かるけど、
日常の全てが偶然の積み重ねでできているんだなと
思わされる作品。
ぐるぐると渦巻く渦中にいつのまにか陥っていて、
そして抜け出させないまま物語が終わっている。
✓息吹/平野啓一郎/Audible Studios
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