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✔︎みかんとひよどり

▽あらすじ
始めたばかりの猟でそうなしてしまった
潮田亮二、35歳。
相棒の猟犬と共に途方に暮れていたところ、
無愛想な猟師・大高に助けられる。
かねてから、ジビエ料理をしたいと考えていた
潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるように交渉する


▽印象に残ったフレーズ

「生きることには時間がかかる。」
不思議だった。肉も野菜もすぐ買うことができて
早く移動する術も増えて、家電だって充実して、
時間から自由になれたはずなのに、
ぼくたちの人生は複雑さを増すばかりだった。
楽になった代わりの時間に別のものが流れ込む

胸がぎゅっと痛んだ。さっさと夢を手放して、
どうやって生きるか決めた大高と、
成功するかどうかわからないのに、
必死で足掻いている自分。
夢を諦めるのは、
身体の一部を切り取られるくらい辛い。

人類の祖先すべてが残る人だったら、
世界のあちこちに人類が散らばり、
豊かな文化を持つことはなかったはずだ。


▽感想
読み終えて、あー良い話だった。
って自然と呟いてしまう本だった。
「生きることには時間がかかる」
本当にその通り。
便利になったのに、複雑になっている。
でも、その複雑の中で私たちは選択をして
今まで生きてきた。これが自分の人生だ。
立ち止まってしまっているなと感じた時、
ただ立ち止まっているのではなく、
なぜ立ち止まっているのか、意味を見出せたら
立ち止まっているの自分にも勇気が与えれるじゃないかなって思った。

料理の描写も美味しそうで、あたたかくて勇気をもらえる本でした。
ぜひ、読んでみてください!

みかんとひよどり/近藤史恵/角川文庫

↳試し読みがありますので、ぜひ

上が単行本、下が文庫本となっています

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