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✓西洋菓子店プティ・フール/千早茜
▽あらすじ
フランスで菓子作りを修業した
パティシエールの亜樹は、
菓子職人の祖父のもと、
下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。
女ともだち、恋人、仕事仲間、
そして店の常連客たち―――。
店を訪れる人々が抱えるさまざまな事情と、
それぞれの変化を描く。
▽印象に残った文章
「まあ、でも男にはなかなかわからないかもな。
男は、いくじなしだからさ。
望む前に自分に釣り合うか考えちまうからな。
服でも、菓子でも、女でも、
美しければ美しいほど、
こりゃ無理だって諦めて逃げちまうだろ。」
器用なふりをしているけれど、
揉め事を恐れる小心者。
だから感情的になって
変に騒いで束縛したりすれば、
すぐに逃げ出してしまう。
だって甘さだけが欲しいなら、
人は砂糖を舐めて満足するはず。
でも、そうじゃない。
人はみんな飾られたものを選ぶ。
「これもできます、あれもできますって
主張ばかりで寄り添っていない。
おまえ自身も一緒だよ。
怒るってのは突っぱねるだけだ。
甘くない菓子ってないだろ?
甘さっていうのはな、人を溶かすんだよ。
ほっと肩の力を抜けさせる。
でも、ただ甘いだけなら馬鹿でもできる。
相手の感じ方を想像して、
旨みを感じさせる甘さをださなきゃいけない。」
▽感想
お菓子作りだけじゃなくて人間模様や
自分を見つめたり、恋愛にどう向き合うかなど、
色々な話題がたくさんつまっている。
おじいさんと亜樹は師弟関係で
お菓子もだけど人生も教えてくれる。
でも、このおじいさんも過去に色々あって、
それを全て包み込んで
今まで生きてきたおばあさんが
凄い立派な人だなと思った。
スミとミナの関係もあいまいで
良いとこどりされているミナが
途中までかわいそうになった。
良いとこどりをされてると知ったうえで
スミと仮デートを心から
楽しんでいるのを読んで悲しくなった。
亜樹と祐介はうまくいっていたのに、
亜樹がふらふらと別の男とお菓子を作ったり、
お店のことで頭がいっぱい。
仕事も大事だけど、亜樹は不器用だなと思った。
たとえ亜樹が男に興味なくても
祐介はおもしろくないよね。
一度離れる選択を取って正解だったと思う。
甘いだけではないお話が詰まっていて
読みごたえがあった。
✓西洋菓子店プティ・フール/千早茜/文春文庫
↳サンプルもありますので、ぜひ
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