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ローマ ー そして『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』から感銘を受ける

卒業旅行でイタリアに行きたい、と姪から相談を受けた。ローマ・フィレンツェ・ヴェネチアを列車で周りたい、中でもやっぱりローマは時間をかけてゆっくり見たいと思っていると。

そう、ローマと言えば見どころはたくさんある。

スペイン広場、スペイン階段。
ローマの話をしているのに、いきなり名前にスペインが登場してしまったが、ここは近くにスペイン大使館があることからこう呼ばれている。


冬の夕方でも観光客が多い

ここにきたら、ジェラートを食べなければいけない気持ちになる。
映画『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーン演じるアン王女の真似をして。

そして、トレビの泉。

ここでは後ろ向きに立って、コインを投げることがお決まり。願い事が叶うとか、もう一度ローマに戻って来られるなどと言われている。この噴水の彫像もまた素晴らしい。

少し華やかな気分を味わったあとは、古代遺跡を観光しよう。

古代ローマ時代の円形競技場コロッセオ。
外観だけでも圧倒されるが、中に入ると観客席の様子なども見ることができて非常に興味深い。

さらに遺跡を堪能できる場所として、フォロ・ロマーノも見逃せない。
古代ローマ帝国の政治・経済の中心地として栄えた場所。神殿や凱旋門の跡を見ながら、紀元前から476年西ローマ帝国が滅びるまでのローマ帝国の栄華に思いを馳せる。


さて、ローマ観光はこれだけでは終わらない、まだまだ見どころはある。

ローマの中にある一つの都市国家、バチカン市国。
キリスト教カトリックの総本山ローマ教皇が住む国。そのカトリックの教会がサン・ピエトロ大聖堂。ヨーロッパのどの街の大聖堂も素晴らしいが、このサン・ピエトロ大聖堂はまた別格。圧巻の大きさ、そして内部にあるミケランジェロ作の『ピエタの像』など偉大な芸術作品の数々は必見。


それから、忘れてはならない場所、やはりあの映画の名場面となっているあそこ、真実の口。
本当に彫像の口が閉じるのではないかとドキドキしてしまう映画のワンシーン。なぜか少し緊張気味に、手を入れてみる。

観光の合間には、美味しいピザとワインで空腹を満たせば、心も体も満足。

あー、ローマいいところだなあ、また行きたいな。

そんな思いを抱いていた私だったが、先日あるアニメを見たことによってまたローマに対する新たな気持ちが芽生えたのだった。

『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』

配信でたまたま見つけ、日本語で気軽に見ようと思いながらカーソルを合わせた。確か阿部寛さんが演じた映画としてこのタイトル聞いたことがあったけど、面白いのかな、そんな軽い気持ちで私はこのアニメを見始めた。

夫はその時そばでうたた寝をしていた。それにもかかわらず、気づけば一緒にテレビに集中していた。それから毎日、私たちは楽しみにこのアニメを全11話見続けた。

古代ローマ帝国に住むルシウス・モデストゥスは浴場技師。このアニメでは古代ローマ帝国での浴場にまつわるストーリーが展開されていく。そして、この物語の面白いところは、舞台が古代ローマにとどまらず、主人公のルシウスが現代の日本へタイムスリップしてしまうところにある。そして、タイムスリップする場所は、必ず日本の風呂文化と関係しているところなのだ。銭湯・個人の家庭風呂・温泉地・スパ施設などなど。ルシウスは、日本のお風呂の現場を目にし、体験し、そして感動する。それを自分が住む古代ローマに持ち帰って、自分の浴場作りに活かしていく。ルシウスが日本へとタイムスリップしてしまう時は、古代ローマ帝国に生きるルシウスが、浴場設計に際して難題にぶつかり思い悩む時なのだ。

毎回感心してしまうのだが、私が好きだったシーンを少しご紹介。

まず、日本の銭湯に突如現れたルシウスは、浴場の壁に書かれた富士山に感動する。日本人にとっては当たり前のそれは、ルシウスにとっては画期的な壁画だったのだ。そして、ローマに戻ったルシウスは、ポンペイ遺跡で有名なヴェスピオス火山の壁画を作成し、それはローマ市民の間で好評となる。

また現代のハイテクを駆使して演出される日本のバスタイム、ジャグジーやテレビ内蔵システムなどまでも古代ローマに活かしてしまうのだから、ルシウスは相当仕事ができる浴場技師なのだ。

そんな熟練技を持つルシウスが、日本にタイムスリップした際に、大掛かりなスパ施設の設営を依頼され、困惑している日本の同業者と出会う。そこではルシウスが先陣を切って浴場設営の場を切り盛りし、先輩として尊敬され大活躍する。

それにしても、この『テルマエ・ロマエ』なんとも秀逸な物語だ。

古代ローマ帝国と言えば、イタリアからヨーロッパを遠征し、次々と領土を拡大した大帝国。そんな過酷な労働を担うローマ人にとって、疲れを癒す大切な憩いの場として欠かせなかったところ、それが浴場だった。それは日々お風呂を愛する日本人と同じ。そこに目をつけてこのように古代ローマと日本が交錯するストーリーを描くだなんて、作者のヤマザキマリさん、素晴らしい。

私はこのアニメを見て、改めてローマ帝国という国の偉大さに感銘を受けた。そして、古代ローマ人にとって大切な場所であった浴場跡というものを、きちんとローマで見てみたい、そう思った。カラカラ浴場など名前は聞いていたが、まだ訪れたことがなかった。

いや? そういえば・・・ 
以前出張でローマに行った際、ローマ支店の人からここが有名な浴場跡なんだよ、と言われて写真を撮ったような記憶が・・・

あった!

テルミニ駅近くにある、ディオクレティアヌス浴場跡。
きちんと写真に収めていた。


噴水の後ろの建物

きっとルシウスのような浴場技師と呼ばれる職業の人が、ディオクレティアヌス皇帝の命によって造ったのであろう公衆浴場。ローマ帝国の中でも最大かつ最も豪華な浴場との記載がある。

ローマの浴場が人々にとってどれほど大切な役割を果たしていたかも知らず、ただ遠くから写真を撮り、そのことすら忘れていた私。

今度はちゃんとじっく見てみたい。
もしかしたら、日本のお風呂文化を真似したのでは? と思われることが見つかるかもしれない。



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