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これぞ、青春映画の金字塔!!映画「ちはやふる」

原作を「上の句」「下の句」「結び」と三部作で実写化した映画ちはやふる。金字塔というベタな言葉はあまり使うのは好きではないのですが、この映画はその言葉がぴったりだと思いました。高校生活をかるたにかける情熱、かるたによる成長、そこで育まれる友情、恋が全て描かれていました。このような作品は実写化する時に原作の内容を省いてしまうことで内容がチープになってしまい、中々キャラクターに感情移入ができないことが多く、漫画原作の映画を見ていて、

「え、ついさっきまであのキャラクター、あんな事言ってたのに、心変わりするの早くない??なんで??」

と違和感を覚えたことがある人も多いと思います。そして、一回違和感を感じてしまうと、その映画に入り込めなくなってしまう。でもこの作品は原作からの再構築がとても上手くなされていて、キャラクターの行動にしっかり理由が伴っていました。これがあたりまえのようで難しい。長い原作を映画という時間に限りがあるものにまとめると、そこの部分が上手く作れないことが多いんです。それでは、「ちはやふる」の魅力についてもっと深く考えていきたいと思います。

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①競技かるたのシーン               ちはやふるを実写化するにあたって一番大切なシーンだ。なぜなら、映画のほとんどが「かるたのシーン」だからだ。そのため、観客をどれだけ飽きさせないかが重要であるが故にカメラワークに工夫がなされていた。スローモーションで撮ったり、下からの構図で撮ったり、ゴープロを使ったりと、一枚の札を取るシーンにどれほど時間をかけて撮影しているのだろうと思うほどに多くの撮り方がなされていた。特に“運命戦”ともなると千早と同様に見ているこちらもドキドキが止まらないほどである。

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そして、最もうまく演出していたと感じたのは「競技かるたのルール説明」だ。この映画を見るほとんどの人はルールを知らない状態で映画館に来るだろう。だが、映画を楽しんでもらうには観客もルールを知ってもらわなければならない。しかし、長々と説明すると飽きられてしまうし、尺がない。そこで「かるた部の顧問」と「千早の師匠」が重要な役割を果たす。基本的にこの2人は競技を一緒に見ており、「師匠」がかるたを知らない「顧問」の先生に教えるという形式をとる。この方法で飽きさせず、かつわかりやすく試合中に説明を織り込むことで競技かるたの臨場感を感じ取ることができた。

②広瀬すずのカリスマ性                                         彼女を語らずにこの映画は語ることはできないだろう。広瀬すずが、千早役でなかったら、この映画は成り立たなかったと思うほどに。千早の活発さと周りの人たちが惹きつけられてしまう、応援したくなってしまう彼女の魅力を存分に演じることができていた。いや、演じるというより、彼女自身の性格がちはやに重なっていたようにも見えた。だから、映画を見ている私も自然と千早を応援し、瑞沢高校のメンバーと共に涙を流していた。

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この広瀬すずのキャスティングについてだが、彼女が海街diaryに出る前に決まったそうだ。監督は彼女が有名になる前から何か魅力を感じたのかもしれない。

③魅力的なキャラクター              ちはやふるには、様々なキャラクターが登場する。「上の句」「下の句」には瑞沢高校の千早、太一、机君、にくまん君、かなちゃん。北央高校のドSの須藤、ヒョロ。そして、千早の幼馴染の新にクイーンの詩暢。そして、「結び」には後輩役の花野、秋博。新に思いを寄せる伊織。名人の周防が加わる。

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かなり、登場人物が多いにも関わらず全員に一度はスポットが当たる。だから、それぞれのキャラクターの個性が生き生きして見えて、この映画をより面白くしてくれる。むしろ主人公だけでなく他の登場人物にもスポットを当てることによって、千早がより魅力的に見えてくる。特に太一視点で話が進むことが多かったが、彼が千早のために何か行動を起こす度に千早が輝いて見えた。


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④永遠を一瞬に。   

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1000年も前に詠まれた詩や想いが一枚の札に込められて、今に受け継がれていく。そして、その一枚の札を取る「瞬間」に「青春」を懸ける競技かるたの刹那的な素晴らしさをこの映画を通して感じた。

「恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか」
「忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」

特にこの2枚での運命戦はとても良かった。


私も何かに青春全てを懸ける人生を送ってみたかった。だらだらと過ごしていたことが悔やまれます。



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