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醜くも「すばらしき世界」

本日は、「すばらしき世界」を鑑賞しに、劇場へ。

友達から映画の割引券があるから見に行こう、と誘われた。無職の私は、友達から平日休みの暇つぶしに使われる。

映画通(仮)の私になにか面白そうなの、とリクエストされ、120%「花束みたいな恋をした」が見たかったのだが、ガチムチの男友達だったため「すばらしき世界」を提案。絵面がきもいからね。

ごめんなさい役所さん。

こちらも口コミの評価が高く、前から気になってはいましたが、今となっては「花束」なんて見ている場合じゃねえぞクソカップル共と言いたい。ただの嫉妬です。

鑑賞前日に、役所広司の芸名は、前職の「お役所」勤めから来ているというどうでもいい知識をツイッターから収集。劇場へといざ行かん。


役所広司演じる元ヤクザ三上の13年の服役の後の出所後の人生を綴る。弁護士や近所の人、役所の人の助けを借りながら、必死に堅気として人生を送ろうとする三上。しかし、前科者には生きづらい社会が待っていた…

様々な社会問題がテーマ。前科者の再犯率やいじめ。

洋画ばかり見ているせいか、邦画のメッセージがストレート過ぎて泣いてしまった。ここ最近見た作品だとダントツで一番好き。

私たちの生きている世界ってこういうことだよね、っていう社会の醜い部分を喉元に突き立てられた感覚。見ていて苦しすぎる。

波風立てず、穏やかに生きていくためには、間違っていることにも鈍感にならなければならない今の社会の在り様をまじまじと見せられる。誰しもがやっていることだが、辛辣に描かれすぎていて、正しいって何だろうと考えてしまった。

私は、マイナスな部分にばかり注目してしまったが、もちろんあたたかい場面も多く、心暖まる映画でもあった。

ポスターにも書いてあるが、「この世界は生きづらく、あたたかい。」と。ほんとにその通りだと感じさせてくれる映画だった。

ほんとに今作には考えさせられた。ぜひ見てほしい。そして、みなさんにも感じてほしい、考えてほしい。

ここからネタバレ含むので、見たくない方はここまでで。


三上は、出所後、始めは、気性こそ荒いものの、路上でおじさんがチンピラに絡まれていたら助けてあげていた。もちろん手段は、暴力でだが。方法が正しいかはおいておいて、そんな間違っていることは許せない漢だった。

苦労の果てに、三上は就職先をようやく見つける。三上を助けていた人たちは、もう暴力はふるってはいけない、今の社会は我慢しなければいけないと彼に言い聞かせる。

そして、三上は、職場で障害を持つ同僚がいじめられている現場を見ても、見て見ぬふりをして立ち去る。さらに、陰で障害を持つ同僚をバカにする別の同僚にも話を合わせて笑ってしまうのだった。

そんな、社会を生き抜いていくために迎合していってしまった三上を見て、胸が苦しくなった。なにが正しいんだろうと。

あの三上の笑顔を見て、刺さってしまったよ、私は。

それではこのへんで。

スキしてもらえると喜びの舞を踊ります。