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【#125】長野県・小諸市長選挙レポート(2024 4.7)
この選挙は長野県では今年注目の選挙だと言われ、私にしては珍しく2回も現地入りするなど気合いを入れて取材したのですが、諸々の事情でリリースが遅れてしまいました。 申し訳御座いません。
6月最終週となり今年も半分終わろうとする中、色んな意味でそろそろ出さないと掲載する時期を完全に逃してしまうため、大急ぎで書き上げた次第です。
3期目を目指す現職に小諸市初の女性市長を目指す新人が挑む選挙を、レポートします。
◆小諸(こもろ)市・概要
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面積:98.55㎢(長野県 第44位 / 77市町村)
人口:41,309人(第14位)※2024年4月1日現在
人口密度:419.16人/㎢(第6位)※2024年4月1日現在
平均年齢:50.44歳(若い順 第27位)※2020年10月現在
衆議院は長野3区に属し、
◆立候補者
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3期目を目指す現職に、元外交官が初の選挙で市長選に挑む一騎打ちです。
◆前回(2020年)の結果
無投票
前回は無投票で小泉市長が2選を果たしました。 その為、今回が8年ぶりの市長選となります。
◆POINT
①初の女性市長誕生なるか
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堀内 千保(ほりうち ちほ)候補は小諸市出身。 京都大学卒業後、外務省に入省し、在ベルギー大使館や在セネガル大使館などの在外公館勤務等を経て2023年3月に退職。 翌4月に小諸市で市民団体「信州小諸に新風を起こす会」を設立し市長選に備え、万全の準備をして今回立候補。「初の女性市長へ!!」と掲げ初当選を目指します。
「外交官」という将来が約束された仕事を投げ売って市長選に挑む堀内候補。 後述しますが強い現職を相手に勝算は有るのか? と思ってしまいますが、
昨年1月に行われた市議選で女性新人候補が4人も当選して議会に新しい風を送り込んでいます。 このように段々と女性が行政で活躍する土壌が出来つつある中で行われる今回の市長選。 安定した小泉市政を打破するコトができるでしょうか。
②小泉市長になって、街は活気を取り戻しつつ有る
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小泉 俊博(こいずみ としひろ)候補は幼少から小諸市で過ごし駒澤大学卒業後、井出正一元衆院議員(自民→新党さきがけ 井出庸生氏の伯父)の秘書を務めます。 1997年に行政書士事務所を開設し市や県の経済団体で要職を歴任しながら2004年、現職が退任する市長選に出るも僅か348票差で敗れ3人中2位で落選。 そこから時を経て2016年、同じく現職が退任する市長選に出馬し、5人の新人による争いから抜け出し初当選。 これまで2期8年務め今回「歩みを、止めない。」と掲げ3期目を目指します。
小諸市はかつて北国街道(北関東と信濃を結ぶ)の商都として栄え、
小諸駅横にある小諸城址懐古園には動物園や児童遊園地も有り、親子連れで賑わう東信地域(長野県東部)有数の人気スポット、でした。
しかし時代が進み交通手段の発達によりレジャーの範囲が広がると街を訪れる人が減り始め、そして1997年開業の長野新幹線(現・北陸新幹線)が開業した際、近隣の新幹線停車駅は南隣の佐久市に設置され、小諸市は線路すら通りゃしないという憂き目に遭ってから人口も減り始め衰退が加速。 一時期は駅前商店街は「寂れた街」としてネットなどで有名になってしまいます。
そんな中で2016年に就任した小泉市長は小諸市の魅力を積極的に発信。 UR都市機構と提携を結び駅前商店街の空店舗活用を促す「おしゃれ田舎プロジェクト」を立ち上げ、2021年から3年連続で転入者増(社会増)となっています。
また、新規就農者を積極的に支援する施策を取り、
2019年から小諸市で農業を始めた、元「E-girls」「Flower」のメンバー、武藤千春さんを「農ライフアンバサダー」に任命し、小諸市の農業の魅力をアピールしています。
このように小泉市政になってから、歩みは少しずつかもしれませんが着実に変化し活気を取り戻しつつあるのです。
③給食費無償化を巡る対立
政府は昨年12月の「子ども未来戦略会議」で学校給食費の無償化に向けて具体的方針を検討するとし、国レベルでも無償化に動き始めましたが、
既に全国の3割もの自治体が完全無償化を始めています。
小諸市は未だ無償化になっておらず、新人は保護者の負担軽減や子育て・少子化対策として実施を公約に掲げている一方で、この選挙の面白いのは現職が明確に無償化を「否定」しているトコロ。 現職は無償化実施のために他のコストを削ると、地区の伝統として守っている「自校給食」が保てなくなったり人体に影響を及ぼす可能性が有る食材を使う恐れが有るとし、反対しているのです。
賛否が分かれる形で給食費無償化が争点になっている今回の選挙、両候補のキャラクターの違いも相まって注目し、選挙戦終盤に取材に入ろうかと計画していたのですが、選挙戦序盤にとんでもない人が応援演説に来ると聞き、慌てて小諸市に向かったのでした。
◆蓮舫氏、小諸に現る!
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選挙戦二日目、なんと蓮舫参院議員(当時)が堀内候補の応援で小諸に来るというのです。 なんでも堀内候補が外交官をしていた頃からの縁というコトで、(蓮舫氏が当時所属していた)立憲民主党が公認していない(杉尾参院議員が出陣式に駆けつけるなど、応援はしている)堀内候補を個人的に応援するために来るというコトで会場の小諸駅前に行ったら・・・
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100人を優に超える観衆が集まる盛り上がり! ・・・という煽り文字と写真のギャップに違和感を感じるかもしれませんが、前述のとおり(最近盛り返したとはいえ)最盛期と比べ活気を失っている小諸駅前に、祭り以外でこんなに人が集まるのは稀。 それもこれも蓮舫氏見たさに集まってきたのです。
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蓮舫氏は途中参加なので、先に着いた堀内候補は独りで観衆の間を歩きますが、「がんばって!」「負けちゃダメよ!」などと多くの声がかけられ、蓮舫さん “だけ” 見たい人たちではなく堀内候補を応援している支持者だと見えます。 これは知名度が浸透している証。 心強いことでしょう。
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地べたに座っている観衆に対して膝を折り曲げ目線を合わせて会話する堀内候補。 出来そうでなかなか出来ない所作ですし、その姿から外交官という “エリート中のエリート“ だという雰囲気は感じられません。
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今の市政は市民の声が届かない。 中心部は賑やかになってきたのかもしれないがそこから外れた地域は発展していない。 と問題点を指摘し「女性初の小諸市長で市民によりそった政治を」と訴える堀内候補。 これだけの観衆が集まるならもっと話を続けたいトコロでしょうが、残念ながら観衆のお目当ては堀内候補ではなく、蓮舫氏。
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ミドルヒールのパンプスを履いていると感じさせない速足で駆け込み登場した蓮舫氏。 堀内候補と握手をかわします。 それにしてもこの圧倒的な “華”!!
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ニュース映像とかで見る蓮舫氏は演説や国会答弁で舌鋒鋭く与党を糾弾する姿が多いですが、現場で見てマイクを持つ前後に見せるスタイリッシュな姿と笑顔の眩しさ、コレに観衆のハートは撃ち抜かれてしまうのです。 地方議員ばかり取材している私も滅多に会えない国会議員が醸し出すオーラに「かっけぇなぁ~~」とヤられてしまったのでした(汗)。
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蓮舫氏の演説を、私はよく「クルマのMT(マニュアルトランスミッション)」に例えます。 最初の自己紹介を低いトーンで、
「参議院議員の・・・(2.5秒空けて)、蓮舫です」
で語る導入部が、1速でゆっくり発進する様に似ていて、この応援演説で言えば堀内候補との関係や国会の合間を縫って駆けつけたコトを話す部分が、2速3速とギアを上げて加速するかのよう。
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そして「どうですか今の国会、おかしいと思いませんか?」と中央政界の話になるとギアがトップ、オーバートップと入って一気に加速。 「・・・そうだと思いませんか、如何でしょうか!?」と問えば、サーキットの正面スタンドでトップスピードで駆け抜けるレーシングカーを見た観衆のように、盛り上がっていきます。
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とはいえ今回は堀内候補の応援演説。 国政批判で突っ走るワケにもいかず、ギアを落として「女性初の小諸市長、誕生させましょうよぉ!」と締めくくった蓮舫氏。 圧巻のスピーチ、佇まい、存在感でした。
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最後は堀内候補と一緒に観衆とコミュニケーションをとる蓮舫氏。 堀内候補同様に膝を曲げて観衆と目線を合わせ、駅前ビルの2Fから顔を出して見ていた人にも手を振るなど広い視野で接します。 サスガの振舞いです。
観衆とのふれ合いがひと通り終わると、颯爽と東京にとんぼ返りした蓮舫氏。 つくづく思いますが、国会議員というのは心技体ともに超人レベルじゃないとやれないのだなと改めて感じた、蓮舫氏の応援演説。
とはいえ堀内陣営も蓮舫氏に頼りっきりという風には見えず、蓮舫氏をしっかり案内・誘導できていましたし、アナウンスで「鉛筆持ったら、堀内ちほ!」と連呼し、短くて耳に残るワードを用いて投票を促すコトをしていました。 堀内候補は「草の根選挙だ」と言っていましたが、陣営には選挙に慣れたスタッフがいると分かり、コレは現職危ないかもしれないな、と私はその場で感じたのでした。
実際、その様子を見ていた自民支持の市民が現職の関係者を見つけ「もしかしたら逆転されているかもしれない! 小池百合子に応援を頼もう!」と無茶にも程がある依頼をしており、相当危機感を持ったのだと思われます。
ただし気になるのは、この観衆 “全員” が本当に堀内候補を支持しているのか。 それを見極めるために堀内候補が単独で街頭演説している様子も見なきゃいけないと感じ、何より小泉候補の取材が未だ出来ていないので、もう一度現場に入り両候補を取材するのですが、そこでこの選挙の明暗がハッキリわかったのでした。 そこについては有料部分で。 是非御購読いただきたく存じます。
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