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【レポート #38】衆議院議員選挙・長野県第2区レポート(2021 10.31)


 衆院選長野選挙区レポートの最終回は、長野2区。 こちらは事前調査の時点で当落がハッキリ見えていたので優先順位が下がってしまったのですが、選挙が終わって振り返ってみれば今回躍進した維新の候補が県内で唯一立候補した選挙区であり、他の選挙区では見つけられない視点で見ることが出来る貴重な選挙だったと、記事を書いて気づかされました。
 今回で5度目の対決となる与野党の候補、そしてそこに割って入らんとする維新の新人。 さらにオマケとしてあの大先生が応援演説に入った話をレポートしています。 読んでいただけると嬉しいです。


◆概要

(Wikipediaより引用)
  • 長野県北西部の選挙区で
    ◎長野市(2000年代に長野市に吸収合併された旧6町村)
    ◎松本市
    ◎大町市
    ◎安曇野市
    ◎東筑摩郡
    ◎北安曇郡
    ◎上水内郡 の、4市3町9村が含まれる

  • 南は松本市から北は新潟県と隣接する小谷村や長野市より北上してやっとこさ辿り着ける(長野県)信濃町までと、範囲はかなり広い

  • 有権者数:382,123人(長野県で3番目の多さ)


◆立候補者

手塚 大輔 (38) 維新 新 日本維新の会長野県総支部代表(比例重複)
下条 みつ (65) 立憲 前 5期目を目指す
※野党共闘候補(比例重複)
務台 俊介 (65) 自民 前 4期目を目指す ※公明推薦(比例重複)

 手塚候補は松本市出身で成蹊大学卒、長野銀行勤務から2015年の長野県議選松本市選挙区に有志党(長野県にかつてあった政党)から出馬し選挙デビュー。 その後、有志党が日本維新の会長野県総支部に移行し2017年の衆院選に維新公認で立候補。 今回衆院選二度目の立候補で当選を狙います。

 下条候補は松本市出身。 父は下条進一郎 元参院議員で祖父も大臣経験のある政治家という政治一族の三代目で信州大学卒業後、富士銀行勤務を経て父の秘書官となります。 進一郎氏引退後、証券会社勤務を挟み2000年の衆院選に民主党公認で出馬し落選するも2003年の衆院選で初当選。 そこから3期連続当選しましたが2012年の衆院選で落選。 5年間もの浪人を経て2017年の衆院選に希望の党公認で出馬し当選。 そこから国民民主党→立憲民主党と
移り今回5度目の当選を目指します。 ちなみに戸籍上の本名は「下條 光康」だそうです。

 務台候補は三郷村(現 安曇野市)出身で東京大学卒業後、旧自治省に入省。 総務省大臣官房参事官まで務めたあと2009年の衆院選に立候補し落選するも2012年の衆院選で初当選。 以降三期連続当選中(うち一期は比例当選)で今回は岸田内閣で任命された「環境副大臣」の肩書きを引っさげて4期目を目指します。 なお、9月の総裁選では河野太郎氏を支持しています。 ちなみに戸籍上の表記は「務䑓 俊介」だそうです。


◆POINT① 務台候補といえば、やっぱりコレ!

(朝日新聞デジタルより引用)

 内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官を勤めていた2016年、台風10号で被災した岩手県岩泉市を視察した際、長靴を持ってこなくて革靴が汚れるのを嫌った務台候補は水たまりを政府職員におんぶされて渡り、その姿がニュース等で流れると炎上。 その時は「不適切だったと猛省している」と謝罪して乗り切ったものの翌年3月の政治資金パーティーで、

「『長靴事件』があったものですから、その後、政府の方で各省で政府が持つ長靴がえらい整備されたと聞いている。 多分、長靴業界はこれでだいぶもうかったのではないか。 今日はパーティーには長靴業界の人は呼んでいません」

 と発言して自らの手で再点火。 菅義偉官房長官(当時)から厳重注意を受け最後には内閣府政務官の辞表を提出しました。 この発言が影響し2017年の衆院選では3期ぶりに下条候補に敗れ、比例復活となっています。 そして、どうやらその影響は今でも続いているようです・・・

◆POINT② 下条候補も、過去にはイロイロありまして・・・

(公式HPより引用)

 現在でこそ民主党系議員のベテランとして活動している下条候補ですが、政界一族に産まれワガママに奔放に育てられたのでしょうか、政界入り当初は結構危なっかしい言動を取っていました。
 例えば2005年に問題となった耐震偽装の件で、偽装が発覚した神奈川県のマンションについて「水増しした生コンが使われた」などと発言したのですが、その後の調査で同マンションのコンクリートの強度には問題が無いと分かり、コンクリート業者から名誉棄損で訴えられ横浜地裁から550万円の賠償命令を喰らいました。
 また2期目途中の2007年には複数の秘書からパワハラやピンハネを告発されたりしていたり、2008年~2010年に民団(在日本大韓民国民団)団長から310万の資金提供を受けて不適切だと指摘されたりしています。 ただここ10年は調べた限りだと特に大きな問題は起こしておらず、ちゃんと議員をしていると思われ、それが今回の選挙戦でも安定した支持を得ている要因になっているようです。

◆POINT③「務台 vs 下条」ROUND 5

 2009年の衆院選に自民公認で立候補し下条候補に挑んだ務台候補。 その時の初対決から今回で5回目の対決です。 構図としては「名勝負数え歌」「長州 vs 藤波状態」と言えますが(分かりやすい例えのつもりです・・・)、どちらが勝つにせよ選挙の度にそれなりの票差がつくのが面白いところでして。

◆ROUND 1(第45回衆議院選挙・2009年)
[当]下条 みつ (53) 民主 前 158,666 票
 -------------------------------------
[落]務台 俊介 (53)  自民 新   79,267 票
 ※他、社民、共産、無所属、幸福実現からの候補が立候補

投票率:74.47%

 2009年は民主党政権が誕生した選挙で、その追い風に乗り下条候補が当選、務台候補及ばず。

◆ROUND 2(第46回衆議院選挙・2013年)
[当]務台 俊介 (56) 自民 新 93,092 票
 -------------------------------------
[落]下条 みつ (56)  民主 前 64,278 票
[比]百瀬 智之 (29) 維新 新 49,489 票
 
※他、共産、幸福実現からの候補が立候補

投票率:62.76%

 2012年は自民が政権を取り戻した選挙。 その流れに乗って務台候補が初当選、下条候補は比例復活もならず。 尚、維新で比例当選した維新の百瀬氏とは、

 今回の衆院選と同日に投開票された長野県議補選で当選した百瀬議員のコト。 彼の必要以上に華麗な選挙遍歴は是非☝のレポートを読んでいただきたく。

◆ROUND 3(第47回衆議院選挙・2014年)
[当]務台 俊介 (58) 自民 前 75,718 票
 -------------------------------------
[落]下条 みつ (58)  民主 元 63,558 票
[落]百瀬 智之 (31)  維新 前 41,232 票
 ※他、共産からの候補が立候補

投票率:54.33%

 2014年の選挙も務台候補が連続当選、一方下条候補は議員復帰ならず。 そして百瀬氏は落選し、ここから流浪の選挙人生が始まるのです。


「務台 vs 下条」前回の選挙結果と、謎に包まれた維新の新人について紹介。 各候補の選挙活動を取材し、更にボーナストラックとして青山繁晴先生が応援演説に来た話をレポートしています。 青山先生の “伝説” を御存知の方も御存知でない方も、是非ご購読いただきたく存じます!!

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