セイイツの中にポップさの現出

小説、日記

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死ぬほどに魅力的な生

 死ぬほどに魅力的な生がないから、私は今日も生きている。  【Q】死ぬほど魅力的な生って何⁇  【A】例えば、魅力を「ミリキ」と読むこと。安全ピンで指の血が出ないとこ刺すこと。「死ぬ」って執拗に言うこと。好きな食べ物最後に食べること。赤ちゃんの手を握って、私の方が強いと確信すること。瞬きを意識すること。他人の「好き」を無視すること。私が一番偉いと思うこと。外国人を嫌うこと。流行りのアニメのタトゥーを彫ること。庭のハトに話しかけること。ギターヒーローを目指すこと。ギターヒー

    • スイッチを押す

      朝、起きて部屋が暗い。いや、まだ俺は起き上がっていないから、起きたとはいえないのだが、目を覚ましているのだから起きたであっているのか?いかん、眠くて頭が働いていないのだ。いかんせん、眠いのだ。パパだからパパなのだ。ひとまず、俺がはじめにすることは。あ、はじめといってもハジメちゃんのことではない。正直バカボンもあまり好きではない。あれ、こいつバカボン詳しいってことは結構歳いってる人?って思われるかもしれないが、俺20代だから。ていうか20歳だから。俺、今誰に喋ってんの。話戻すけ

      • 川にたくさんの石

         俺って、今日臭い。小さい頃に嗅いだ、父親の枕の匂いがする。加齢臭?まだ20代だぞ。3日は外出てないからか。いや、風呂は毎日入ってるんだが。  というわけで、俺は散歩をすることにした。日光を浴びて身体の殺菌を試みようというわけだが。くそ。今日曇りかよ。水たまりもあるってことは、さっきまで降ってたらしい。雨が。  家から歩いて5分のところに、そこそこデカめの川がある。夏場なんかは近所の子供が網を持って魚か何かを捕まえている。まあ、今日は比較的涼しいからか、誰も見当たらないが。

        • 会話

           夏休みだ。私は、人生で初めて異性の友人と出かけた。正に、夏休みだ。  彼女は、私との会話中、ずっと笑っていた。ずっと頬を押さえていた。笑いすぎて頬骨が痛いらしい。私は、自分のことについて話し、彼女についての話を聞いた。そして、共通の友人の話をした。これが、会話だと思った。私が今までしてきた会話は、会話ではなかった。私は今まで何をしてきたのだろう。  つまり、とても楽しかった。  夏休みも、もうすぐ終わる。私は男友達2人とファミレスにいた。大学ではいつも一緒にいる、気の合う

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          1本

        記事

          先生の教え

          私が今文章を書いているのは、先生のおかげです。先生は、私に言葉を、文字を与えてくださいました。 ここに、先生の教えを残します。 文章ってのは、書こうとして書くもんじゃねぇ。テメェの脳内を人様に見せる最短の手段として、文章があるんだ。 テメェでテメェの脳内を覗いてみろ。ソレは常に文字を孕んでいる。原稿用紙は、脳のクローンだ。 文字は時間を含まない。空間も含まない。紙面上のインクの集合体としてただそこに存在している。最短のメディアたる文章は、3次元やら4次元なんてものを超越

          インドスタン平原で待ってます

          お久しぶりです。 あなたが家を出てから、丸1年が過ぎました。この記事を読んでくれていますか? 読んでいたら、明日の現地時間15時、インドスタン平原で待っています。 また、この記事を読んでいる方で、彼と連絡のつく方は、伝えておいてください。 私は、インドスタン平原で待っています。 赤いジャイロと一番硬い角柱を忘れないでください。 服はこちらで用意しますので、必要ありません。 帰りの車は、なるべく細長いものを準備しますが、期待しないでください。 これから、インドスタン平

          インドスタン平原で待ってます

          キツネの置物

          朝、咳をしました。 風邪をひいているわけではないのですが、喉に違和感を感じたのです。意識的にひとつ、咳をすると、口からカランと音を立てて何か床に転がりました。 拾い上げると、それはキラキラと輝くキツネの置物でした。透き通った白で、陶器のような、すりガラスのような不思議な素材でした。 しばらくキツネの置物を眺めたのですが、心当たりがありません。こんなものを飲み込んだっけか。 しばらくキツネのことは忘れていました。 ある日、家に古くからの友人を呼んで飲んでいると、友人が

          夜道の足音の件

          夜道を歩いていると、後ろから足音がついてくる。振り向くのはなんだか怖くて、駆け足で振り切った。そんな思い出ありませんか? あの足音、私です。

          地面消滅のお知らせ

          【緊急】明日、地面がなくなるらしいです。 正確な時刻は現在調査中ですが、明日のとあるタイミングで、私たちが現在利用している地面の有効期限が、切れます。 地球が誕生して約45億年。明日をもって、契約期間は終了します。 唐突に感じるかもしれませんが、これはずっと前から決まっていたことなのです。 地面契約終了直後、地面は消えます。私たちは足場を失います。空中に放り出された私たちは、他の動植物同様、「下」に落ちていきます。 「下」とは、地球の核です。重力に従い、地球の核へ向かっ

          夏と私に関する考察

          あのくじに、当たりが入っていたか。私には分からなかった。 私の握りしめた500円硬貨がハズレくじに変換され、それら一連の行いは「お祭り・エンターテインメント」として大衆に消費された。 1年前の今日を覚えているか?私は高架下で丸まっていたのだ。風は容赦なく、初めて世界を恨んだ日だ。 今年は暑い。季節は一定に巡らないのかもしれない。今年が去年なら、あの日の私は丸まらずに済んだのだろうか。 不幸な人生だと感じたことはない。テレビジョンの自殺ニュースは、いつでも私を彩る。 夏を

          ことわざ作り師について

          こんにちは。 「ことわざ作り師」という職業をご存知ですか? 日本には数多くのことわざがあります。それらことわざはすべて、「ことわざ作り師」が作ったのです。 「ことわざ作り師」という職業が生まれたのは今から1000年ほど前、平安時代のことです。 かな文字が発明され、文章を書くことが最大の娯楽だった時代です。 当時の貴族たちは優秀な歌人やことわざ作り師を寵愛しました。 当時、「犬も歩けば棒に当たる」ということわざを作った男が3代遊んで暮らせるほどの莫大な報酬を得た話は余り

          ことわざ作り師について

          幼稚園の時の担任が吉川晃司だった話

          こんにちは。 吉川晃司を御存知ですか?恥ずかしながら、私は吉川晃司についてまったく知りませんでした。「名前をうっすら聞いたことあるかなぁ?」程度。 しかし、先日TVに吉川晃司が映っていて、気づいたのです。 「あ、コージ先生だ!」 なんと、ミュージシャン吉川晃司は、昔私の通っていた幼稚園で勤務していたのです‼︎ 私の年齢を隠すためにも、何年前かは伏せさせていただきますが、音楽活動を精力的に行なっていた時期と重なっていることは確かです。 この事実に気づいてから、Wikip

          幼稚園の時の担任が吉川晃司だった話

          実は、爪を剥いでもまったく痛くない

          こんにちは。 皆さんは、自分の爪を剥いだことありますか?私はあります。 自ら爪を剥いだことがある方なら分かると思いますが、実はまったく痛くないんです。本当です。 この事実は直感に反することです。受け入れ難いのは承知の上ですが、この現象のメカニズムについて説明させていただきます。 事故や事件に巻き込まれて、爪を不本意に剥がされた経験のある方は少なくないと思います。あれ、メチャクチャ痛いですよね。 肉から剥がれた瞬間は勿論痛い。例えるなら、電撃が走るような痛みです。しかし、

          実は、爪を剥いでもまったく痛くない

          銀紙を奥歯で噛むと、小宇宙を作れる話

          こんにちは。 銀紙を奥歯で噛んだことはありますか?キーンと電気が走るような痛みが走りますよね。 あれは、「ガルバニック電流」という金属の性質によって起こるもので、銀歯などに反応しているらしいです。 知ったように書きましたが、私は銀歯がないので、銀紙を噛んでもキーンとならないのです。そこで、先日銀歯を詰めてみました。そんで、噛んでみました。銀紙。 この記事は、口内に「ガルバニック電流」を流し続けると何が起こるのか。私の体験をここに記したいと思います。 左の下の奥歯を銀

          銀紙を奥歯で噛むと、小宇宙を作れる話

          野生の熊と闘った時の話

          はじめまして。 とにかく、痛かったです。熊の爪の鋭さ、牙の暴力性を舐めていました。 この記事が、これから熊と闘う予定のある方の助けになれば幸いです。 私が熊と出会ったのは、長野県の山奥でした。父方の祖父の山で、キノコ狩りをしていた時のことです。夢中でキノコを採っていた私は、気づけば仲間とはぐれ、1人で山奥に取り残されていました。横には、熊がいました。 北海道出身の友達が、「本州の熊は小さい」と豪語してたんですけど、あれは嘘です。私の目の前の熊は、2メートルをゆうに超えて

          野生の熊と闘った時の話