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読書の記録(45)『透明なルール』佐藤いつ子 KADOKAWA 

手にしたきっかけ

タイトルに惹かれた。あるけど目えないモノに透明という言葉がぴったりだと思った。

心に残ったところ

自分の中学生時代時代を思い出した。小学校までは積極的にいろいろやるタイプだった。しっかりしている方だったと思うし、班長とかリーダーとか、まとめ役も積極的にやっていた。

ところが、中学校に入る前だったかあとだったか、「良くも悪くとも目立つと目をつけられる」という噂に、動けなくなってしまった。先輩に目をつけられたら、呼び出されるとか、そういう感じの噂。実際に呼び出されたとか、いじめられたとかいう話は聞かなかったけど、噂がまことしやかに流れていて、それを鵜呑みにしていた。何も考えず、やりたいことを好きにのびのびやっていた小学生時代とはうってかわって、目立たないようにしようと、おとなしく過ごすようになった。

愛が小学校からのことを話すシーンがある。小学5年生の愛がお母さんと対峙する場面、それを受けてお母さんがS先生と対峙する場面も印象的だった。

愛の気持ちも、愛を理解しようとするお母さんの気もちも、40人近い子どもたちを担任する先生の気持ちもわかるだけに、じゃあどうしたらいいの?と思ってしまう。強みや才能を大事にしたいけど、学校という枠の中ではいつでも自由にできるとは限らない。

理解してくれれ友達や先生に出会えたらいいけど、出会えなかったら?自分をだましだまし学校に行くのか、これも処世術と割り切って楽校に行くのか、何が正解が分からなくなる。仕方なく学校に行っていたとしても、そこで出会いがあるかもしれないし、周りを気にしない強さを身につけたら、そこそこ快適に過ごせるかもしれない。何が正解かわからない。

透明なルールなんて、みんながあると思い込んでいるだけで、実際には何もなかったんじゃないかと、大人になった今なら思う。当時は狭い世界で生きていたし、その世界が全てだった。誰も自分のことなんて気にしてないのに、いろいろ気にしてたなあと思う。それも成長の一つの過程だったし、クラスのほとんどがそんな感じだったんじゃないの?と思う。

まとめ

中学生の時期は思春期というか、自分がどう思われるか、他人の目が気になる年頃だったのだと思う。当時の私に、「まわりなんか気にするな!」「強くなれ!」と言っても、きっと響かないだろう。

中学校生活が特に辛かったと言うわけではない。なんとなく淡々と過ぎていった気がする。学校に行くのがしんどくて…なんてこともなかったし、それなりに友達とも先生とも上手くやれていたと思う。

大人になってこの本が私に響いたのは、過去になんとなくぼんやりと感じていた窮屈さの正体を言語化してもらったからたからかも。結局は自分がどうしたいか、何を大事にしていきたいか、なんだよなあと、思う。


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