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マーケティングカオスマップから読み解くスマホゲーム業界の7つの予兆〜そしてカオスマップをつくる理由〜

マホゲーム業界マーケティングカオスマップⅡ」を公開しました。これは2019年からβ版→正式版(Ⅰ)と公開したものに対していただいたフィードバックを取り入れて、最新の2020年版(Ⅱ)として整理したものです。今回は日本語版に加えて、英語版中国語版も翻訳して作ってみました。ぜひ活用いただければ嬉しいです(掲載リストも配布します)。

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なぜマーケティングカオスマップを公開するのか

今回のカオスマップⅡもスマホゲームのマーケティングを「①企画・開発期」、「②リリース前・事前期」、「③リリース後・拡大期」、「④成熟期」の4つのステージと、11種の大カテゴリと63種の中カテゴリに分類し、314のサービスとソリューションを掲載しました。

スマホゲーム市場拡大の鈍化とユーザの硬直化が進む中で、マーケティングでは本質的で差別化の一手が必要になります。スマホゲームのマーケティングは少人数で担当していることが多く本当に日々忙しいと思います。そんなマーケターのみなさんがマーケティングソリューションの全体感を把握できることは、業務の効率化と施策検討のヒントになり、結果的に業界の役に立てるのではないかと考え、このカオスマップを公開しています。

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現在は本質的で差別化な「訴求開発」がとても重要な時代です
ここにマーケターは多くの時間を使っていく必要があります

カオスマップから読み解くスマホゲーム業界の予兆

せっかくなので、カオスマップをまとめてきた経験と日々の活動からの気づくソリューションと市場の動向ついての所感を書いておきます。キーワードは「本質的なマーケティング」と「ゲームビジネスのマルチ展開」です。

①分析とテストが成功確率と費用対効果を高める
②プロモーションはユーザ獲得してからが勝負に
③コミュニティは運営主導型からユーザ主導型へ
④ゲームコンテンツは急速にテキストから動画/ショートムービーへ
⑤マルチプラットフォーム / メディアに展開できるタイトルが強くなる
⑥成熟しているからこそビジネスモデルを多様化が重要に
⑦そして「海外展開」をいかに成功させるか

①「分析」と「テスト」が成功確率と費用対効果を高める
開発にもマーケティングにも多額の投資が必要なゲームビジネスにおいては成功確率と費用対効果を高めるために「分析」と「テスト」が一層重要になってくると感じています。しかしながら、企業やタイトルによっては苦手としていたり、手が回っていないケースがあるため、分析やテストのソリューションの活用余地がありそうです。

まず、ゲーム開発においては、ゲームリリース前のユーザテストベータテストがとても重要になっています。未だにリリース初期のバグやKPI不全のために想定通りタイトルが立ち上がらないというケースが散見されます。一方、海外の大型タイトルの国内参入タイトルの成功確率が高いのは、海外で先にリリースしてタイトルをブラッシュアップした後にリリースしているからです。そのため国産タイトルにおいても、事前に精度の高い評価や本番に近い環境で行うベータテストのソリューションや他プラットフォームでの先行リリースなどの手法が採用されるようになると思います(これはリリース前に限らず、リリース後のアップデートにおいても同様かもしれません)。

プロモーションにおいても分析と「テスト」は重要です。「アドフラウド問題」は未だに根深い課題ですし、「iOS 14におけるIDFA取得のオプトイン化に伴う対応」もとても重要なテーマです。これから広告効果を適切に評価/分析するためには、マーケターの分析スキルとチームのケイパビリティが一層求められるでしょう。また、これまで多額の投資が必要の割に評価/分析が部分的だったTVCMも運用型で評価/分析ができる手法が登場しました。伴って「広告クリエイティブの事前テストユーザアンケートインタビュー」も活用が進み、マーケティングの費用対効果を高めるためのテストがより重要になると思います。

②プロモーションはユーザ獲得してからが本当の勝負に
運用型広告のソリューションの進化は凄まじく、全体的にはどんどん効率的に多くのボリュームを獲得できるようになっています。代わりにこれからはユーザ獲得後のプロモーションが重要になると思います。(iOS 14でどうなるかわからないものの)「CPE広告」や「PUSH通知 / エンゲージメント」、「コミュニティ施策」などのリテンション、つまり本当のユーザを獲得するための施策が一層注目されると思います。

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③コミュニティは運営主導型からユーザ主導型へ
スマホゲームにおいてコミュニティ施策が注目されて久しいですが、これまでのコミュニティ施策は「Twitter公式アカウント運営」「公式生放送」「YouTube公式チャンネル」「オフラインイベント」など運営が主導し、主に運営とユーザの関係を構築していく施策が中心でした。しかし、今後はユーザが中心になって主導し、ユーザとユーザの関係を構築するUGC型のコミュニティ施策が重要になると思います。UGC型のほうが圧倒的にコミュニティの規模感が大きく、その頻度も多くなるからです。実際にソリューションとしても「YouTubeやMirrativでのゲーム実況」や「ゲーム大会管理ツール」「ボイスチャットツール」、そしてユーザが主役である「esports」が大きく成長しています。

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④ゲームコンテンツは急速にテキストから動画/ショートムービーへ
ゲームのコンテンツは急速に動画シフトが進んでいます。特に顕著なのが攻略情報です。人気ゲームが多様化していることは要因の一つですが、テキストでの攻略サイトのニーズは急速にゲーム実況や動画に移行しているように見えます。またTikTokの成長もゲーム業界としても無視できない状況で、動画及びショートムービーにマッチできるゲームが今後覇権を取るかもしれません。

⑤マルチプラットフォーム / メディアに展開できるタイトルが強くなる
ゲーム市場が大きく成長したことで、ゲーム人口は全体の35%にまで達しており、老若男女を問わなくなっています。同時にゲームを遊ぶプラットフォームは家庭用、スマホ、PCがそれぞれとても大きくなりました。以前はスマホゲーム人口が拡大していたのですが、近年はそれも頭打ちの状況で、結果的にマルチプラットフォームに展開するタイトルがターゲットが広いという点で強くなると思います(先日発表された「Pokémon UNITE」もマルチプラットフォームのタイトルでした)

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出典:ファミ通ゲーム白書2020

また、ゲーム以外のアニメや漫画、音楽、ライブ、舞台などのコンテンツをマルチメディアに展開できるタイトルもユーザのエンゲージメントの点でとても強いと思います。コンテンツとの接触頻度、コンテンツへの愛の複数表現、同志とのつながりを感じる場 / コミュニティなどが、代替の効かない唯一無二のコンテンツ体験になるためです。こうしたマルチメディアに展開ができるタイトルは今後も支持を集めると思います。

⑥成熟しているからこそビジネスモデルの多様化が重要に
スマホゲームのアイテム課金の市場の成熟は明らかですが、だからこその各社の工夫によりアイテム課金以外のビジネスモデルも生まれてきています。特にスマホゲームの広告マネタイズは、ハイパーカジュアルゲームはもちろん、アイテム課金型のスマホゲームにも広がっており(モンストやツムツムに広告マネタイズが導入されています)、「メディエーション / SSP」などマネタイズを支援するソリューションも成長しています。スマホゲームのメディア化は今後も引き続き一つのトレンドになるでしょう。

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出典:すべてのマーケターに伝えたいスマホゲーム業界のマーケティング

またゲーム運営に特化した「セカンダリ」ビジネスも成長しており、参入する企業も増えています。ゲーム運営に特化したノウハウやスキルは、国内やゲーム業界にとどまらない価値があるように思います。同様に、ゲーム開発や運営の経験を積んできた企業が、ゲーム開発や運営の周辺にあるビジネスを成功させるケースが今後も増えてくると考えています。

⑦そして「海外展開」をいかに成功させるか
やはり今後のスマホゲームビジネスを拡大するためには海外展開をいかに成功させるかは避けては通れないテーマになると思います。「あつ森」の大成功を見てもやはりゲームのグローバルビジネスのスケールはとても大きいです。海外展開のための「ローカライズ」「海外展開 / パブリッシング」「プロモーション」を支援する会社も増えています。また、マーケティングの「インハウス化」もそのために必要な武器になります。

以上、カオスマップをまとめてきた経験からのソリューションと市場動向の所感になります。このように新しい画期的なサービスやソリューションも次々と生まれていますが、マーケターにまだあまり知られていないものもあります。MOTTOでは価値あるサービスやソリューションをマーケターに紹介する役割を担いたいと考えています。カオスマップに掲載できていないソリューションもまだまだあると思いますので、ぜひご指摘やお問い合わせいただければ幸いです。

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MOTTOではマーケターとソリューションをつなげる活動もしています
ぜひ一緒にお取り組みできることがあればお問い合わせください

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