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企業文化を変えるということ

これからここに書くことは、書籍やトレーニングや人から聞いた話などのインプットと、実際に自分で経験したことが混在したものになると思うし、内容も非常に広範囲だと思う。
それだけ企業文化を変えるというのは難しいことなのだ。

・そもそも人は変わるのが苦手

一昔前、Who moved my cheese?という書籍が流行った。
日本語タイトルは「誰が私のチーズを動かした?」だったと思う。
内容は如何に人が過去の成功体験を捨てきれず、結果変化するのが苦手なのかということを訴えるような内容だったと記憶しているが実際その通りだ。
なぜなら自分の成功体験を捨てることは場合によっては自分を否定するようなことにも繋がる可能性があり、そう簡単ではないからだ。
当時は状況的にそのやり方でOKだった、だから成功したのだから、当時の自分(達)を否定する必要はないのだが、時代も状況も変わってしまったのに当時のやり方を変えようとしない、これが拙い。

なぜ変えられないのだろうか?
一つはその成功モデルを作り上げるまでは大変なのだが、一度それを作ってしまうと暫くそれでご飯が食べられるので、怠け癖がつくからではないかと思う。
もう一つは成功モデルを作ると周りからも褒められ認められ、つまりちやほやされるということが起こるので、当事者はますます有頂天になり天狗になりもう元に戻れなくなるからではないか。

・駄目な変化 - 変えているようで実は変わってない

外資系はITに限らず結果を出さなければすぐクビになる。
特に給与の高い上位マネジメントは、結果、例えば売上や利益、たまに株価というところで良い結果を出せなければあっという間に交代だ。
交代時、大体のパターンでは過去のマネジメントより優秀なマネジメントが着任するのだが、そうじゃないあるいは似たり寄ったりのパターンもある。
例えば、大した状況分析もせず前任者のやり方を否定し、それまでのビジネス戦略やルール、プロセスを一掃するようなパターンだ。
一掃して時代にあったものを新規に作り上げるのであれば良いのだが、最悪なのは前職とか前前職で成功した古い他社の成功モデルを持ち込むパターンだ。
つまりここでも人は中々変われない=昔の成功体験に固執するようなことが起こる。
そしてこのタイプの人は、前職”では”こうだったという表現を多発するので、出羽神とか不名誉なニックネームがついたりするし、大体長続きしない。

・トップの人格/意識の重要性

外資ITのCEOなどCレベルにはMBAホルダー、それもハーバードやスタンフォードなどの有名校で学び、その後色んな要職に就いたきらびやかな経歴を持った人が多い。
彼らはそれなりの考えを持っているし、コミュニケーション能力も高いのだが、中には個々の事案において下す決断や発言が、え?なんで?、みたいな人もいる。
頻度は少ないが、私もそういう人に遭遇したことがある。
で、残念ながらそういう人がTOPだと、魂レベルで優れたミドルマネジメントがいたとしても、段々と会社全体が、それこそ掲げている会社のValueやMissionやVisionとは違った方向へ進み始める。
なのでこれを読んで下さっている方でもし会社の経営者がしょぼいと思われる方は、あなたが望む方向へ会社や組織が変わることはないし業績も大して上向かないので転職をお勧めする。
ちなみにこれは流石に外資系では経験したことがないが、経営者が定期的に従業員全員にメッセージを発信しない、結果経営者の考えが何も分からないし質問も受け付けないような会社は問題外なので今日退職した方がいい。

・変化を促す仕掛けは一つだけではない

人間はそもそも変わりたがらないので変化を促す仕掛けは非常に密に作らないといけない。そして経験上大体以下の全ての項目に一貫性がないといけない。例えばコンプライアンスは満たした上で売上倍増できる組織に変えたいと思うなら各々の項目は右の""で囲ったようにしないといけない

  • 採用 --- ”コンプラに詳しいベテランと、老若男女誰でも良いのでその道の販売で実績がある者を採用する。そういう人を炙り出せるような採用および面接のプロセスを作らないといけない。ポイントは面接用に用意されたコメントじゃなくて本当の販売実績を聞き出すようなインタビュー項目を考えることだ。”

  • トレーニング/教育 --- "コンプラ周りの必須トレーニングに加え売上増に繋がるあらゆるトレーニングの提供。今はUdemyとか色々面白いマテリアルもあるのでそれを利用させる。利用履歴見てそもそも学ばない、学ぶ気もない者は(後述する)評価できちんと報いることをしないといけない"

  • 目標設定 --- "いつまでに売上倍増するのか、そこから逆算し、ではこの四半期は何%増なのか、その為にどのTeamの誰が何をどこまでやるのか、全員が目標を記述しないといけない。そして上司とその目標について実現可能性を議論することが必要”

  • 会社のルールやプロセス --- "目標に対する進捗がどうなっているのか、日、週、月、四半期、半年、年ごとにレビューを実施し、うまくいってるところとそうじゃないところを精査し、うまくいってないところは原因と対策を協議するようなサイクルを実装すること。あとはシステムやプロセスを、営業を支援するようなものに設計しIT化しないといけない。例えば日次の結果を知りたいのであれば秒で日次レポートがグラフ付きで出てこないといけない。これは各組織階層でレポートが見れることに加えて、横のチームからも見えてもいい。そしてうまくやっているチームにはそのノウハウを聞きにいくのだ。あと、定期的なレビューサイクルの話をしたが、その時にそもそもデータがないのではレビューしても意味がない"

  • 評価と報酬、そして昇進 --- "どうしても業績には個人差が出る。半年ごとや一年ごとになると思うが結果についてはシビアに評価しそれを報酬や昇進昇格にも反映するようにしないといけない。また優秀な人はみんなの前で褒めること。一方ダメな人は個別に会話し対策を立て来季頑張ろうという風にドライブする。何期やってもダメな方はjob unmatchなので配置換えかお引き取り頂くしかない。ちなみに上司が部下を評価するという一方通行のものだけでなくその逆、あるいは同僚から評価され感謝されるような仕組みがあっても面白い。因みに私が勤めてきたIT外資では社員であれば誰が誰を褒めてもいいようなSPOT AWARDの仕組みがあった。そしてここから先が外資と日系で違うかもしれないが、外資は目標未達を繰り返すと大体クビか自ら居づらくなり退職する。日系であっても居づらい雰囲気は作った方がいい。とにかくPerformanceに応じて給与は下げるか配置転換しないといけない。一番よくないのは仕事をしてもしなくても、目標を達成してもしなくても評価や報酬や昇進昇格に全く影響しないという状況で、この場合会社の文化は絶対変わらないと言っても過言ではない。"

  • コミュニケーション --- "あらゆるミーティングや1 on 1で全ての会社のレイヤー、つまりCレベルも事業部も本部も部も課も、また世界企業なら各シアターも国も、この目標の重要性と現在の進捗、目標達成できてもできなくても結果を、そして次どうするという新目標を共有し、どうやる?というTipsについて議論しないといけない”

上に書いたことの中で実はコミュニケーションが最も重要であるのでその理由を説明する。しつこいが皆んな変化が嫌いだ。そしてそれはフェーズ毎に沢山の懸念が人々の中に生まれるからである。会社のリーダは特にこの懸念をコミュニケーションを通して潰していかないといけない。でないと最終的に変化は失敗する。

  • Information - 何をしようとしてる?今のやり方ではなぜ駄目なのか?何を達成したい?なぜそれを今やる必要がある?

  • Personal - この変化の結果、自分に何が起きる?自分へのインパクトは?自分は結果勝つのか負けるのか?能力的に自分は変化に耐え得る?自分はそのための時間を作れるか?

  • Implementation - どうやる?Planに関与できる?失敗したらplan Bはある?自分を誰かHelpしてくれる?リソースはある?どううまくいってるとかいってないとか計測する?

  • Impact - 変化は自分、Team、組織、顧客のために本当に良い影響を与えてる?努力した甲斐はあった?皆ちゃんと変化についてきてる?ついてこない/反対の人はどうなる?

  • Refinement - この変化から何を学んだ?よりよく、あるいはもっと早く変化できる?

変化への反応も3つに分かれる

  • Advocates - 変化に順応、他をリード。マネジメント(変化を仕掛ける人)VS 従業員(変化を強いられる人)の構造にしないために彼らの働きは重要。人は上司より同僚の意見に耳を傾ける。

  • Undecideds - 様子見の人だがうまくいきそうになると急に賛成側に回る。彼らに対してはSituationを細かく共有し行動に変化を起こすが重要。

  • Resisters - とにかく反対。彼らについてはよく話を聞いて彼らの最も大きな懸念がどこにあるのか突き止めてそれを解消してあげる。そうするとAdvocatesに変わる可能性あり

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