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大人の自覚が肝心、「 環境が人をつくり、環境が人を育てる 」

前回にひきつづき、 ConoCo の保育手法、aibase保育の詳細を説明します。
aibase保育は保育をする上で大切にしたい6つのコンセプト「 accept 」「 individualize 」「 believe & wait 」「 attachment 」「 socialize 」「 environment 」の頭文字を繋げた造語です。
今回は最後となる6番目、「 environment 」をご紹介します。


育ってきた環境が「 わたし 」をつくっている

お雑煮


皆さんは、「 お雑煮 」と聞くとどんなものを思い浮かべるでしょうか?

お雑煮は暮らす地域や家庭によってそれぞれちがった特色がでる食べ物としてよく知られています。ベースは、すまし汁だったり、お味噌だったり、白みそだったり。なかの具材も野菜とおもちのところもあれば魚介やお肉が入るところ、なかにはあんこもちが入るところだって!

ちなみにわたしのところは、基本は白みそに大根と金時ニンジン、母の気分でたまに母の出身県のおすましベースのお雑煮でした。

こんな風にひとことに「 お雑煮 」と言っても、人によって思い浮かべるものはまったくちがってきます。

また、わたしは生まれ育ったところがお茶どころだったため、小学校の手洗い場で青い蛇口をひねれば水、赤い蛇口をひねればほうじ茶が出てきました。それが自分のなかであまりにもあたりまえになっていたため、赤い蛇口をひねってもお茶が出てこないところがある( しかもその方が多い )ことを知ったときは、大変驚いたものです。

これはあくまでもわたし個人の一例ではありますが、このように人間は育ってきた環境によってさまざまな知識や常識、感覚を身につけます。

食べものなどの文化、風習、伝統などそういうものも含めた育ってきた環境が、いまの「 わたし 」をつくっているのです。

ちなみにマラリアという病気がみられるアフリカなどの一部の地域では、
通常は円形をしている赤血球が鎌状赤血球と呼ばれる形に変化している人がいます。これは赤血球を鎌状に形成するように突然変異した遺伝子の形状が、マラリアに耐性を発揮するために残存したものと言われています。

環境は遺伝子にも影響を与える、進化の過程の多様さをみれば納得です。


「 environment 」は、「環境が人をつくり、環境が人を育てる」

飛ぶ綿毛


遺伝子というと話が大きくなりすぎてしまうかもしれませんが、このようにわたしたちに大きな影響を与える環境。

とうぜん、環境が子どもたちに与える影響は大人以上に見逃せないものがあります。

ConoCoでは、環境が子どもに与える影響の大きさに注目し、「 environment 」=「 環境が人をつくり、環境が人を育てる 」として、子どもたちがすごす環境を整えることをとても大切にしています。


子どもは環境を自分でえらべない


では、環境を整えるとはいったいどういうことなのでしょうか。
そもそも環境とは具体的になにを指すのでしょう。

さきほどもその一部を例としてあげていますが、環境とは自分をとりまく空間であったり、社会であったり、自然であったりです。
おもちゃや遊具、絵本などの物的なものも、雰囲気や香り、温度など五感で感じるようなものも環境の構成要素です。

そしてなによりも、子どもたちに接するわたしたち自身がもっとも影響の大きな環境のひとつといえるのではないでしょうか。

わたしたちはある程度の年齢になれば、どこに住んで、なにを食べて、どんな風に暮らしていくかを自分で選択することができます。
しかし、生まれたばかりの子どもはそれらを自分でえらぶことはできません。
清潔に暮らしたい、安全に暮らしたい、穏やかに暮らしたい。
そう心から願っていても、自分でかなえることはできないのです。


環境とは「 思いやり 」そのもの

手にハート


だからこそ、子どもを養育する大人がその環境を整えてあげる必要があります。

どんな言葉を使って、どういう生き方をして、どういう人間として育ってほしいのか。
過度の期待や大人の願いの押しつけにならないように、その子の興味や関心をすくいとり、さまざまな力や意欲を高めてあげられる形に環境を作っていってあげるのです。

たとえば子どもが虫が大好きなら、虫の図鑑や本を置いてみたり、虫取りに行ってみたり、つかまえた虫を飼ってみたりするのもいいでしょう。
片付けの習慣がつくように、おもちゃなどの物の置き場所を決めて、使ったら自分でそこに戻せるようにわかりやすく示してあげることも園でよく用いる方法のひとつです。

子どもたちが大人になったとき、散らかった部屋で衛生観念のない暮らしをしないように、部屋を清潔にたもったり、整理整頓をしたり、植物を置いたり花を飾ってみたりすることも、環境を整えることです。

子どもたちが大人になったとき、健康を考慮しながらさまざまな食材を自分で選択できる人になれるように、豊かな食体験となるよう考えてご飯をつくることも、環境を整えることです。

子どもたちが大人になったとき、その場にふさわしい言葉づかいができるように、話してほしい言葉で語りかけてあげることも、環境を整えることです。

子どもにとって、環境とは「 思いやり 」そのものなのです。
言葉にしなくても肌で感じることのできるその子への愛情、大切にされている証なのです。


なによりも大切なのは、大人の自覚


その子が大人になって、自分でさまざまなことをえらべるようになるとき、健全で充実した他の誰でもないその子自身の人生を歩んでいけるように。
そのために、わたしたち大人がその子への愛をもって、その子自身が伸びられるように環境を整えてあげないといけません。

おもちゃや物など目に見えてわかりやすい環境だってもちろん大切です。

ですが、なによりも大切なのは、子どもたちにもっとも影響を与える環境は、子どもたちを育むわたしたち自身だと自覚することだと思うのです。


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