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毎日の暮らしに根ざした「食育」

子どもたちがあっちこっち、
おままごとの道具を抱えながら忙しそうにお料理しています。
なにやら1冊の絵本を開いて、いろいろと確認しながらあそんでいる模様。
どれどれ。
見てみると、そこにはカレーライスの絵本が。
たまねぎ、にんじん…と、
絵本に描いてある具材と一つひとつ照らし合わせながら、
カレーをつくっていたようです。

完成カレー

そう、ConoCoのおうちでは、今、カレーライスが大流行。
カレーライスの歌に始まり、カレーライスの絵本、ままごとあそび。

保育者たちがそんな子どもたちの興味関心の高まりを汲みとって、
先日は実際に皆でカレーライスをつくってお昼ごはんに食べました。

材料をそろえて、洗って、皮をむいて、切って、炒めて。
2歳の子どもたちが危なくないように、
一人ひとりしっかり見守りながら、自分の手で料理していきます。
子どもたちの手で危ないようなところは、
大人がする様を見せるようにしています。
いわゆる「 食育 」活動の一環です。


すこし前から学校や保育園で聞かれるようになった
この「 食育 」という言葉。
地域や学校にもよるかとは思いますが、
すくなくとも私が小学生の頃にはあまり耳にしない言葉でした。
ここ十数年で急激に広まり、
いまやどこの保育園、どこの小学校でも「 食育 」の名のもと、
さまざまな取り組みがなされ、その必要性が声高に叫ばれている印象です。

この「 食育 」という言葉、
ではいったい具体的にどういったことを指すのでしょうか?
その起源をさかのぼると、
明治時代の医師・薬剤師であった石塚左玄という人物が、
「 体育智育才育は即ち食育なり 」と提唱して「 食育 」という言葉を造語したようです。
思ったより古くからある言葉なんですね。

また、2005年に成立した「 食育基本法 」では、
食育を「 生きる上での基本であって、
知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、
様々な経験を通じて「 食 」に関する知識と「 食 」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる 」こととしています。

現在の保育園や学校で進められている食育の活動は、
この法律に則っているんですね。
法律では、教育や保育などの職務に従事する者は、
「 基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、
積極的に食育を推進するように努める 」ようにと定められています。

たまねぎむきむき

では具体的に各園などでどのように食育が進められているのか。

私にはその全容をつぶさに把握することはもちろん不可能です。
しかし、この「 食育 」の本質のなんたるか、
目的のなんたるかを深く理解し共有しないまま、
とりあえず実施しないといけない項目に入っているから
毎年なんとなくやっている、というところも多いような気がしています。

例えば、どこかの畑で野菜の苗を植える作業をさせてもらい、
あとは収穫の時期に取りに行くだけであったりとか。
お料理も、先生がなにをつくるか決めて、材料はすべて揃えられ、
ある程度まで作業も進められた上で、子どもたちにはいどうぞ、とされるとか。

そういうやり方だと、野菜を育てたりお料理したりすることは、
子どもたちにとってなにか特別な機会、
非日常のできごととして捉えられてしまう気がするのです。

もちろんそれだって、やらないよりはやる方がずっといいと思います。
子どもたちはなにか新しいことには興味津々ですし、
いろんな経験が刺激になると思います。

でも、「 食育 」ってそんなお膳立てされたものなのでしょうか。
非日常の、先生にとっても準備コストがかかる、
肩ひじの張ったものなのでしょうか。

カレーまぜまぜ

実際の「 食育 」とは、日々の暮らしに根ざしたものであると思うのです。
毎日の暮らしのなかに、あたりまえのようにあるもの。
あたりまえのようにあるけれど、わたしたちの生命や心を養う大切なもの。
そして人間という生き物としての智恵や文化が引き継がれてきたもの。

そのことを楽しい経験と思い出の共有によって
子どもたちの心に深く伝えるのが、「 食育 」だと思うのです。

そのためには、「 食育 」活動が子どもたち自身の日常の暮らしと密接に関わった体験である必要があります。

「 なによりの一番の食育は、普段のお買い物とお手伝い。」

わたしがハッとさせられた、ある食育研修の講師の方の言葉です。
「 食育 」とは、なにも頑張って特別に米や野菜を育てたり
料理させたりすることではありません。
毎日のお買い物のなかで、スーパーにある野菜の名前を一緒に言ったり、
旬や産地を伝えたり、肉や魚がどうやってここまで来たのか話したり、
その日のメニューについて説明したり、お手伝いしてもらえることをお願いしたり。
その毎日の営みの繰り返しこそ、食の知識の宝庫であり、
子どもたちのなかに根づいていく生きた経験になるのです。

「 食育 」というとなにか難しいことのように聞こえてしまいますが、
おうちでも実践できるほんとうにごく普通のことです。

ConoCoのおうちでも、
子どもたち自身が今、関心を持っていることを大切に、
できるかぎりお買い物から一緒に行って
暮らしに根ざした「 食育 」を楽しんでいます。

皆さんもぜひ各ご家庭で、肩ひじ張らずに日々の「 食育 」を
楽しんでみてくださいね!

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