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初めての新潟ひとり旅

今年のGWは暇だった。

何にも予定がなかったから、
いつも通りおうちでだらだら過ごそうと決めていた。

休みなんだから、だらだらするのが正解。
そう思ってベッドに寝転んでYouTubeを開いた時、
ふと母の声が脳裏をよぎった。

「そんなぼーっとしてたら、
死ぬときもぼーっとしたまま死ぬわよ」

わたしは子どもの頃、とんでもなく朝に弱くて
週末も朝8時には叩き起こしにきて
あっという間に布団をしまってしまう母の目を盗んで
床で寝るような子どもだった。

台所で片付けをしていた母が
やけに静かなわたしを怪しんで
部屋に様子を見に来て、床で寝ているわたしをみつけて
嫌がらせのように掃除機をかけ出す。

部屋も追い出されたわたしは
廊下へ行って寝転んだ。

廊下の床はひんやりしていて、
クーラーがなくても超快適。

そのまま床で寝ていると、
掃除機もかけ終わって洗濯にやってきた母が
わたしを見下ろして呆れたように言った。

「あんたねえそんな毎日だらだら生きて
死ぬときもぼーっとしたまま死ぬわよそんなんじゃ」

ああ、たしかにあるかもナァ。
わたしだったらありそう。



わたしは、YouTubeを閉じて
新潟行きの新幹線を取った。出発まであと2日だった。

そのあと、アゴダとエアビとインスタとGoogleと
思いつくもの全部使って宿を調べた。

さすがGWとあって、全然宿は空きがなかった。
でももう新幹線は取ってしまったし
日帰りも嫌だったからこの際野宿じゃなければいいやと
思って探していると、ゲストハウスなり、という宿で
ドミトリーに空きがあるのを見つけた。

こうして降り立った初めての新潟。

Nariへの道

その日、新潟は雨だった。
予定をなんにも決めていなかったわたしは
とりあえずゲストハウスに向かった。

ゲストハウスなり

チェックインまでにはまだ時間があった。

宿の近くのカフェにお散歩に行こうと思ったわたしは
とりあえず思いつくものを全部ぶち込んだリュックを
ゲストハウスのお姉さんに預けてまた歩く。

沼垂ビール

散歩をしていると、沼垂ビールの看板が出てきた。
わたしはビールが飲めない。
でもご当地ビールみたいなの、ラベルをみるのは好き。

発行の町


沼垂ビールね、友達へのお土産にいいかも。
心のメモに書いてまたカフェまで歩く。

紡ぐ珈琲と。

カフェは、沼垂商店街の中にあった。

商店街と聞いて想像するような寂れた雰囲気はなくて
センスのいい雑貨とか本とかカフェが集まった
クリエイターの集う所、みたいだった。

このとき、雨は土砂降りで、
カメラと傘の両立に手こずったわたしは
カメラを諦めたから写真が全然ない。

カフェは明るい店内で、
若いカップルとか女子旅っぽい人たちで賑わっていた。

わたしはカフェラテとケーキを少しずつ
味わって、雨の降る外を眺めたり
お店の人が珈琲を淹れるところを観察したりした。

ぼーっとしながら、新潟でもわたしはぼーっとしてるな
と思う。

でも、おうちでYouTubeを流しながら
ぼーっとするのとは少し違った、
はじめての時間だった。

そしてここからわたしはひたすら食べた。
旅先で、いちばん好きなのはごはん!

3時間並んだお寿司
飲み歩く
鳥の半身揚げ
へぎそば


満足するまで食べたころ、
時刻は22時だった。

ゲストハウスでゴロゴロしようと思っていたら
あっという間に夜になってしまった。

Nariに戻ると、常連さんか宿泊客が
夜ごはんを食べたりお酒を飲んだりしていた。

わたしも寝るのが少しもったいなくて
シャワーを浴びたあと、カウンターでお酒を一杯飲んだ。

ゲストハウスのお姉さんは、
少しだけ話しかけてくれてあとはキッチンを片付けたり
お酒を作ったりしていた。

だれかと一緒みたいでひとりの時間が
ひとり旅のとき、いちばん好きかもしれない。

翌朝、ゲストハウスでは朝市をしていて
珈琲とか雑貨とかおにぎりとか占いとか
いろんなお店の人がいた。

珈琲を淹れてもらって、おにぎりを選んで
朝ごはんを食べた。

たまたま隣に座ったお姉さんと
今日はなにをするの?とかたわいも無い話をして
名前もしらないまま、いってらっしゃいと
お互いに挨拶をしてチェックアウトした。

温泉

帰りの新幹線まではまだ時間があって、
電車で何駅かいったところにある
スパと温泉の間みたいなところで4時間くらい過ごした。

露天風呂に行って、お風呂上がりに
マッサージ椅子に座って仮眠所で2時間くらい寝た。

また、温泉に入りなおしてマッサージ椅子。
コーヒー牛乳を飲んで、だらだらする。

そうしてる間に電車の時間がきて
寝過ぎてぼーっとした頭で、駅に向かう。

スパがある駅は無人駅で、
雨の中、老夫婦が手を繋いで電車を待っていた。


なんだか幸せな気持ちになって、
電車と新幹線を乗り継いで、おうちに帰る。

夜、お土産に買ったサーモンの塩辛をつつきながら
沼垂ビールを買うの忘れたなぁと思い出した。

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