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大好き!敦賀

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主に敦賀の海のこと。とにかく日本海って素晴らしいのです!
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#敦賀

「ある幸せ」と「ない幸せ」

あと数か月で敦賀を去るのだなあと思うと、この2年余りの出来事を、いろいろ思い出す。

コロナ自粛の真っ最中に、知り合いがひとりもいない環境に行くこと、しかも、飲酒の問題を抱えた夫と10数年ぶりに同居するということ。
明るい要素がほぼゼロの中で始まった、敦賀暮らしだった。
あまり期待はするな、と自分に言い聞かせていたような気がする。
気持ち的には、マイナスからのスタートだった。

ところが、神様は私

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迷子になりに行く

迷子になりに行く

生まれた時から、そこに住んでいる人にとっては、なんの価値も感じられないものなのだろうけれど、やっぱり自然ってすごい。
冬の後には、ぶわあああっとすごい勢いで春が来る。

今日は、ちょっと遠くの歯医者に行かねばならず、午後からバイクで出かけた。
月曜に免許の更新に出かけた時は、ダウンを着込んでいても寒かったのに、今日は、上着がなくても快適な気温だった。
ぽかぽか陽気に気分がよくなった私は、歯医者のあ

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2023 初釣行@敦賀半島

今シーズンの釣りが始まった。

いや、凄腕アングラーたちの間ではとっくに始まっていたのかもしれない。
けれど、私は

「海水の温度上昇は2ヶ月遅れ。今はまだ、海の中は真冬。魚の活性も悪い」

というネットの記事を信じて、のんびりしていたのである。

しかし、数日前、敦賀の知人が潜って突いた魚の写真をSNSにアップしていたのを見た。

「え? ちょっと待って、もう潜れるの?! 海は、そんなにあったか

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迷子になりそうな、不思議な本屋 ちえなみき

迷子になりそうな、不思議な本屋 ちえなみき

今日は、午後から人に会うことになっていた。
その待ち合わせ場所が「ちえなみき」という、敦賀駅のすぐそばにできた本屋さんだった。

「本屋で待ち合わせ? 立ち読みして待っていればいいのかな?」
と思いながら、約束の時間に行く。
入ってびっくり、ちえなみきは、単なる本屋ではなく「カフェ×本屋×図書館×ワークショップスペース」という、敦賀の「知」を一手に引き受ける新しい場所だった。

特徴的なのは、そこ

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あちらとこちらは、なぜ違う?

あちらとこちらは、なぜ違う?

今日は、長いこと頭を悩ませて、悩ませすぎて、禿げるかと思うほど考えた原稿を二つ終わらせた。

「よくやった、自分。もういいよ、遊んでおいで」

そういうわけで、後顧の憂いなく海に出かけた。
自分へのご褒美が「海で遊ぶこと」だなんて、なんという安上がりな女だ。
子どもか。

ここのところ通っていた、半島の東側の『洞窟がある海』ではなく、山を越えた西側にある海に向かう。
単なる気分の問題だったのだが、

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海がきれいで夏が好きになれる町

海がきれいで夏が好きになれる町

敦賀に住み始めて、次の秋で2年になろうとしている。

私がここにやってきたのは11月で、寒くなりかけの頃だった。

日本海側の初めての冬を経験した時には、雪が「私の知っている雪」ではないことに驚いた。
結晶構造が見えそうな薄いフレーク状の雪ではなく、固まった粒状の、顔に当たると痛い雪が降ってくるのが北陸なのだ。
ちょっと降ると止み、またすぐ降る。
小さな氷の粒が、まだ積雪のない道路を跳ね回る。

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敦賀便り21 わずか50年の間に

敦賀便り21 わずか50年の間に

先日、時間ができたので、今年最後の釣りに行った。敦賀半島の西側へ、馬背峠(まじょうとうげ)トンネルを抜けるルートで往復した。このトンネルの上には、今は使われていない、二車線の立派な峠道がある。昔は敦賀半島を横断する道がこの峠道しかなかったので、海水浴シーズンにはよく渋滞したそうだ。

(画面中ほどの赤い印が馬背峠。その下を横に走る33号線の一部がトンネル区間である)

さて、このトンネルの出入り口

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敦賀だより19  良きお父さんの話

敦賀だより19 良きお父さんの話

二日ぶりの釣行。

夕方四時過ぎに敦賀港に着いて、竿を出す。仕掛けをつけて海に投げ入れる。

私はいつもイソメというウニョウニョ動き回る生きた餌を使っている。

ビギナーの下手くそはルアーなんかやっても何も釣れないから、とにかく最初は生き餌に限るのだ。

でも、その生き餌でもアタリもないし齧られてる形跡もないので、ここにはイソメで釣れる魚はいないと判断し、場所を変えようと思った。

すると、10メ

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敦賀だより18 イカを釣りたい

敦賀だより18 イカを釣りたい

順調に釣りに目覚めて、敦賀の人らしくなってきた。

最初は小学生でも釣れる敦賀新港のマメアジのサビキ釣りからのスタート。
サビキ釣りというのは、餌カゴにみっしりと小さなオキアミをつめて海に投げ入れ、その餌が散らばるあたりに小さな針を垂らす釣りの方法だ。たいてい、カゴと針はセットの仕掛けとして売られている。

餌のオキアミが海中に散らばると、四方八方から小さなアジがどっと集まってくるのが肉眼でも見え

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敦賀だより17 イワシの渦

敦賀だより17 イワシの渦

10月になった。

札幌に住んでいた頃、10月と言えばすでに秋真っ盛りであり、大学構内のイチョウ並木が色づき、ギンナンが落ち始める頃だった。拾ってきたギンナンを茶封筒に入れて、レンジでチンして食べるという技を先輩が伝授してくれたのは、初めて札幌で体験した秋のこと。私はそれまでギンナンを食べたことがなかった。

神奈川の10月は暑くも寒くもない、最高の季節だった。金色に輝く稲穂の波の間をバイクで走り

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敦賀だより16 ひとり遊びの夏

敦賀だより16 ひとり遊びの夏

もし誰かに
「この夏はどんな夏でしたか?」
と聞かれたら
「ひとり遊びの夏でした」
と答えるだろう。

昨年までは、ちびっ子たちと川や海で遊んでいた。
とっても賑やかで楽しい夏だった。
だが、それは彼らの成長を見守る夏であり、出来ることが増えていくのを眺めていただけで、私はずっと同じ夏を生きている感じだった。

つまり、わたしだけ成長が無い。

今年は、引っ越して愛すべきちびっ子たちとお別れしてし

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敦賀だより15 龍が住む洞窟の話

敦賀だより15 龍が住む洞窟の話

敦賀半島の先端にほど近い水島から敦賀湾をはさんだちょうど真東に杉津(すいず)はある。
敦賀の市街地から越前海岸に沿って北上する8号線沿いに、ぽつぽつと点在する集落の一つだ。

急峻な山々が海にむかって急角度で落ちていくような北陸の海岸地帯では、川沿いのわずかばかりの平地に畑を作り、半農半漁で暮らす人たちが多かったのだろう。
今も上手に船を操る海の男が多く住んでいる。

今回はそんな海のおじさんたち

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敦賀だより13 光るコースター

敦賀だより13 光るコースター

せっかく自然が多いところに住んでいるのだから、ここでしか見られないものを見ようと思った。
梅雨の時期である。
蛍が飛ぶ季節だ。
見たい。
もしかすると乱舞が見られるかも。

首都圏にいた頃は、とっておきのマル秘スポットだと思って見に行っても、実際にはたくさんの人が口コミで押し寄せ、どう見ても蛍より人間の方が多い蛍狩りだった。
こちらはどうだろう。
ネットで調べて、蛍がいそうなところをピックアップす

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【敦賀だより11】ついに師匠をゲット!

【敦賀だより11】ついに師匠をゲット!

冬の初めに釣具屋さんに出かけた話は書いた。

この時は、時期的にまだ魚の活性が上がってないし現場で教えてくれる人がいないと釣りは楽しくないからと、目的のリールも仕掛けも手に入らずじまいだった。「釣りは伝承遊びだ。人から人へ伝承される文化が大事だ」という信念を持った店長さんに心打たれて、まずは釣り友を作ろうと思ったのだ。

でもさ、釣り友って、自分も釣らなきゃできないんじゃない? 見てるだけで友達に

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