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「生きるように働く」を読みながら考えること。

8年半勤めた会社を辞め、もうすぐ1か月が経とうとしている。
その間、本当に多くの人に声をかけていただいて、ランチと夕食、どちらも人と会って過ごすような毎日が続き、ようやく落ち着いてきた。

これといって次の仕事を決めて辞めたわけではなかったので、「勇気あるね」とか「不安じゃないの?」とかいろいろ心配の声ももちろんいただく。でも大半が二言目に、「なんか三宅さんなら何とかなる気がするね」と言ってくださるので、わたしもどこかそんな気がしていて、意外とあっけらかんとしている。

もちろん不安がないわけではなくて、せっかく思い切って辞めたんだから、自分の好きなことをやって生きていきたい、と日々模索しながら生活している。

こういうとき、昔からわたしは「本」に頼ることが多い。

本が答えをくれるわけではないけれど、何かヒントをくれるような気がするからだ。だから先月末に引っ越しをしたときに、だいぶ本を整理したのだけれど、また最近「活躍している女性たち」とか、「素敵な人になるために、どう生きていったらいいか」とか、そんな本や雑誌ばかりを手にしては買ってしまう。

そんなもやもや期のわたしに、訪れるたびに元気をくれるサイトがある。それが「日本仕事百貨」という求人情報サイトだ。求人会社を一件一件、丁寧に取材記事として紹介している。

初めて知ったのは、おそらくこのサイトが立ち上がった当初。当時物件検索サービスの企画を担当していたわたしとチームメンバーの先輩とで、よく新しいサービスを見つけてきては、「このアイディア、うちのサイトの次の企画に生かせそうだね」なんてよく話していた。そのうちのひとつが「日本仕事百貨」だった。

当時はまだ、物件検索も、求人検索も、条件を入力してニーズに合うものを絞っていくスタイルが当たり前だった。でも私たちはどうしても、そうしたシステマチックなサービスに違和感をもっていて、「もっと本当の意味で、自分に合った部屋(会社)を見つけられるサービスを作りたいよね」なんて、飲みながら夢を語っていたのを今でも覚えている。(それが後のhalettoのサービス概念につながっていたりもするんだけれど)

仕事を辞めることを決めてからは、気が付けばこのサイトを眺めていた。自分のスキルや希望する年収などからではなく、そこで働く人の「想い」や「一緒に働く人たちの人柄」、そして普通だったらできるだけ隠しておきたくなるようなネガティブなことまで、包み隠さず書いてある。

普通に生きていたら絶対に出会うことができなかったような仕事ばかりが載っているから、ついつい長居をしてしまう。

そんな日本仕事百貨を運営するナカムラケンタさんが本を出されたというので買って読んでみた。まだ途中までしか読んでないけれど、あたたかな言葉と、共感できる内容が多く、寝る前やお風呂の間も、隙間時間を見つけてはゆっくりゆっくり読み進めている。ナカムラさんの書き口は、わたしの大好きな文筆家の松浦弥太郎さんにも似ていて、とても言葉の一つ一つが温かい。

今でこそ、訪れるたびにたくさんの求人が更新されているこのサイトも、最初から順風満帆ではなかったようだ。(たしかに、わたしが当時見ていたころは、ほとんど求人は更新されていなかったような気がする)

ナカムラさんと、その仲間の皆さんが、「生きるように働くこと」が当たり前になる世界を信じて、少しずつ、少しずつ積み重ねてきたことを、そこで出会った人や仕事を通じて、紹介されている。

そういえば、先日日本仕事百貨で紹介されていたとある会社に、問い合わせをして会ってきた。文中で紹介されていた通りの会社と社長のお人柄にすっかり惹き込まれてしまった。諸事情で、求人をしていた仕事はできないのだけれど、「それでも何かの形で一緒に仕事がしたいんです!」という熱い気持ちを伝えたら、「こんどランチをしましょう!」と社長に誘っていただいて、ここでも意気投合。「こんどは飲みに行きましょう!」と誘っていただいて、今週末一緒に飲むことも決まった。

自分と同じ感覚の人が作ってくださるサービスだからこそ、そこに掲載したいと集まる求人会社も素晴らしい会社が多く、こうした飲み仲間につながって、本当にありがたい。(飲みながら、とあるテーマでイベントをしませんか?と、今度は私から誘ってみるつもりだ)

自分の心にうそをつきたくないから、どんな仕事だって、きちんと目的と意思をもって取り組みたい。そして願うなら、それが世の中の人のためにちょっとだけなれば、もうお金はそのあとでいいと思っている。

そんな風に生きていきたいから、ちょっとだけ、長いお休みをいただきながら、やっぱり考え続けなければいけない。残念ながら、自分の仕事を何にするのかだけは、誰も教えてはくれないし、教科書もない。ずっとずっと、たぶん考え続けなければいけないのだ。果てしなくてちょっぴり苦しいけれど、何事も、おもしろがって。そうして考え抜いた先には、きっと何かあるだろう。この本を読み終えるころに、そんな風になっていたらいいなぁ。


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