①昨日まで理学療法士、今日から患者

【プロローグ】

「理学療法士になる」

そう決めたのは高校2年の終わりがけ。

私が通っていた高校はある大学の付属高校であったため、内部推薦で大学に上がる人が多いとういう環境でした。

私もそのつもりでした。

何となく生物や環境に興味があったので農学部にいくつもりでした。

私は中学から高校まで剣道をやっていました。

入ってから知ったけど、県内ではまぁまぁ上位にくる高校だった笑

高校で部活漬けで、よくある話だけどケガをしました。

右前腕(肘~手首にかけて)を挫傷して手に力が入いりにくくなった。

右利きなのにつらい・・・・

そして普段通りの稽古ができない悔しさ、利き手が使えない不便さや辛さを知りました。

実はこういうスポーツでのケガ→理学療法士目指す!って溢れすぎてるくらい超王道だったります(笑)

私もそんな超王道を突き進み理学療法士になりました。

【発症前に感じた違和感】

理学療法士1年目。

実は臨床実習で不合格になって遠回りして理学療法士になりました。

早くなりたくて仕方なかったし、良い職場に巡り合い仕事はとても楽しかったです。

振り返ってもあの時期が1番楽しかったです。

1年目の理学療法士は私だけだったのもあって、先輩にはかなり可愛がってもらったし、飲みにもたくさん連れて行ってもらいました。

仕事は忙しくて結構ハードだったけど楽しかったし、休みの日でもみんなでBBQやラフティングをしたり、仕事終わりにボルダリングに行ったり本当に楽しい時期でした。

そんな1年目の終わりがけの2月。

「何となく身体がだるい」

そう感じていました。

寝てもあまり疲れがとれないのです。

でも2月といえば病院は繁忙期。

患者さんが増えるし働き出して1番忙しかった時期。

担当患者さんがどんどん増えて、サマリーなどの事務作業もあり残業が多かったのです。

「冬の忙しさに慣れていないだけ??」

「職場も少し遠かったしまぁ疲れだよね」

そんな風に思っていました。

しかし、だんだん身体の倦怠感は異常なのでは?

と感じるレベルになってきたのです。

特に両脚のだるさといったら何とも言い表せない程でした。

しっかり寝たはずが起きると、もう起き上がりたくないくらいだるくて仕方ないのです。

毎朝この感覚を味わい、もう絶望感というか・・・しっくりくる言葉が見つかりません。

しかし脚がだるいだけで仕事を休むわけにもいかず出勤。

午前中はだいたい調子がいまいちで何となく歩きにくさを感じるのに午後には結構楽になっていて、結局仕事はできてしまうのです。

患者さんのリハビリをしている時間が意外にも一番身体は楽でした。

しかし日に日にだるくなる事に不安になってきて

何かの病気なんじゃないか?

そう思えてきました。

脚がだるい

この症状がある病気なんていくらでもあるのです。

重症なものを探そうとすればそういう病名もヒットしてしまいました。

「さすがにそんな大ごとではないだろう」

そう思ってスルーするしかなかったのです。

【歩きにくい】

何も対処法が見つからないなか、だんだん「歩きにくい」と感じるようになりました。

当時24歳。

歩きにくいと感じる事がもう普通ではないのです。

ついに歩くスピードが落ちている事を自覚させられる事が起きました。

普段通りの時間に出ても職場に到着する時間が遅くなっていたのです。

私は電車通勤で途中、名古屋駅で乗り換えをしていました。

乗り換えのための駅構内の移動が遅すぎて、今まで乗っていた電車より遅い電車にしか乗れなくなっていたのです。

さすがにそこまでくると、職場の人たちも違和感を感じてきます。

「だるそうだけど大丈夫?」

最初に気づいてくれたのは助手さんでした。

「午後になるといつも調子良くなるから大丈夫です」

そう答えていましたが私自身の不安も強くなり、上司に相談をして職場の神経内科を受診しました。

理学療法士は日々患者さんのリハビリをするにあたり、筋力や麻痺の程度、感覚障害あるか、関節可動域やバランス・・・

他にもたくさんの機能を評価します。

しかし自分の事となると案外わからないもので、すでにこの時には両脚に軽度の筋力低下があったのです。

下肢の粗大筋力はMMT4レベルでした。

しかしすぐに診断がつくわけでもないので、血液検査を終えて仕事に戻りました。

そしてその数時間後。

私は担当している神経内科の病棟で突然倒れたのです。

気がついたら床にいました。

何が起きたのか全くわからなかったです。

幸いナースステーションだったのですぐに看護師に発見されて

「大丈夫?」と声をかけてもらいました。

「立ちくらみがして・・・椅子貸してください」

そういうと看護師が支えてくれて一度立とうとしました。

しかし両脚とも全く力が入らずそのまま床に崩れ落ちたのです。

何が起きているのか私は認識できなかったけど、身体はわかるのでしょうか。

理由がわからないまま私は号泣しました。

周りの目を気にせず、よくわからず泣いたのは後にも先にもこの日だけでした。

涙はしばらく止まりませんでした。

でもラッキーだったなって事がいくつかあって

・倒れたのがナースステーションだった

・さらにそれが神経内科の病棟で神経内科医がすぐ近くにいた

・患者さんのリハビリ中ではなかったので、危険にさらさなかった

そして、駅で倒れて線路に落ちていなくてよかった。

階段だったか骨折もしていただろう、よかった。

予想もしていなかったけど、この日から突然の入院生活。

つづく。

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