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『手紙屋』がとても良かったので、噛み砕いて就活生に伝えたいことを書いてみた。

『手紙屋』という本を読んだ。
あまりにも良い本で、新卒採用人事として考えさせられる事も多かったので頭の中を吐き出してみようと思う。

▼想定読者
・新卒就活中の学生さん
・キャリアに悩む若手社会人

『手紙屋』は就活生の主人公が、手紙屋という職業人と合計で10通の手紙のやり取りをするという物語。
主人公の就活の進捗に併せて、手紙に書かれるメッセージも進んでいく。そしてそこに書かれた言葉から学び、成長していく。
物語形式で話は進み非常に読みやすいので是非読んでみて下さい。
※このnoteでは僕の心に残った言葉をいくつか抜粋、僕の解釈も含めて引用しています。

あなたの頭の中にいつも“天秤”を用意する。

多くの成功者は「人生は思いどおりにいく」と思っており、夢を実現できなかった多くの人達は「人生は思いどおりにいかない」と感じます。
その違いはなんなのでしょう?

多くの成功者は頭の中に“天秤”を用意しています。
天秤の片方には、あなたが手に入れたいものを載せます。
そして、それと釣り合うものを、釣り合う量だけ、もう片方の皿に載せたときに、あなたの手に入れたいものが手に入るのです。

例えば、「チームで一番野球がうまくなりたい」というものを天秤に載せるとします。
それを手に入れたければ、反対側にそれと釣り合うだけのものを乗せる必要がある
“チームの誰よりも、意味のある練習をする”というものを載せればいい。

一方で、天秤に載せる手に入れたいものを変えたとしたらどうなるでしょうか?
「日本で一番野球がうまくなりたい」という目標に変えたら、もう片方の皿に載せなければならないものも変わってくる。

人生が思い通りにいかないと悩んでいる人の多くは“○○大学に合格したい”の反対のお皿に“お賽銭100円”を置こうとしている。

“天秤”の考え方はシンプルかつ、本質的な成功への考え方だと思った。

僕は口癖として「頑張る」という言葉をよく使ってしまう。
頑張るということは素晴らしいことだと、大前提思っている。
ただし、「頑張る」だけでは何も叶えられないことも知っている。

頑張る理由は、得たいものがあるから。
そこに立ち返ったとき、天秤の反対側に載せるべきは「頑張った」というプロセスではなく、得たいものと釣り合うものを、釣り合う量だけ。これ以外にない。

お賽銭に100円玉ではうまくいくはずがない。
たとえ「努力」をしていても手に入らないのであれば、努力の仕方が得たいものと等価になっていない可能性がある。

努力の質については下記の記事がとても良かった。

掛布さんに言わせれば、プロになったら誰でも500回ぐらい素振りをしていて、そんなものは努力に値せず、王貞治さんの言葉にも「努力は必ず報われる。報われない努力があるとするなら、それはまだ努力とは呼べない。」という有名なものがあります。
※一部抜粋

上の記事に重ねて、「努力の質」についての話で僕がいつも思い出すのがオランダの少年サッカーの話(たしかオランダだったはず…)

日本の少年サッカーのコーチはゴールを決めた子に「すごいね!頑張った!」と言う。
一方でオランダの少年サッカーのコーチは、ゴールを決めた子に対して「なんで今のシュートは決まったのかな?さっき決まらなかったシュートとの違いは何なのだろう?」と聞く。

果たして自分の努力は、得たいものと釣り合うものなのか。
成功するために常に頭の中に天秤を持ち続けよう。

自らの進んだ先に『自分の夢』を当てはめない。

あなたは、就職活動という壁を前に、どの方向に進むべきかについて悩んでいるようですね。その原因の一つは、『自分の夢』に向かって自らの進むべき道を決めようとしているのではなく、自らの進んだ先に『自分の夢』を当てはめようとしているからじゃないでしょうか。
具体的に言えば、大手自動車メーカーの社員になった場合の自分の人生はこうなっていていくだろう、中小企業に入社することになった場合はこういう人生になるだろう、といった具合に、行く場所によって、もしくは職種によって、自らの将来の夢が制限されるような感覚で、自分の所属する場所を決めようとしているんじゃないかと思うんです。

しかし実際はそうではありません。あなたたが就職する先は“将来を成約する場所”ではないのです。

就活にはいくつかのステップがあると思う。
自分を知る、将来像を描く、会社を知る、比較する、決める。
このステップを「会社を知る」から始めることにより、「進んだ先に夢を当てはめる」ということが起こってしまう、と僕は思う。

会社を知る=企業の説明会に行くと魅力的に見えてしまいますよね。
僕は合同説明会に行くたびに、大学入学直後の新歓期を思い出します。
どんなサークルを見に行ってもかっこいい先輩たちがいて、キラキラして見える。

一方で、そうやって会社を知ることから始めると、会社の魅力が自分の志望理由になってしまう場合がある。
自らの進んだ先に夢を当てはめるようになる。
結果としてそれぞれの会社の先にある自分の像を比較してキャリアを考えてしまう。どの会社に行くかによって未来の自分が決まる(制限される)感覚を持ってしまう。

しかし、本来はどの会社を選んでも自分の未来が制限されることはない。
会社は自分の夢を叶えるための場所だから。
やりたいことでも、ありたい姿でもいい。自分の理想を描いて、それを実現できるのはどこかな?と会社探しをしてみてほしい。

自分に向いていることを探さない

“向いていると思う職業”なんて幻想です。向いているかもしれないし、向いていないかもしれない。
若い人たちは「これは自分に向いている」とか「向いていない」と工夫も努力もせず、その本当の面白さや重要性を理解することもなく、第一印象でのみ仕事の種類や会社を取捨選択したがりますが、会社は、本人が気づいていない可能性を開花させる方法は、本人だったら選ばないような仕事をやらせることだということをよく知っているのです。
あなたが“自分に向いている職業”を探すのは、自分ではまだ気づいていない自分の才能を開花させるチャンスを失う恐れがあります。
そんなことを考えるよりも、向いていなくてもいいからその会社の活動が自分をワクワクさせる。そんな会社を探してみたらどうでしょうか

「自分の強み・弱み」を探そうとして自己分析に迷走するということはよくあることなのではないかと思う。
一方で会社は就活生が思っている程に「強み」や「弱み」を言葉通りに評価をしていないと僕は思うのです。

たとえば部活やサークルで新歓活動をやりますよね?
そのときに「僕はリーダーシップが強みです」という新入生を将来の幹部候補として入部させるでしょうか?
そんなことはない、と僕は思うのです。

自分の強みや弱み(本当は「特徴」があって、それらがある場面では強みに、ある場面では弱みになるというだけだと思うのですが)を知ることは、自分自身を活かす上で大きな武器になる。
自分は一夜漬けができない性格だ、という自分の特徴を知っていれば、早くからテスト勉強を始めればよい。

一方でそこに固執して自分のキャリアを制限する必要はないと思う。もちろん活かせるなら活かしてもいいと思うが。
向いているかどうかなんてわからないし、新卒の就活前に思う強みや弱みなんて入社したら一瞬で逆転できるし、されるようなもの。
向き不向きよりも、前向きに。
そう思ってやれるようなワクワクする環境をぜひ探してほしい。

大きな夢を持つということは、大きな壁を乗り越えなければいけないことと同義です。

大人は「大きな夢を持ちなさい」とよく言います。
若い人たちは、言葉どおり自らの人生の中で何度か大きな夢を持とうとします。そして、大部分は失敗します。そのうち「大きな夢を持っている」と公言するのを恐れるようになります。失敗してから他人から嘲笑されることを恐れるから、自分でも成功する自信をなくすから、と理由はさまざまです。でもそれは、大きな夢をもつときに必要な覚悟が初めから欠如しているからだと私は思うんです。

大きな夢を持つということは、大きな壁を乗り越えなければいけないことと同義です。

就活を始めるとたくさんの大人から「やりたいことは?」と聞かれる。そうして就活生はやりたいことを探していく。

人事をやっていると、たくさんの学生さんから「やりたいこと=夢」を聞く機会がある。
夢があることは素晴らしいことだ。未来を創る若者たちが夢を語ってくれることほど日本の未来は明るいと思える瞬間はない。

一方で「やりたい」に深さがないと感じてしまう場面が多いのも事実だ。
想いが感じられない、そもそも現状を調べていない、解決するための道のりを考えられていない。
手紙屋の言葉を借りると「覚悟がない」ということなんだろうと。

本当に夢を叶えるのであれば目の前に大きな壁がたくさん現れることを知っていてほしい。
少なくとも自分が目指す夢ならば、どんな壁が現れるのかを具体的に考えてみてほしい。

ここで言う覚悟とは、「天秤に釣り合うだけのものを載せる」覚悟だと僕は思う。
だから自分の載せた夢の重さを知らないといけないし、それに釣り合うだけのものが何なのかを考えてみてほしい。

描いた未来は実現する。
一方で、描けない未来は実現しようがない。
無理に大きく描く必要はない。自分が本当に叶えたい夢を探してみてほしい。そしてそれを実現する方法を考えてみてほしい。

最後に

今回は自分が本を読んで考えたことをとりとめもなくアウトプットしてみました。
『手紙屋』は他にも金言が多く、読む人のその時の課題感によって感じることが変わっていきそうな内容だと思いました。
ぜひ手に取って、読んでみてください!

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