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酢について知ろう ①~③

割引あり

現状の勉強の進み具合

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【料理のさしすせそ】 ←済
【調味料】
  ●砂糖 ←済
  ●塩 ←済
  ●酢 ←今回はここ
  ●醤油
  ●味噌
  ●みりん
【肉、魚、穀物、野菜、果物】
【卵、乳製品】
【油脂】
【ダシ】
【飲料】
【調理方法】
【心理、文化、遺伝】

さて、前回まで「砂糖」や「塩」という、調味料の王様ポジションの勉強をしていた。
今回は、酢ということで、家庭では「砂糖」や「塩」、「醤油」ほど使わない調味料と言える。

では、まずは酢の特性一覧を見てみると

①酸味と風味を付与
②食材の色に影響する
●緑色のクロロフィル色素は酸性のため退色する。
●アントシアニン色素は、酸性で赤系統の色に発色したり、安定して退色しにくくなる。
●野菜等の酵素的な褐変を防ぐ。
③硬さに影響する
④魚臭を弱める
⑤肉のタンパク質を変性させ、肉がしまる。
⑥たんぱく質の加熱変性を助ける(卵が固まりやすい)
⑦ビタミンCの酸化を抑える
⑧殺菌、制菌作用がある
⑨塩味との相互作用(強い塩分を和らげ、弱い塩分を補う)

となっている。
一覧を見てみると、砂糖や塩と同じようなことが書かれている。
料理(調味料)とは、ついつい「美味しくする」が目的と思ってしまうが、本来の意味は
●保存性を高める
●消化を助ける
●殺菌が目的
だったりする。
となると、調味料の目的も被ってくると言えるだろう。

酢の特性 ①酸味と風味を付与

酢は酸っぱいっというのは、当たり前の感覚と思う。
しかし、「酢はなぜ酸っぱいのか?」っと聞かれたら、答えに困るだろう。
そもそも、酢はどうやってできるのかを解説する。
スーパーに行くと、「穀物酢」や「りんご酢」などを見かける。
これらは酢酸菌(さくさんきん)という菌によって作られる。
ちなみに、菌によって作られるため、酢も発酵食品である。

酢酸菌は、糖やアルコールを分解(エネルギーに)して、酢酸を生成する。
言ってしまえば、この酢酸が酸っぱいのである。
ちなみに、ワインなどを長時間放置すると酸っぱくなるのは、酢酸菌によって酢酸が増えるからである。

ネタ話だが、例えばアルコール類に生の酢(加熱されていない酢)を加えると、酢になる。
では、酢の種類を見てみる。

米酢

原料に米を一定量以上用いた醸造酢。
米だけを用いたものを「純米酢」、ほかの穀物を加えたものを「米酢」とし、純米酢の方が風味やコクが強い
発酵臭が強く、濃厚な風味は和食に適しており、生魚を用いた寿司などに適している。加えて、豊かな風味は隠し味としても効果を発揮する。

黒酢

米酢の一種で、麹と米と水を長期発酵させた酢。
長期発酵により、酢の色が黒くなるので黒酢、壺を用いて作るのでつぼ酢とも呼ばれる。
酸味がまろやかでうまみ、甘味が強く、濃厚な風味がある。飲料やデザートなどにも適している。

穀物酢

米、麦、酒かす、とうもろこしなどの穀物を原料に用いた醸造酢。
米酢と比べてうまみや甘味、香り、色も穏やかで、価格も安い。
クセがなく、風味が個性的でないので、幅広い料理に使われる。

ポン酢

本来は「だいだいのしぼり汁」のことだが、「ユズ」、「スダチ」、「かぼす」などの果汁を用いたもの
爽やかな酸味があり、レモン汁よりも和食に適した酸味や香りがある。
醤油と合わせたものをポン酢醤油という。

バルサミコ酢

イタリア特産の酢。ブドウ液を煮詰め、数十年木の樽で熟成させる。
黒酢のような色調で濃度があり、特有の甘味とコク、香りがある
肉や魚料理、デザートのソース、サラダのドレッシングなど幅広く使用される。

ワインビネガー

ブドウ果汁を原料に、アルコール発酵酢酸発酵させて作った酢。
原料として1ℓ中にブドウの果汁が300g以上含まれている必要がある。
赤と白が存在し、赤い方は渋みがあって重く、白い方は軽い
サラダドレッシングに向き、特にりんご酢に赤ワイン酢を混ぜると風味が良い。

リンゴ酢

りんご果汁を発酵させて作った醸造酢。
原料として1ℓ中にりんご果汁が300g以上含まれている必要がある。
りんごの香りがあり、酸味成分の中に酢酸のほか、りんご酸なども含むため非常にさっぱりした酸味である。
しかし、アミノ酸はあまり含まれておらず、うま味成分は無い。サラダドレッシング向き。

恐らく、どれもスーパーで見たことがあると思う。
共通していることは、「酸っぱい」ということである。

さて、「酸っぱい」っという表現だが、レモンも「酸っぱい」と言える。
では、「レモンは酢か?」と聞かれると、違うと答えるだろう。
レモンが酸っぱいのはクエン酸があるためであり、酢酸によるものではないためである。

酢を加熱した蒸気を吸い込むと、むせそうになる。
これは、加熱により酢酸が揮発するためである。
つまり、逆を言えば、煮詰めた酢は「酸っぱさが減る」
これは感覚的に分かるだろう。
しかし、ここでワインソースを考えてほしい。
ワインビネガー(ワイン)を加熱しても、確かに酸っぱさは減るが、できたソースには多少酸味が残る。

これはどういうことかというと、揮発酸(きはつさん)と不揮発酸(ふきはつさん)というものがあるからである。

揮発酸とは、加熱によって揮発する酸である。
酢酸などがこれにあたり、発酵によってできる酸は主に揮発酸である
(酢の場合、8割以上が揮発酸)
一方で、不揮発酸とは加熱によって揮発しない酸である。
クエン酸やりんご酸など、果実に含まれる酸は主に不揮発酸である
(ワインなどに含まれる)
つまり、ワインソースにはクエン酸などが含まれているため、加熱しても酸味が残っているのである。

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