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ピアノ変生曲第2番~自分の思いのまま~

これは、ピアノを習っている間全く上達しなかった私がやめてから上達した物語です。

ピアノ変生曲と題して第1番と第2番の2部構成で書いています。

第1番は、ピアノを習っていても全く上達しない私

第2番は、ピアノをやめて自ら弾くようになって上達した私

ちょっと長いですが、読んでいただけるとうれしいです。

子どもは自分でやる気がでると伸びるんです。

🔵脱ピアノコンプレックス

小学6年生になってようやくピアノ教室から卒業した私は全くピアノを弾かなくなっていました。

ピアノを弾きたいなんて考えは浮かびませんでした。

その頃の私は小学校のクラブ活動で、合奏と合唱をしていて、その練習に夢中でした。

音楽は好きなので、同級生たちと演奏する時間はとっても楽しいひとときです。

合奏は、ハーモニカ担当でした。

このハーモニカは、複音ハーモニカといって、吹き口が上下2段になっていました。

これまで小さな1列のハーモニカしか見たことなかった私は心踊りました。

本当はアコーディオンが演奏したかったのですが、何せピアノが下手なので選抜されず、しょうもない自分にがっかりしていたのです。

その頃には、自分と他所のピアノ教室で習っている同級生との間に大きな差ができていることも十分自覚していました。

まぁ、仕方ないか

そう思っていたところに与えられた初めて見る2段のハーモニカ!

うれしくて唇が腫れるほど毎日練習しました。

そのお陰でピアノを習っていた時にはわからなかった羽付き音符がわかるようになったのです。

音楽って楽しいな
演奏するって楽しい!

その喜びを味わいながら日々練習に打ち込んでいました。


🔵ピアノって習わなくても弾けるんだ

楽しくクラブ活動でハーモニカを演奏する冬休み前のある日、

音楽室で同級生何人かがピアノの周りに集まって、自分の十八番を弾き比べしていました。

どの子も上手くて、自分と比べてなんてすごいんだろう!

何だか気後れしていました。

うらやましいような、悔しいような、悲しいような複雑な気持ち

そこに6年生になって転校してきた子がピアノを弾き始めました。

とっても上手で周りも拍手をしていました。

近くで聞いていた子が「どこの教室いってるの?」と尋ねると

「私、ピアノ習いに行ったことないの。でもピアノ好きだから、自分で練習して弾けるようになったんだ。この曲前の学校で友達が弾いてて、すごく好きだったから教えてもらったんだ。」

「この曲いいよね、ブルグミュラーだよね。スティリアの女だよね。」

えっ、ピアノ習いに行ったことない?
自分で練習して弾けるようになった?
どういうこと?

頭にイナズマが落ちたかと思うくらいの衝撃でした。

私は7年も習ってて、この子が弾いている曲なんて弾けないし、しかも初めて聞いた曲です。

ブルグミュラーって何?
スティリアの女って何?

そんなことよりも、
ピアノって習いに行かなくても弾けるようになるんだ

目からウロコでした。

教えられたとおり
言われたとおり
教則本とおり
そうしないとピアノは弾けるようにならない

そう思っていました。

違うんだ…

次の日、「ブルグミュラーの25の練習曲」という「スティリアの女」が入っている本を買いました。

私にもできるかも


🔵ピアノって楽しんだ!

ブルグミュラーの本を買ってから、まず聞いたばかりのスティリアの女を弾いてみました、が。。。

自分にそれを弾けるだけの技術がないことをすぐに思い知りました。

ハーモニカのおかげで音符はわかるようになったのですが、鍵盤を押す指がおぼつきません。

この曲が弾けるようになるために何をすればいいんだろう

それで、久しぶりに「子供のバイエル 下巻」を見ると、音階がずらずらと並んでいる譜面が多いことに気づきました。

一応。教則本が基礎練習だということは理解していました。

これができてないと、ブルグミュラーの曲を弾くのは難しいかも
鍵盤の端から端まで音を続けて弾けるようにならないといけないんだ

その日から右手も左手も毎日鍵盤の端から端まで行ったり来たりする練習を繰り返しました。(この練習スケールというらしい)

段々とスムーズにいったり来たりできるようになり、ピアノの練習が楽しくなってきました。

習わなくてもピアノは弾けるようになれる!

確信を持って私は練習を続け、2週間が過ぎたころ、ついに「スティリアの女」を弾けるようになったのです。

さらに、毎日スケール練習を続け、ブルグミュラーの他の曲もどんどん弾けるようになりました。

母に「習った時は全然練習しなかったのに、なんでやめてからピアノこんなに毎日弾くの?」と不思議がられました。

そんなこと、私もわかりません。

わかっているのはただ一つ、

ピアノって楽しいんだ!

心からそう思えました。


🔵コードってすごい

これまでがウソのようにピアノが楽しくなった私は、自分で譜面を買って色々と弾くようになりました。

その頃流行りの曲のピアノ本を買ってアイドルが歌う曲を弾いたりしていました。

自分の好きな曲を選んで弾けることは長年の憧れでしたから、毎日飽きもせず弾いていました。

毎日楽しく弾いている楽譜の五線譜の上にアルファベットと数字が書いてあります。

これなんだろう

それが何かわかりませんでしたが、ピアノを弾くのには関係なかったので、そこまで気に留めていませんでした。

中学校に入学し、初めての音楽の授業の日

若い男の先生が教壇にいました。

「音楽って音を楽しむものだから、みんなで音を楽しみましょう」

そういうと、コードと和音 と黒板に書いて

「この授業はコードを覚えて、グループ分けして、自分たちで決めた曲を編曲して、発表します」

私をはじめクラスのみんな、先生が何を言っているのかわからず、ポカーン

コードってなに?
アレンジってなに?

先生はそんな子ども達にはお構いなしで話を続けます。

C Ⅾ E F G A B C
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド 

C から黒板に書いて、その下にドレミを書いていきます。

「これがコードの基本」
「このアルファベット一文字が和音なんだ」

???????なにそれ??????

和音にすると
C は、ドミソ
D は、レファラ
E は、ミソシ
F は、ファラド
G は、ソシレ
A は、ラドミ
B は、シレファ
C は、ドミソ

「これを知ってると、自分の好きなように曲が作れるんだ」

え、好きなように曲が作れる?

何それ、コードってすごい!

何だか心がワクワクしていました。


🔵すごいことを教わる

その日の授業でグループ分けまで終わりました。

次の授業は、まず、グループに分かれて、曲目・担当を決めました。

私たちのグループはその頃流行っていた「渚のアデリーヌ」を発表することになりました。

そこに先生が「渚のアデリーヌ」の楽譜のコピーを持ってきてくれました。

先生が用意してくれたのはピアノ連弾の楽譜です。

譜面を見ると、例のアルファベットと数字も書いてあります。

「ここにコードが書いてある。数字もあるが、基本がわかっていれば自分たちで曲にアレンジがつけられるから大丈夫。わからないことは聞きなさい。」

これってコードだったんだ!

ものすごいことを教わっていることに、私はようやく気づきました。

私たちは、4人グループで担当ごとにどんな演奏をするかを考え、楽器をピアノとエレクトーンとドラムにしました。

メインはピアノ、エレクトーンは和音と足で低音、ドラムはリズムです。

私はピアノ連弾の一人になりました。

人前でピアノを弾くなんて、これまでの私では考えられないことです。
でも、このころには「練習すればできる」という自信がついていました。

みんなで話し合い、何度も細かいところまで話し合いながら、それぞれのパートの音を考えました。

ドラム担当の子は、初めてドラムを叩くので、しっかりリズムが刻めるよう練習しています。
ドラムは経験者がいなかったので、先生が使い方と叩き方を教えていました。

一台ずつしかない楽器を他のグループと交代しながらの練習は思うように進みません。

それぞれのグループが音楽の時間以外も練習のために音楽室に通っていました。

こんなにも音楽の練習が待ち遠しいと思ったことはありません。

だって、自分たちでアレンジできるなんて!
与えられた楽譜を弾くだけの音楽じゃなくて、
自分たちが自由に思いのまま作れるなんて!

グループで自分たちの曲を作り上げていくため、ピアノを習っている子も、音楽にそこまで興味がなかった子も、みんな真剣に楽しんでいました。


🔵自分の思いのままに

グループ毎の発表会は、真剣ですが、堅苦しくなく、和気あいあいとしたものでした。

それぞれのグループが自分たちのアレンジした曲を披露します。

アレンジなんてしたことがない子ども達なので、違う曲調にアレンジなんてことはないですが、コードやリズムの中からそれぞれの楽器に役割を持たせることを考えました。

もちろん初めて触る楽器もあったり、元々興味がない子もいたりして、技術や表現はおぼつかなのですが、みんなでわいわい言いながら音楽を作っていく楽しさをこの授業をとおして知りました。

その音楽を作る楽しさが忘れられず、私は「渚のアデリーヌ」の連弾楽譜を自分一人で弾けるようにアレンジしました。

自分で弾けるように自分でアレンジ

ピアノを習っていた時の私には想像もつかないことです。

楽譜は楽譜とおり弾く
楽譜とおり弾けない人はダメな人

そう思っていた頃の私からすると『中学生になって、ピアノが弾けて、その上自分用にアレンジするなんて、魔法みたいなこと』です。

でも授業で習った“コードの魔法”で私は自分が弾きたい曲を自分でアレンジして弾くことができるようになりました。

もちろん、ピアノが上手いわけではありません。
ピアノを習っていた頃よりも上達したというだけです。

確かなのは、その実感と自由に音楽を作っていいという安心感。

もう自分の思いのままです。

ようやく5歳の時の夢がかないました。


フォローさせていただいている
ピアノ講師 岡太淳子(おかだじゅんこ) さん
わかりやすくピアノとコードを解説してくださっています。
興味のある方はぜひご覧ください!


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