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水仙をあなたに

冬の寒さの中で
姿勢良く真っ直ぐ伸びた葉を持ち
凛と咲く水仙の花は
気高いあなたを思わせる
水仙の和名は雪中花せっちゅうかというそうだ

水仙というと、ナルシストの語源にもなった、水面に映る自分の姿に恋をする美少年ナルキッソスの神話が思い浮かぶけれど、あなたは自惚れるということのない人だった。自身の美しさには無頓着で、俳優という仕事の素材としての自分、職人でいうところの道具として、己の容姿を捉えていたように感じる。

水仙にちなんだもう一つの神話である、冥界の王ハーデスに一目惚れされた娘ペルセポネが黄泉の国へ連れ去られ、 "もう一度自分の元へ帰って来てほしい" と嘆き悲しむ、母である豊穣の女神デメテルの物語こそが、あなたを想う私たちにはふさわしい。


映画「ブレイブ -群青戦記」で春馬くんが演じた松平元康(後の徳川家康)は、貫禄があり清廉な人柄が滲み出るような役柄だった。

ー 人がひとり死んで、そこまで悲しむことができる。お主はそういう時代から来たのだな
ー みなが無茶だと笑うが、わしはな、いくさのない太平の世を作りたいのだ

どうして…どうしてそんなに本気で生きられるんだよ…と言う蒼に対して
ー それが運命さだめだと信じておる
ー わしにはわかる。周りを照らし、導く光がお主の中に宿っておる
ー 力を持つ者にも、それに見合った運命さだめがある
ー よく考えろ。お主が何を信じて光となるのか

その台詞一つ一つが春馬くんと重なってしまい、また涙が溢れてしまう。
この作品のテーマの一つに "継承" というものがあった。


黄水仙は
私の住む国では
長い冬のあとにやって来る
春を待ちわびる
"希望" を象徴する花

光とは希望だ




水仙の花言葉

神秘

尊敬

私のもとへ帰って


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