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辻村深月さん『きのうの影踏み』背筋がスーッと寒くなる短編6選

今回は辻村深月さんの『きのうの影踏み』をご紹介します。

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この本は、不思議でちょっと背筋がスーッと寒くなる短編集です。

コワイものが苦手な私でも、なんとか読めたのですが、ちょっと疑問が残るんです。それは最後に書きましたので、どなたか教えて頂けたら嬉しいです。

この短編集から、私が厳選した6選をご紹介します。
思わずヒンヤリするポイントをまとめました。

夏休みの読書にいかがでしょうか。

「十円参り」

友人の小学生の頃の話。

2人の少女が、共通の親友の女の子がいなくなったと話し合っていた。

消したい人の名前を十円玉と一緒に賽銭箱に十日間投げ込むと願いが叶うという。

ひょっとしたら、彼女は誰かに消されたのだろうか。

しかし、展開は思ってもない方向へ。

本当は一体だれが消えたの?


「スイッチ」


日常の中に潜む「スイッチ」を境に、異形の存在が
見えるようになってしまった。

そのスイッチは誰も気づかないが、この世の中の、今日もどこかで起きている。

読んだ後は、警戒して周囲をキョロキョロしてしまいそう。

あの人も、今スイッチを・・・!

「やみあかご」


10ヵ月のこの子の夜泣きが止まらない。

夫と3人で川の字で寝ていたが、妻は疲れている夫を起こさないようにと、赤ちゃんを連れてリビングへ移動した。

しばらく薄暗がりで追いかけっこして遊んでみるも、我が子に対して不意に沸き起こる違和感。

そうしてベッドに戻ると、寝ている夫の横に誰かがいる...。

今抱いているこの子は、誰なんだっけ・・・。

「だまだまマーク」


幼稚園に通う息子は、言葉を急激に覚えて話すように
なった。

ときどき息子が呟く「だまだまマーク」の意味がわからない。

本人に聞いても要領を得ない。

不思議に思った母親は、息子の幼稚園の友達の母親や先生に尋ねる。
そして、母親はついに秘密を知る。

まさかの戦慄の展開に、怖くて総毛立ちます!

この怖さは文章を読んでいくと、本を放り投げたくなるほど!
悲鳴を上げないようにするのが大変なので、外では読まない方がいいかもしれません。


「タイムリミット」


とある県に、おかしなシステムがあった。
1年に1度の残酷な隠れんぼ殺人ゲーム。

その場所がどこなのか、いつあるのかも不明だが、時間になると開始チャイムが鳴り閉じ込められる。

そして1時間後に「敵」が来る。

なんと、「私」は自分の学校に閉じ込められた!

合図のチャイムが鳴り響く。

早く下校すれば良かったという後悔が襲ってももう時すでに遅し。

敵が来る!
緊迫するラストに身震いします。

まるで、パニック映画の中にいるかのような臨場感で、短編であることを忘れるぐらいの怪作でした。


「七つのカップ」


そのおばさんは、小学校に行く時や帰り道、通学路の横断歩道のそばに立って子どもたちを見守るように挨拶してくれた。

実はおばさんは、その場所で最愛の娘を交通事故で亡くしていたのです。

横断歩道の前に置かれた七つのカップの秘密と、最後に起きた奇跡。

号泣必至です。


いかがでしたか?
ネタバレすると面白くないので、あまり詳しくは書けなくてごめんなさい。

実は、ひとつ疑問が残っているんです。

本作は辻村深月さんの体験かと思うような、リアルか創作かわからなくなるお話ばかりで戸惑ってしまいました。

読み進めるほど「本の中に囚われて出られなくなりそう!」と身震いしてしまいました。

それほど臨場感があったので、これ「小説」で合っているのかわからなくなってしまったんです。

正直言って、最後までキツネにつままれたみたいな感じなんです。

だれか、この本を読んで、教えて欲しいです。
「本当にあった怖い話」じゃないですよね?

この夏、涼を求めるなら『きのうの影踏み』です。





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森本木林(きりん)@読書研究家
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