コンサルに資格が無い理由
こんにちは,もりおです。
今回は,コンサルに「資格」が無い理由を考えていきたいと思います。
はじめに
「士業」と言われる職業があります。
弁護士・公認会計士・税理士・行政書士など,国家資格を取得することによって初めて業務が成り立つ職業群です。
ここでコンサルタントについて考えてみると,世は空前のコンサルブームで「〇〇コンサル」が溢れています。誰もが認める実績を持つ方から,ただ名乗っているだけのなんちゃってコンサルまで,その総数を把握することすら容易ではありません。
なぜここまで「コンサル」を名乗る人が多いかというと,
・一般名詞としての認知度が高い
・なんとなくスマートなイメージがある
という理由もさることながら,「誰でも名乗ろうと思えば名乗れる(=定義が定められていない)」ということも大きな要因であると考えられます。
少し範囲を狭めて,経営コンサルタントについて考えてみます。
経営コンサルタントは,弁護士や会計士といった他の士業プロフェッショナルと共に仕事をすることも多い職業です。
実際に,Big4と呼ばれるような会計事務所グループ(デロイト・PwC・KPMG・EY)では,それぞれ弁護士法人や会計士法人とともにコンサルティング法人を抱えています。
しかし,経営コンサルタントを認定する国家資格は存在しません。
これはなぜなのか,「4つの『ない』」を切り口に理由を整理してみます。
4つの「ない」
①独占業務がないから
第一の「ない」は,「独占業務(その職業従事者でないと法律上許されない業務)がない」です。
経営コンサルタントがカバーする業務領域は戦略/会計/人事/ITなど非常に幅が広く,ある分野では誰にも負けないプロフェッショナルが別分野では全くの素人ということが珍しくありません。業務内容自体もクライアントの業界や時代によって変化していくので,「経営コンサルタントの仕事は〇〇」という定義は難しく,従って独占業務も定義されていません。
②能力の認定方法がないから
第二の「ない」は,「能力の認定方法がない」です。独占業務が定義できる職業であれば,その業務内容の精通度に応じて能力の認定ができ,それをもって資格を発行することができます。
ところが,そもそも経営コンサルタントが相手とするビジネスには,「こうすれば必ず成功する」というような「正解」がありません。完璧な計画に基づいたビジネスが大コケすることもあれば,無名の若者が細々とスタートしたビジネスが大ヒットすることもある世界です。こうした世界ではどのようなコンサルタントが「良きアドバイザー」になるかは状況によって千差万別ですし,そもそも結果論による評価になりがちです。
③活動根拠となる法律がないから
第三の「ない」は,「活動根拠となる法律がない」です。独占業務が無いということは,そもそも法律によって規定された存在ではないということです。他の士業は,弁護士なら弁護士法,会計士なら会計士法といったようにいずれも業務内容等を規定した法律を根拠としていますが,業務内容が一定ではない経営コンサルタントには類似の法律がありません。
④同業者の横断的協会が(事実上)ないから
第四の「ない」は「同業者の横断的協会がない」です。経営コンサルティング会社が連合した業界横断的な協会は現時点で存在しません。
インターネット検索で「経営コンサルタント 協会」で検索すると何件かそれらしき結果がヒットしますが,いずれもメジャーなコンサルティングファームでの認知度はほぼ0%かつ,そこに籍を置いて活動している人はかなり少数だと思われます。
中小企業診断士について
現在,国家資格の中で最も経営コンサルタントに近い内容と言われるのが「中小企業診断士」です。企業を対象に経営状態の診断をしたり,経営アドバイスを行ったりする資格です。とは言え,中小企業診断士にしかできない独占業務は存在しないことから,企業へのコンサルティング業務を行う上では特に必須の資格ではありません。
ただし,企業経営に関する知識を体系的に学ぶことができるため,私の先輩方にも資格取得こそしないものの中小企業診断士のテキストで勉強をされている方はいらっしゃいます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
経営コンサルタントの仕事に国家が認定する資格はありませんが,豊富な経験に裏打ちされた助言を行うシニア人材がいれば,若手人材の常識に囚われない意見がプロジェクトを動かすこともあるというように様々な価値の出し方があるのがコンサルティング業界の面白いところでもあります。
働き方や価値発揮の仕方など個人の裁量が大きく,自分特有の仕事を模索できる環境なので,転職をご検討の際には情報収集をされてみても良いかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました!!
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