読書記録74 2024年1月の本まとめ

今年4冊目に読んだ本の影響で、SNSから撤退することを心に決め、X、Instagramは全く見なくなりました。そしてこのnoteも月1回の投稿をするだけにして、毎日見る癖をやめました。

なんとなく気持ちスッキリ!な気がします。
いいと思うので、続けられそうです。

では、本年最初の本まとめ。


1.『モモ』(2005)ミヒャエル・エンデ

1973年初版。名著名著と言われ数々の本紹介で紹介されていた本を2024年一発目に読めた。非常に非常に読んで良かったと思う。 時間がない、効率化、節約、、、と言われどんどん加速する現代社会をさらっと予測し知己に富んだ物語に昇華させている。歩いている人がみんな生き急いでいるような東京を予期したかのような大都会の描写。「これでいいのか?もっとゆっくりでいいのではないか?」と疑問に思っていたので、その疑問を正面から扱っている作品だと思う。原作の中ではハッピーエンドにまたのんびりとした時間が戻っているけれど、この世界は一体どうなってしまうのか?現実は小説より奇なりだ。

2.『ここだけのごあいさつ』(2023)三島邦弘

ミシマ社の三島さんが、サポーター向けに書いていた挨拶5年分と、2023年の気持ちをセットにした本。第3章の2023年になってからの文章が印象的だった。大企業の論理をちいさな会社に持ち込んで、大企業のやり方を正解としてしまってはならない、自転車操業でいいと気づいた三島さんの決意は固い。売り上げが伸びて、「普通」なら採用人数を増やして会社を拡大するフェーズで、縮小する決断。直感的にこれでいいと思えることは強いなと思う。ミシマ社のこれからの「繁栄と発展」を祈って!

3.『会って、話すこと』(2021)田中泰延

[再読]どんな話だったか忘れてしまったので再読。
(役に立つとは思えなかった)知識をベースにその時気がついたことを話す、ボケに対してつっこまないでボケ続ける、ご機嫌できるなど。覚えていたようで忘れていた重要なことを思い出した。前回は刺さらなかったけど、今回再読してジーンとした部分は、アリストテレス『弁論術』の件だった。ロゴス・パトス・エトスのなかで会話に重要なのはエトス(倫理・哲学)だということ。就活でもこれこれをやった(ロゴス)、一生懸命だった(パトス)、だから私はこれこれを学んだ・こういうことがやりたい(エトス)とエトスを言うことが重要らしい。学びになった。

4.『調べる技術 書く技術』(2019)佐藤優

まず高校までの数学・歴史の知識を知的体力として、日々新聞を読み、月1で「新聞ダイジェスト」で各紙の比べ読みをする。ネットニュースは見ない、SNSはやらない(メッセージアプリは1日の始まりと終わりにまとめて返す)などあくまで実践できそうなことがたくさん書かれている。
あとは、インプットは1冊のノートに手書きでまとめなさいとの教え。読書記録をnotionでまとめているが、「これぞ!」という本は「何でもノート」に書いていこうと思う。
一番なるほど!と思ったのは、自分のキャパを把握してそれ以上の仕事を受けないこと、短期で計画を立てることというアドバイス。修論という1年先の締切に怯えるばかりで何を何ヶ月後にしたらいいかわかっていなかったので、大まかな予定を立ててみた。少し先が見通せた気がした。

5.『思いがけず利他』(2021)中島岳志

[再読]どんな内容だったっけと思ったので再読。
1度目よりも丁寧に読めた。利他は回り回って利己的なのではという批判を、「時制」と「偶然」で華麗に跳ね返す。ついつい偶然、どうしようもなくやってしまって、そのことが未来になってその相手にとって大切なこととなるのが利他。最初から自分の利益を考えて「お返しがもらえるかも」と思ってプレゼントを渡すのは利他の仮面を被った利己である。

6.『未来をつくる図書館』(2003)菅谷明子

研究のために読んだ。図書館に関する名著だと言われている。アメリカニューヨーク公共図書館の徹底した市民目線のサービスを紹介している。そこまで図書館がやるのか、と思うようなサービスの数々で、こんな図書館が日本で実現できるのかなと思った。とにかく司書さんの質の高さに左右されるところが大きいように思えて、都市的観点から図書館について何が言えるのか、また悩んで決まった。

7.『ココロの友だちにきいてみる』(2023)細川貂々

豊洲のSPBSで見かけた本。どこかで見たことあるイラストだなと思ったら、小学生の時やっていたZ会の月刊誌に連載をしていた人だと思い出した。貂々さんは私と同じスーパーネガティブ女王だった。だから、日々のいいことを取り出したり、悩みを聞いてもらう友だち(貂々さんは○に顔を書いた)を作ってノートで問答をする。すると、いつのまにか捉え方を変えることが出来、生きやすくなったそうだ。
研究で悩んだ時にこの「友達」を実践しているが、本当に良い。自分が描いているはずなのに自分じゃないみたいなアドバイスが書けて、非常に不思議だ。別のnoteで紹介したい。

8.『臆病者の自転車生活』(2022)安達茉莉子

青と夜ノ空のインスタで見かけて気になったので読んだ。とても良かった。運動が嫌いで気が弱く、回避傾向な筆者が電動自転車との出会いをきっかけに食生活、服装も変わり、気持ちも変わっていく様子が克明に記録されている。きちんと毎日気づいたことややったことをメモしている方なんだろうなと思う。使うアプリや自転車用のウェアなど細かいところもしっかり書いてあって、初心者の参考になる。自分も自転車に乗ってどこかへ行きたいとワクワクした。

9.『考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール』(2020)益田ミリ

3回にわたるフィンランドの旅のエッセイ。ミリさんと一緒に旅している気分でとても楽しい。それにしても、ミリさんめちゃくちゃカフェしているな!1回の旅で何回行っているんだくらい、コーヒーとシナモンロールの写真が載っている。グルメに対するコメントと、街に対するコメントと、内省のバランスがとても良く、スルスルと読める。フィンランドとてつもなく行きたい〜〜

10.『口訳古事記』(2023)町田康

いつかのラジオで、私の大好きな岸本佐知子さんが「面白い!」と紹介していて読みたいと思っていた。いや、めちゃくちゃ面白い。だけど全然わからない。とにかく神はすぐ神を生むし、いつの間にか1000年くらい過ぎてるんちゃうかくらい話が変わったりする。でも、時々今にもつながる因幡の白兎の話や、天皇の三種の神器、神社でよく祀られている神の名前が出てきて「おお」となる。こんなに意味のわからない物語なのに、どんどん読んでしまうのが不思議だ。おもろい。


なんだかいつもより丁寧に本を読んだおかげか、全部読んでよかったな!と思える本だった。

今年もたくさんの本に出会えますように。

かしこ

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