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本の話。

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LOST SEVEN(中島かずき/劇団☆新感線)

LOST SEVEN(中島かずき/劇団☆新感線)

新感線いちウェルメイド(だと私が勝手に思ってる)な作品。
99年、白雪姫をモチーフにした青山円形劇場のファミリー公演「リトルセブンの冒険」と対になる形で上演された新感線の本公演。

DVDは昔買った新感線20th century boxに入ってたのを久しぶりに観た。
戯曲はこないだ買ったのだけど、LOST SEVEN とリトルセブンが二本立てで収載されててお得感あり。

いやーもう、何がいいってタ

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うちやまつり(深津篤史/桃園会)

うちやまつり(深津篤史/桃園会)

桃園会の深津篤史さんの代表作で、岸田戯曲賞受賞作。
いつだったか忘れたけど、精華小劇場で再演だか再々演だかを観劇した。戯曲は岸田戯曲賞受賞時に刊行された初演版。

不思議な戯曲としかいいようがない。一度読んだだけでは正直よく分からない。
明確なストーリーがあるわけではない。大きな事件も起こらない。ただ、散在するよく分からない会話を行き来するうちに、いつのまにか劇世界が構築されている不思議。
立て続

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朧の森に棲む鬼/劇団☆新感線(中島かずき)

朧の森に棲む鬼/劇団☆新感線(中島かずき)

上演は2007年。市川染五郎×劇団新感線のコラボ作、いわゆる「いのうえ歌舞伎」の進化形。

これチケット取れなくてゲキ×シネで観たんだよなあ〜。
確かDVD持ってたはずなのに、探しても見つからなかった。
ゲキ×シネの販売DVDは大抵英語字幕付いてるのがありがたい(ほんとは日本語が欲しいけど…)

主人公のライはいっそ気持ちいいくらいの本物の悪党。舌は回るわ平気で他人を陥れるわ、幼なじみの弟分まで平

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スティル・ライフ(池澤夏樹)

スティル・ライフ(池澤夏樹)

1987年の芥川賞受賞作。これまたえらく古い小説引っ張り出してきたものだが、多分こないだ「東京原子核クラブ」を読んだせい。
原子核→核分裂→チェレンコフ放射→そーいやチェレンコフ光が見たくて水の入ったグラスをひたすら見つめてる、えらく気の長い人がいたな…という、多分本人にしかトレースできない謎連想で、ふと昔読んだこの小説を思い出した。

久しぶりに読んで、まず思ったのは内容云々より、理系の人が小説

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ペンギンが教えてくれた物理の話

最近読んだ本。
「ペンギンが教えてくれた物理の話」

「物理の話」とあるけれど、著者は生物学者で、内容もさまざまな野生の生き物たちの生態にまつわる話。
バイオロギングという調査手法により明らかになった、これまで人間が知らなかった生き物達の生態を、軽妙な語り口で綴っている。

なんか、子供の頃にそれこそ学校の図書室にあったシートン動物記とかファーブル昆虫記とかを片っ端から読

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