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『NFTコミュニティを設計しているあなたへ。「11の欲望」理論を当てはめる』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.6.30

■電通、人間の消費行動を駆り立てる感情を「11の欲望」に分類

電通のプロジェクトチームである「DENTSU DESIRE DESIGN(デンツウ・デザイア・デザイン)」(DDD)は6月28日、2021年から計3回にわたり実施した「心が動く消費調査」を基に人間の消費行動に強く影響を及ぼすドライバーとなる感情を分析し、「11の欲望(Desire)」として可視化したと発表した。

1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱した購買行動モデル「AIDMA」をインターネット時代に適応させた「AISAS」を提唱した電通から新たなフレームワークの発表です。

今回は感情を伴う消費行動の源泉動機、AIDMAでの「D=Desire」の部分である「欲望」を11種類に分類したモデルとのこと。

1.承認&優越
他人という鏡に映した欲望

2.自由&安楽
無理のない自由への欲望

3.健康&平穏
心身平常運転の欲望

4.繋がり&共感
さみしい人とは思われたくない欲望

5.探求&創造
マイワールドを追求したい欲望

6.興奮&享楽
資本集中型浪費欲望

7.社会貢献&保守
守りたいものがある欲望

8.保身&安全
炎上しないための欲望

9.遊興&解放
ホントはダメだけど、だって欲望

10.愛&感動
あえて愛を確認したい欲望

11.取集&所有
集め方を集めていく欲望

この11のワードに分類する前段階の昨年12月17日に書かれたレポートを合わせて読むと意図するところがもう一歩理解できます。


■NFTプロジェクトになぜコミュニティが有効なのか?

皆が一目で欲しがるデザインをあしらえばNFTアートが売れるわけではありません。プロダクトアウトではもう売れないのはNFTアートに限った話ではありませんが、供給過多になっているNFTアートではより顕著です。

そこでコミュニティが重要とよく言われるのですが、コミュニティは「欲望の受け皿」、「欲望の加速装置」として機能します。

シンプルなのは「値上がり期待を煽り、安値で優先購入権=ホワイトリストを手に入れるためのコミュニティ」ですが、お金儲けだけを目的にしたコミュニティはうまく行きません。最初の集客のために「儲け」を売りにすることがあっても、継続的にコミュニティが機能するには別の欲望を満たす必要があります。

1.承認&優越
コミュニティ内での承認欲求や優越的地位を得たい欲求を満たせる。コミュニティマネジャーを任命したり、コミュニティから新しいプロジェクトを生みリーダーを輩出するなど。

2.自由&安楽3.健康&平穏
家庭と会社以外の3rdプレイスとしてのコミュニティ、自由な活動、フリーランスになりたい欲求、将来の不安解消のための自立のチャンスが得られるなど。

4.繋がり&共感
言わずもがな、コミュニティの基本機能。

5.探求&創造
二次創作やマーケティングストーリーの企画立案などベースのNFTプロジェクトをきっかけにマイワールドが作れる可能性をコミュニティが提供。

6.興奮&享楽
NFTプロジェクトがローンチ日を迎え、手作業で多数のNFTをOpenSeaにリストする超多忙クライマックスの中、秒で売れていきみるみる値上がりしていくのを目の当たりにする興奮。購入競争、ミント競争でボタン連打して買えた!買えなかった!の熱狂と興奮。

7.社会貢献&保守
コミュニティやNFTプロジェクトが「絵を売る」以上の社会的大義を掲げる動機はコレ。売上金の一部を寄付するプロジェクトが多いのもコレ。コミュニティメンバーを社会活動に理解ある人を増やし、儲け以外の参加動機を作ることで永続性を生み出す効果も。

8.保身&安全
NFTアートの作者ひとりだけの価値観で尖った作品群をリリースして炎上するリスクはコミュニティのフィルターで第三者の視点を入れることで一定程度防げる。またコミュニティからの指摘は基本的に「成功するための意見」として前向きであるため、いきなり野に放つより安全。

9.遊興&解放10.愛&感動
直接NFTプロジェクトとは関係なさそうですが、コミュニティ内恋愛とかありそうですよね。ソシャゲだってmixiだって過去盛り上がったコミュニティは愛の巣になっておりました。

11.取集&所有
コレクティブルNFTは特に集めることが楽しみ。「集めたい」と思わせる材料をコミュニティ内で発信・共有したり、外部に向けて「集めたい」とどうやったら思ってもらえるかの作戦会議をするのもコミュニティの役割。
1点モノの所有欲についても同じ。

NFT作品を作って売り出すだけではこれらの欲望を満たすことができず、コミュニティが「欲望の受け皿」、「欲望の加速装置」として機能した時はじめてNFTプロジェクトが成功する、といっても過言ではない、ということがこの「11の欲望」に当てはめると見えてきます。


■コミュニティは「11の欲望」をいかに満たすかを設計することが重要

安値で買えて転売で儲かるよとホワイトリストで釣って人数だけ集めてもコミュニティは機能しないことがよくわかります。

Give away企画や広告宣伝で集客するだけでも同じくダメ。

大事なのは「11の欲望」を満たすようにコミュニティの目的を設定し、リーダーが生まれる仕組みを作り、コミュニティをきっかけにメンバーが活躍できる場にしていくこと。その仕掛けに必要なコミュニティマネジャーの役割が非常に重要です。

まず初期にこの「11の欲望」をどうやって満たすのかを書き出してみるだけでもコミュニティの方向性や運営方法、人員配置、集客方法が見えてくるはずです。


■「11の欲望」は消費行動以外の組織論にも使える

本来「11の欲望」は消費行動・購買行動をモデル化し広告などマーケティング効果を高めるために考えられたものですが、このように組織に当てはめることもできるのが面白いところです。

広くはNFTプロジェクトのコミュニティに限った話ではなく、たとえば「会社」も同じです。会社の売上アップ・生活費のための給料、だけが目的になっている会社は儲からなくなると人の心が離れていきますし、新しいものが生まれなくなります。

欲望を持った人が集まるのは「市場」だけじゃない。人が集まるところに欲望あり、と広く当てはめると「11の欲望」にもまた新たな発見がありそうです。

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