『桑名水郷花火大会のメタバース連動から考える、イベント+日常利用の重要性』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.7.29
■桑名水郷花火大会、7/30にリアル×メタバースで同時開催
夏休みシーズンに入り個人的に毎年楽しみなのは夏祭り。
我が家のある小さな町の町内でも例年小規模ながら夏祭りが開催されるのですが、残念ながら今年も3年連続での中止が決定しました。
今年は夏祭りの開催判断が分かれました。
比較的大規模なものは開催され、町内レベルのものは中止になったように感じます。大規模なものはかなり以前から多額の予算をかけて準備しているのでやめられない、という事情もありそうです。
今回ご紹介するのはその大規模なほう。
三重県桑名水郷花火大会という、例年1万発の花火が打ち上げられるイベントです。
ここがリアル×メタバースでの共同開催で明日実施されるそう。
もしかして中止もあり得るかもしれない、のリスクヘッジとしてメタバースの準備もしていたのかもしれません。リアル中止になった時のメタバース側の演出シナリオがあったのかは気になります。
■メタバース連動花火大会の開催概要
メタバース側も明日19時30分から、MetaEARTHで無料で参加可能とのことなので、桑名市に直接いけない遠方の人でも参加できます。
スマホはAndroidのみでiPhoneは非対応とのことです。
■メタバースを通じて地域の「関係人口」を創出するための課題
メタバースやネットサービスのいいところのひとつは距離無制限で地域の「関係人口」を増やせることです。
夏祭りや花火大会などのイベントは集客のフックにしやすく、また今回のような打ち上げ花火はメタバース内でも比較的表現しやすいものだろうと思います。
課題は「イベント後の定着」です。
イベントは単発なので一時的に知名度を上げるにはいいのですが、イベントきっかけで地域に興味を持った人が継続的に関われる受け皿がなければ「関係人口」にはなりません。
予算の問題もクリアしなければなりません。
今回の桑名市の花火大会の場合、桑名市と三重テレビのイベント用予算のなかで花火大会連動メタバース企画も実現されたはずですが、「関係人口」を本気で増やそうと考えた場合は定常的な年間予算を別途確保する必要が出てきます。
今回の桑名市の花火大会については桑名市側が関係人口を創出する目的を掲げているわけではなく、Metafrontier社・Meta Heroes社のメタバース提供の姿勢として「関係人口」という言葉が使われているのみですが、せっかくなのでメタバースを通じた関係人口創出にトライしてみても面白かったのではないかなと思います。
■地元住民向けメタバース活用も大事
「関係人口」というと県外・市外の人のバーチャル住民化を指しますが、地元住民についてもメタバースに関与する人口を増やす足元施策も大事です。
市外に向けた祭りや街のPRだけでなく、行政サービスの対面窓口をメタバース化するなど実用面で活用すればそれ自体がPRになると思いますし、役所に行く時間とお金も待ち時間も削減できて普通に便利ですし、メタバースについての継続的な予算を作るきっかけにもなりそうです。
■メタバース全般、日常化の仕掛けが課題
イベントでは人が集まるけれど日常的には行く理由がない、というのはメタバース全般でよくあることかもしれません。
メタバース内で友人ができたりコミュニティに所属すれば毎日集まるようになるかもしれませんが、メタバース側に毎日自然と集まるような仕掛けや工夫がなく自然発生に任せてしまうとなかなか人が集まりません。
イベントが特にない時にメタバースに行くと閑散としていて寂しかった、という経験がある人も多いのではないでしょうか。
これからメタバース活用が広まっていくと思いますが、単発イベントは集客のきっかけにすぎず、継続的にそこにある、という受け皿が大事になるはずです。
ヴィッセル神戸の試合をメタバース上のスポーツバーで観戦する、みたいにすると「イベント」になりますが、この実証実験は
という対面型ECショップの実証実験でした。
チームグッズの販売だと試合開催日にある程度人が偏る可能性はありますが、常設店舗としても機能すると思いますし、ヴィッセル神戸のファンが集まる場にすることもやり方次第ではできそうな気がします。
派手なものを大きな予算で作る方が楽しいですし、地味に長期間運用するより簡単であることから、発注側も受注側もイベントでの単発利用になりがちです。しかしイベント競争は予算競争でもあり、ユーザーが見慣れてくると何にも驚かなくなってきます。
そうなってくるとやはり大事なのは常設の受け皿を如何に機能させるか。その成功例がこれから模索されていくのだろうと思います。
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