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薄利多売で苦しむ花屋さんへの処方箋(④何で戦うか決めよう!編)

一旦、間に違う内容の記事を投稿しましたが、今回は薄利多売で苦しむ花屋さんへの処方箋の続きを書いていきます。

前回は【誰よりも幸せにしたい!編】と銘打ち、自分のお店が誰の心を動かし、誰にとって無くてはならない価値を提供することができるのかということについて、自己の信念と共に振り返っていきました。

今回は、実際に商売をしていくにあたって、どのような価値をもって、商圏をどれぐらいに設定していくのかという、具体的な設定をしていきたいと思います。

今までは、視覚化していくためのやり方をご案内しながら進めていきましたが、今回は処方箋【②ここはどこ?編】

と、先に挙げた【誰よりも幸せにしたい!編】とを掛け合わせて、商売として成り立つビジネスモデルを検討していきます。

【人の流れ】×【自店舗の提供できる価値】

と掛け合わしていく中で、どのように特化すれば、どれぐらいの売上に繋がるだろうかということについて仮説を立てていくのですが、売上を検討するための方程式を導き出しておきたいと思います。

売上=来店客数×購入率×単価

使い古された当たり前の方程式ですが、意外と見過ごされてしまう基本なので、しっかりと吟味するために使用しましょう。

まずは、自店舗の現在の【売上=来店客数×購入率×単価】を出してみてください。ここで、何が今課題化しているのかについて検討していくことが、新しいビジネスモデルを案出するためのヒントになります。

来店客数が少ないのか、購入してくれる割合が少ないのか、単価が低すぎるのか・・・。

そして、それぞれにどれぐらい上昇させることができる余地があるのかということも併せて検討する必要があります。ちなみに、ここでは現在の商売の【やり方】は一旦棚置きしてください。元々単価が低い販売手法を使用しているので、単価を上げるためには数を売らなければならないという答えになってしまう可能性が高いからです。

自分たちが誰のどのような課題についてコミットしていきたいのかという点に軸を置いて、仮説を立てていきましょう。

ここでいくつか事例を挙げていきますので、参考にしてください。
※仮説を立てる時は自店の強みをしっかり認識しましょう。

例①単価はそのままで販売数(来客数)を増やす

地域にはお花の産地が数多くあり、販売チャネルとして店頭販売を主としている場合、お花の仕入れルートを直接仕入れに変えることを検討してみたいと思います。それは、お花の仕入れコストを安くするのではなく(場合によっては高くなるかもしれないので)、お花の旬という香りをより現実的に伝えることができるということを購入動機にするということです。

あそこのお店に行けば、産地直送のお花たちが数多く揃っているから新鮮な上に、地産地産の安全なお花を飾ることができる。お店に行けば、お花屋さんから「地域の旬のお花を飾ると、風土に合うから長持ちするよ。」と言われてウキウキ!なんてこともあるでしょう。

長距離輸送を前提とする消費行動から、無理のない商売のやり方という持続可能な社会に繋がる消費の形を発信すると共に、産地さんの顔が見える販売方法を採ることによって、付加価値が増していきます。

お店の前に庭があったり、お店の隣に空き地がある場合は、ドライフラワーとして人気のあるミモザ、ユーカリ、スモークツリーなどの木を植えて、シンボルツリーとすると共に、時期になったら一緒に収穫してリースにするワークショップを定期的に開催するなどのイベントを通じて、この地を味わい尽くすという点における世界観を創り出すことができるかもしれません。

実際にこのやり方を採用することによっての障害として考えられるのは

【産地さんとの繋がりを作る事】
【販売チャネルの強化】
【商圏を広く設定する必要があるかもしれない】
【ブランディングの構築方法】

のようなことだと思います。これらの障害を乗り越えるためのパワーが自分にあるかどうかは、次の記事で検討していきましょう!

例②来客数は減っても良いから付加価値を付けて単価を上げていく

元々、薄利多売によって単価も粗利も低い状況にあるのであれば、付加価値をつけて単価を上げていくことが売り上げを上げていくための最も簡単な方法の一つです。

この場合、自分や、自分の子供がフラワーデザインにおける他にはないデザイン性を発揮できるか、お花以外の小物のデザインなど、販売している商品を抜本的に変えていく必要があります。商品自体を変えるということは、今までのお客さんから、まったく違う顧客層への移行を意味することなので、新しい二度目の開店をも意味します。リスクはあるものの、インターネットを利用してのECでの売り上げが期待でき、現在の商圏という限界を突破できるだけに、商品が世の中に受け入れられた時のリターンは大きいものがあります。ただ、ここで気を付けたいことは、付加価値がセットであることが最低条件です。

これからの時代、薄利多売はECには向きません。配送コストや、梱包資材、人件費などは過去数年間で数十パーセントも高くなっており、これからも上昇を続けます。それらのコストを薄利多売で吸収することは困難を極めます。それらのコストを支払ったとしても、自店の商品が欲しいと思われるだけのオンリーワンが【品質】あるいは【デザインという個性】という面で必要となります。

実際にこのやり方を採用することによっての障害として考えられるのは

【他にはないデザイン性(個性)】
【ECショップの構築】
【PCの基本的な操作】  
【写真撮影の技術向上】
【スタジオスペースの確保】
【新しい商品の提案力】

などです。新規事業の立ち上げが必要となりますが、他のお店と同じぐらいの商品力しかない場合は、コストばかりが高くなって結果が出なくなることは容易に想像がつきますので、絶対的な個性やデザイン価値が必要となる競争率が高い戦場でもあります。


その他にも、法人需要に特化したり、レストランやカフェを併設したりなどの他の付加価値とクロスさせるなど、様々なやり方が考えられるかと思いますが、それらは全て前回の記事の自店が持つ強みや、このようにしていきたいという強い情熱から出てくるアイディアであることが、成功率を高めていきます。

是非、自店だけの強みを持って、今よりも可能性のあるモデルを作っていきましょう!

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