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薄い膜の中で、共に生きる家族

最近、「宇宙からの帰還」という本を読み始めました。

宇宙飛行士12名への取材をもとに、宇宙から地球を見るという特殊な体験をした人の、心の変化やその後の人生について書かれた本です。

本の冒頭で以下のような記述が出てきます。

人間は、地球環境を離れては生きていくことができない。だから、宇宙飛行士たちも宇宙空間に乗り出すにあたって、地球環境を持参したのである。宇宙船と宇宙服の内部に地球環境を閉じ込めていったのである。
地球が大きな宇宙船であるというアナロジーは正しいが、宇宙船は小さな地球であるというアナロジーも同様に正しい。


人間が生きていけるのは、地球に大気があるからです。

酸素がないと生きていけないのは当然として、酸素があったとしても、ある程度の気圧がないと、やはり生きていくことができません。

なぜなら気圧が低いと、肺から酸素を取り込むことができなくなってしまうからです。

高山病が起きるのは、酸素の量が少なくなるからというよりも、気圧が低いために体内に吸収される酸素が減ってしまうからなのだそうです。

また、大気は私たちを紫外線から守ってくれてもいますし、気温の変化をある程度和らげてくれてもいます。(大気のない月では、昼は100℃、夜は-170℃にもなります。)


この大気というのは、とても薄い膜のようなものです。

地球の直径は12756kmと言われ、これに対して大気の厚さは20km程度。

地球の大きさが、運動会の大玉転がしで使う大玉くらいだとすると、大気はその表面に厚さ2ミリの膜を張りつけたようなものです。

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この非常に薄い膜の中で、私たち人間の日々の営みが行われています。

喜んだり悲しんだり、「今日の夕飯どうしようか」と考えたり、「あぁ明日も学校に行かなきゃ」と嘆いたり。

乗り物に乗って旅行している人もいれば、スーパーで買い物をしている人もいます。

地球の気持ちになってみれば、自分の表面にものすごく小さくてデリケートな生き物が何十億と息づいているわけです。

その薄い膜がちょっとでも崩れたり、組成が少しでも変わってしまったら、人間は生きていけなくなってしまう。

そのような環境の中で一緒に生きているわけで、まさに運命共同体。私たちは共に生きる家族です。


まだ読み始めたばかりですが、なかなか面白く、いろいろと考えてしまう本です。

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