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天職の見つけ方 ~自分の潜在能力が開花する時~

先日、内田樹氏の「街場のメディア論」を読んで、「なるほど」と思うところがありましたので、以下に一部まとめさせていただきます。

適性と天職

勤め始めてすぐに仕事を辞める人は「仕事が私の適性に合っていない」と言います。しかし本当は順番が逆です。まず仕事をする。仕事をしていくうちに、自分にどんな適性や潜在能力があったのかが、だんだん分かってきます。学生時代は分からなくて当たり前です。

就職は結婚と似ています。「自分にぴったりの配偶者を見つける」ことから始まるのではなく、まずは結婚する。結婚してはじめて自分のことが分かってきます。子どもが生まれた時に湧き出てくる感情は、結婚前には分かりません。

結婚は入れ歯と同じという話もあります。歯科医の話によると、世の中には「入れ歯が合う人」と「合わない人」がいます。合う人は作った入れ歯が一発で合います。合わない人はいくら作り直しても合いません。これは口の中の形状が違うからではなく、要はマインドセットの問題です。

自分の歯があった時の感覚だけが「自然」で、それと少しでも違うと「不自然」だから嫌だと思う人と、歯があった時の感覚はいったん捨てて、とりあえずご飯が食べられれば多少の違和感は許容範囲、と考える人の違いです。

与えられた条件の中で、最高のパフォーマンスを発揮するように自分の口の中の筋肉や関節の使い方を工夫する人は、そこそこの入れ歯を入れてもらったら「あぁ、もうこれでいいです。後は自分でなんとかします。」と言います。そして本当に何とかなってしまいます。

最高のパートナ-を求めて愛の狩人になる人、天職を求めて自分探しの旅をする人、理想の入れ歯を求めて歯科医をさまよう人は同類です。

仕事の方から開発すべき潜在能力を要求され、その要求に応えて開発していくことが大切です。必要な時期に必要な能力が発揮されます。

潜在能力の開花について

能力が必要とされたときに、はじめて潜在能力は開花します。語学も同様です。必要不可欠な環境にならないと話せるようにはなりません。親は、子が生まれてはじめて親になるものです。

「この能力が開花したら自慢できる」とか「お金が得られる」といった動機も役に立たなくはありませんが、爆発的に自分の能力が開花するのは、他者からの要請があったときです。自己利益を追求するとうまく発動しません。

要は「世のため、人のため」に動くとうまくいきます。

自己分析ほどあてにならないものはありません。天賦の才能を持った人にとってはその才能は当たり前のことで、他者が見て驚くことで、初めて気づいたりするものです。

人間の才能が最も開花するのは、「他人のため」に働くときです。人の役に立ちたいと願うときこそ、人間の能力は伸びます。「天職」は英語で「calling」とも言います。自分で決定するものではなく、呼ばれていくものです。

(以上、まとめ終わり)


自分の経験と照らし合わせてみても、「なるほどな」と思うところが多かったです。

自分がしたことが誰かのお役に立った、喜んでもらえた、そういった経験を通じて、人は自分の進む道を見つけていったりするものです。

だから若い方にお伝えしたいのは、「自分探しでもなんでもやったら良いと思うけど、それでも何も見つからなかったら、一度目の前のことに、誰かのために、思いっきり一生懸命になってみたら」ということです。

そして親御さんにお伝えしたいのは、「どんなことであれ子どもが誰かのお役に立つことができたなら、『それは立派な才能だよ』と言ってあげてほしい」ということです。

「誰かのため」と言いつつ結局はそれが、自分自身をも幸せにしていく道になっていきます。

それに大きな視点で見れば、「やりたいことが見つからない」「何に向いているか分からない」と悩んだり苦しんだりするのも必要なことだと思います。

そうやって悩み苦しんだからこそ、自分がやりたいことが見つかった時に、その苦しみが「本当にありがたいな」という感謝のエネルギーに転化していくのではないでしょうか。


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