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諦める力

為末大氏の「諦める力」を読みました。

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著者は400メートルハードルの陸上選手として3度オリンピックに出場した経験があり、現在はコメンテーターや指導者の道を歩んでいます。

小さなころから走るのが速く、中学・高校と100メートル走で勝ち続けてきたのですが、学年が上がるにつれて周りとの差が縮まり、その後どれだけ努力したとしても、いずれ抜かれることが明らかになってきました。

そうして高校3年生のインターハイの時に100メートルを諦めて400メートルハードルへと転向し、後に世界選手権でメダルを取ることになりました。

「一つのことに拘り続けるのが正解とは限らない。もっと自分に向いた道があるかもしれない。視野を広く持っておけ」

そんなメッセージが、この本からは感じられます。


一方、著者は「諦めるには本気の挑戦が必要だ」とも言っています。

ハードルというのは本気で飛ぶと、自分が思ったよりも高く飛べることも分かるし、今の自分では飛べない高さがあることも分かる。

本気で挑んで、初めて「自分の範囲」を体感できる。

この「体感値」がないと、あり得ない目標を掲げたり、低すぎる目標で満足したりしてしまう。

自分の心の弱さや他人の評価に惑わされてしまう。


「諦める」という言葉の語源は「明らめる」だという。仏教では、真理や道理を明らかにしてよく見極めるという意味で使われ、むしろポジティブなイメージを持つ言葉だというのだ。
「諦」には「さとり」の意味もあるという。「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る」


自分の人生を振り返ってみると、「本気で挑戦できたこと」と「十分にやり切れなかったこと」の両方があります。

本気で挑まなかった時は、結局、何も明らかになりませんでした。

そうすると、いろいろと言い訳が出てきます。

逆に「やり切った」と思えた時は、どんな結果であれ受け入れられる。相手がいたなら、相手を称賛することができる。

そんな気持ちになりました。


人生を終える時も、同じようなものかもしれません。

自分の可能性を、十分明らかにできたのか。

与えられた機会を、十分活かせたのか。



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