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公立校の悲惨な実態…一番つらいのは先生

新型コロナウイルスによる突然の休校発表から、約3カ月が経過した5月末のある日、ようやく始まった小学校の“オンライン指導”2回目にして、一人の男子(小2)が発言した。

「教えてくれないと、勉強わかりません! 」

 コロナ禍が収まりきらない日本で、公立校に通う子どもたちの多くが教育の機会を逸している。たしかに2月末に政府から出された休校要請は、あまりに唐突すぎた。先生方にとっても寝耳に水で、現場は大混乱に陥っただろうとお察しする。

先生たちは国会にも惑わされている

萩生田光一文部科学相は4日、首相官邸で安倍晋三首相と面会し、政府が来年度の施行を見送った「9月入学制」に関し、再来年度以降に関しては引き続き導入の可否について検討する方針を確認した。

 萩生田氏は記者団に、義務教育の開始年齢を現行の6歳から5歳に引き下げることをめぐり「政府内で課題の整理を行ったので、メリット、デメリットを比較しながら検証していく」と述べ、政府の「教育再生実行会議」で秋入学の可能性を検討すべきだとの考えを示した。

現在国会では、来年以降 九月入学を行う事が可能なのか 話し合いが行われている。九月入学については、下記の記事で紹介している


日本は授業でのデジタル利用時間が最下位

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 国立教育政策研究所が昨年末に発表した「OECD(経済協力開発機構)生徒の学習到達度調査(PISA)~2018年調査補足資料~」により、日本の学校は授業でデジタル機器を利用する時間が(OECD)内で最下位であることがわかっている。その一方で、家庭で娯楽目的に使用する率は著しく高く、OECD内でトップ。

 デジタル機器を使い「毎日、またはほぼ毎日1人用ゲームで遊ぶ」と答えた子どもは47.7%(OECD平均26.7%)で、「ほぼ毎日ネット上でチャットをする」と答えた子どもは87.4%(OECD平均67.3%)にも及ぶ。つまり日本の子どもたちは、デジタル技術を遊びには使うが、学びに活用する術はほとんど教わっていないのだ。そしてその状況は、このコロナ禍でもほとんど前進していない。

「Society 5.0」の実現に向けて5年ほどかけるつもりが

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もともと文部科学省は、経済産業省や総務省、内閣官房IT総合戦略室と共に、国が掲げる「Society 5.0」の実現に向けて、子どもたちの学力向上のため「GIGAスクール構想」を打ち出している。2018年から22年にかけて、5カ年計画で学校のICT化を一気に進める計画だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、計画を前倒しし、遠隔授業も含めた公立校のデジタル化を急ぐよう全国に伝達している。

 国からも、保護者からも、子どもたちからも、学校の学びの改革を求める声が上がっている。将来、子どもたちが「コロナ世代」と呼ばれるようになったとき、「だから学力もないし仕事もできない」と見なされるか、「さすが学びの質が高まった世代」と評されるかどうか、まさにいまのこの時期の取り組みにかかっている。


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