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少女

程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします

高校2年の夏休み前、桜井由紀草野敦子はある話を聞いた。親友の自殺を目撃したことがあるという転入生の紫織からの告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は「自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたい」と思うようになる。自殺を試みたことがある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。二人とも相手には告げずに由紀は病院へボランティアに行き重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし入居者の死を目撃しようとする。

—死の瞬間に立ち会うために。—

高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。

Wikipedia引用


感想

思春期、お年頃、多感な時期等と色々と言われるが、あの頃って自分の小さな世界がすべてで、その世界でほんの少しでもほころびが生じると生きていけない絶望感に打ちひしがれる

周りを気にしすぎて空気を読みすぎて自分がないのも、大人すぎて自分を流さないのもどこか行きづらく感じる
傍から見れば青春、若気の至りなど若いで片付けられるけれど、全員が全員ではない
特に幼女から少女になった特有の世界

由紀

どこか大人びた澄ました感じ

剣道も途中でやめたけれども、夜中に割ったグラスで手を切ったから
本当は痴呆のおばあちゃんが昔の教師時代に戻り、体罰として昔の生徒と思い込み手を叩いて左手が使えなくなったから

敦子を励ましてたくても言葉で伝えるのが得意ではなく、小説を書いて伝えようとした
その小説を学校に忘れてしまい、担任に自分の名前で小説の新人賞を受賞した
敦子との仲も少しずつ噛み合わなくなっていた
そんな時に友だちが自殺した時の事をどこか嬉々として話す転校生の紫織のことを羨ましくも思い、自分は死の瞬間に立ち会いたいと思う

小児病棟で出逢ったタッチーと昴
死ぬ前に父親に逢いたい
死ぬ瞬間を見届けるために父親探しに奔走
そこで出逢ったオッサンにいびり倒されるが何とか辿り着くお父さんに逢いたかったのは痴漢で捕まってお母さんが心の病になったから復讐のために探してもらった

担任は自殺をしてその瞬間を目撃した彼氏から、本来渡したかったヨルの綱渡りを通して敦子とまた距離が縮まってお互い分かり合って助け合って一件落着

敦子

悪気なく天真爛漫な発言をしてしまうが、本人は覚えていないから質が悪い
無駄に敵を作ってしまうタイプ

相手がニンニク臭くて近寄れず大会に負けた
ネットに書き込まれて凹んで推薦辞退したのに、他は全員入学して裏切られたと思い、由紀に固執する

被害妄想強くなりすぎて、由紀に対してもどこか拗れたライバル心がある
過呼吸になるから体育の見学補習のため老人ホームでお手伝い

そこでどこかどんくさいタカオさんに逢う
人ホームでおばあちゃんがお餅を喉に詰まらせて死にそうになるが、掃除機で吸って九死に一生を得る
そのおばあちゃんは由紀のおばあちゃんだった

ヨルの綱渡りを読んで担任ではなく由紀が書いたみたいだと思う
モヤモヤした時にストレス発散で由紀と一緒に担任のブログを覗き見た時の、彼女のセーラを学校の掲示板に書き込む

ヨルの綱渡りで由紀の想いを知り互いの蟠りも解けて、今までカレーしか食べていなかったのも握力がないからだと、強引にハンバーグドリアを頼み持って行く優しさ

紫織

友だちの星羅が自殺したことを嬉々として話す
冤罪痴漢を起こして示談でお金をもらうが、それはたかおさんだった
星羅は冤罪痴漢した由紀たちの担任と実際に付き合うことになった

セーラが彼氏の担任が盗作で追い込まれ自分も敦子のネットの書き込みでイジメに合うが助けることも出来ず、自殺してその現場を発見する

由紀をいびり倒したおっさんは紫織のお父さん
由紀はそんなことを知らずに、紫織の冤罪痴漢の話を聞き、おっさんの動画をネタに強請ろうとするも10万払われず警察に通報されて逮捕される

その事により紫織もイジメに合い、由紀も敦子も離れていった
そして自殺をしようと遺書を書く

総評

さすが湊かなえ作品
全ての登場人物に無駄がなく、これでもかと繋がっていく
少しだけ名前の出た人物もここでサラッと触れたことも、さり気ない些細な事だと思った事がキッカケになっていたり、忘れかけていた出来事が、え?それ?となる一番コンパクトにまとまっているのではないだろうか

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