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秘密

程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします

東野圭吾さんのSFやファンタジー系のジャンルだけれど、切なく苦しいてとも壮大な愛の作品

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。

「BOOK」データベースより

苦しくて切ない

今まで何の不自由もなく当たり前に過ごしていた日常を襲ったバス事故
受け止められない現実
最愛の妻は娘を身を挺して守った
でも娘も意識不明
状況が分からないまま妻の葬式、そして目覚めた藻奈美は「直子」と妻だと言う
この時点で藻奈美の意識が戻ったのに、娘は?
夫婦から親と子どもとして、心は夫婦としての生活

担任の先生に抱く仄かな恋心にも敏感に感じ取るけど、どうすることも出来ない

中年になりつつある平介と青春を謳歌する藻奈美
自分は先生への恋心を諦めたのに
色んな複雑な感情入り混じる嫉妬から、藻奈美への執着

好きで今までは何の問題もなく抱き合えていた関係だったのに、それが出来ない2人がギクシャクしてしまうもどかしさ

ある時藻奈美が戻った
直子と行ったり来たりの生活
嬉しい反面、どっちも消えてほしくない

そしていつしか藻奈美が長くなり、直子は最初に平介とデートした場所へ行き、最後のお別れをする

藻奈美は大人になり結婚をする

壮大な愛

藻奈美の結婚指輪は直子の結婚指輪を再生依頼していたことを知る
直子の指輪は藻奈美は知らないはず
直子は藻奈美として生きることを選んだ
平介と最後のお別れをしたのも、平介と自分に対してのケジメ

それに気づいた平介
でももう遅い
藻奈美は絶対に認めない

藻奈美の中身は直子なのは、平介と直子の秘密
藻奈美が直子のままなのは、直子の秘密
直子のままを知っている、平介の秘密

秘密がトリプルミーニングだった


読了

ずっと複雑だった
嬉しい反面、それぞれの恋心、親子関係に複雑な思いを抱いたまま
若くなってやり直せる羨ましさ
自分の身体じゃないのにやり直さなければいけない責任
夫婦で大好きなのに親子の壁
元には戻れない関係

藻奈美が戻って来てからの、直子が消えるかもしれない焦り
事故の時に直子は死んでいるのに、目の前の藻奈美の中にいる
いよいよ直子との別れの時

ずっと頁めくるごとに切なくて苦しくて受け入れて
結婚式の指輪でのエピソードでの発覚した現実

これでいいんだ

直子の選んだ道、平介も藻奈美の事も自分自身も全て受け入れた選択に壮大な愛を感じSFとかファンタジー苦手なわたしでも、読了後のなんとも言えない切ない想いを抱けた

きっとハッピーエンドなんだ

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