けあらしの中で船の汽笛が聴こえたら
恋って、安直かもしれないけれど、微かに桃色がかっている。ほわほわっとしたまあるい感触がある。それは言うなれば苺大福のようで、頬ずりしては心が緩む。心が微笑む。食べてしまうのがもったいなくて、手のひらの上にちょこんと乗せては、大事そうに眺めて、両手で優しく包み込んでは、心がまたにこりと微笑む。
ひとつの恋が終わる時。それは手のひらの苺大福が消えてしまうことを表す。確かにあったその優しい重みは何処へやら。手のひらでそよぐ、からっぽの空気の冷たさにびっくりしてしまう。
ひとつの