yaneko

境界線のないもの、ポーシロスチ

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境界線のないもの、ポーシロスチ

最近の記事

🫧 thanks to my 2023 🫧

 気がつけばもう年の瀬ということで、2023年の赤裸々ダイアリーを公開します。  InstagramやTwitter、Threadsなど、各SNSで日頃から思いの丈を述べている方ではありますが、紙媒体でも毎日日記をつけたりつけなかったりしていて。今年はなんとなく気が向いたので、それらから一部を抜粋し、ここにぎゅっとまとめてみることにしました。  2023年も色々ありました。1月に転職して、色々と抱えて沈んで、気がつけばフッと限界がきて、秋口にまた転職。ようやく自分の心地よい

    • a bookmark fluttering in the library 🍂

       2023年11月、すっかり寒くなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。  私はといえば、少し前から図書館で働き始めました。今日はその話をしてみます。   私の働く図書館は、静かで、天井が高く窓も大きくて、テラス席もあるきれいなところで、私が学生時代によく過ごした地元の図書館とすこし似ている。  なかでも私は、私より遥かに大先輩の経年資料がしーんと寝静まっている、薄暗くて少し埃っぽい大きな書庫が好き。本を抜き取る時は優しく呼び起こすようにそっと触れる。  自分の背より高く

      • 濡れた路地裏のツインドラムと練りゆく黒猫

         渋谷の中心地にある流行りのカフェで、シャンピニオンのガレットを食べた。前に座っているのは、某大企業でデータアナリストとして、エンジニアとして、プロジェクトのチームリーダーとして、採用担当者として多面で活躍されていらっしゃる方、私と同様社会人4年目らしい。  ガレットは色とりどりで華やかに見えるけれど、チーズも生ハムもリーフもそれぞれがそっぽを向いている。むしゃむしゃと頬張りながら社会人になってからのことを思い返し、ぼうっと塞ぎ込む。  近年悩むことは毎度同じで、堂々巡りで

        • lostandfound

           2022年3月13日 23時26分のこと。  普段は素っ気ない母親から、いきなり長文のLINEが届いた。  私はこの夜、生まれて初めて、自分の父親を見た。  1996年8月11日。私が生まれる1年前。大阪堀江 "SOUL FUCKTRY" で行われた、4周年パーティの、5時間以上にも渡る大記録。  ディスコ・クラブの全盛期だと母は言う。よく喋るDJ、若者たちも野次を飛ばしながらぎゅうぎゅうにして踊っている。  その若者たちの中で、スラッと背が高く、体格も良く、長い

        🫧 thanks to my 2023 🫧

          落ちぶれた天使からのお願い

           私は地球初心者の宇宙人だと心の底から思っているのですが(その話はまたどこかで)、最近、地球での生活が、少し、しんどい。  一般常識?  お堅い社会の仕組み?  地球で善かれとされている数々のルール。  本当に知らない。分からない。  この、地球というところは、私に理解できないルールが沢山あって、人々はそれを暗黙の了解として大人になるにつれどんどん心得、平然と生活している。  「普通は〜〜でしょ」って言葉を今まで何回も何回も聞いてきたけれど、「普通」が何なのかさっぱり分

          落ちぶれた天使からのお願い

          けあらしの中で船の汽笛が聴こえたら

          恋って、安直かもしれないけれど、微かに桃色がかっている。ほわほわっとしたまあるい感触がある。それは言うなれば苺大福のようで、頬ずりしては心が緩む。心が微笑む。食べてしまうのがもったいなくて、手のひらの上にちょこんと乗せては、大事そうに眺めて、両手で優しく包み込んでは、心がまたにこりと微笑む。 ひとつの恋が終わる時。それは手のひらの苺大福が消えてしまうことを表す。確かにあったその優しい重みは何処へやら。手のひらでそよぐ、からっぽの空気の冷たさにびっくりしてしまう。 ひとつの

          けあらしの中で船の汽笛が聴こえたら

          ロマンティックメランコリーは美味しいし、サガンはきっと、マリア様。

          神保町のとある古本屋さんにて。 路地に面した、堂々たる本棚の中から1冊、 ブルーが際立つ装丁の美しさに惹かれ、思わず買ってしまいました。 フランス人作家、フランソワーズ・サガンの 『冷たい水の中の小さな太陽』 まずは簡単に、あらすじを。 パリの新聞社勤めの30代独身男性ジルは、いつも友人に囲まれ、陽気に遊んで暮らしていたが、突然ノイローゼに罹り、すべてに倦怠を感じるようになる。 彼は休養のために、美しき愛人エロイーズをパリに残したまま、故郷リモージュの姉の家に帰る。

          ロマンティックメランコリーは美味しいし、サガンはきっと、マリア様。