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a bookmark fluttering in the library 🍂

 2023年11月、すっかり寒くなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 私はといえば、少し前から図書館で働き始めました。今日はその話をしてみます。 



 私の働く図書館は、静かで、天井が高く窓も大きくて、テラス席もあるきれいなところで、私が学生時代によく過ごした地元の図書館とすこし似ている。
 なかでも私は、私より遥かに大先輩の経年資料がしーんと寝静まっている、薄暗くて少し埃っぽい大きな書庫が好き。本を抜き取る時は優しく呼び起こすようにそっと触れる。
 自分の背より高く立ち並ぶ本の見出しの文字がぼんやりとぼけて、文字の隙間が木漏れ日のようにしゃららと映る。図書館にいると森林の中にいる時と同じように、深呼吸が歓迎され、みるみると心が回復されてゆく。少なからず、私に与えられた名前との相性なんかもあるんだろうな、とも思ったりする。

 普段自分が手に取らないようなものも含めて日々色々な本に出会うけれど、たまたま手にしたものが友達が好きだと言っていた作家さんの作品だと少し嬉しい。私が好きな作家さんの本を予約している方がいらっしゃったらそれも嬉しい。(天沢聖司くんですか?)

 日頃の業務といえば、貸出/返却カウンターでの利用者様の応対はもちろんのこと、返却された沢山の本を分類番号順に棚に戻していったり、本棚を綺麗に整理したり、予約本のピックアップをしたり、本をめくって修理が必要ないかの中身チェックをしたり、本の装備をしたり。
 人と関わり、言葉に触れ、指を使い、手を使い、頭も使って、足も使う、そのバランスがとても心地よく、退勤時はいつも程よく疲れていて働きがいを感じている。
 (来月からは読み聞かせもデビューするので、声を使うことにもなる。ちょうど最近「ポエトリーリーディング」というものにかなり惹かれていたのでタイムリーなお仕事でワクワクしている。)
 ただこの上に述べたことは図書館業務のほんの一部で、まだ全然上手にできていないし、知らないことの方が断然多くて奥が深い。

 図書館では金銭授受が一切発生せず、市民の知る自由を保証する場として、誰に対しても等しく開かれている。それは私がいつか実現させたいと考えている平和で穏やかな「まち」や「聖堂」のようなものともシンクロしうる部分があり、自身が身を置く空間として最適なように思う。

 昔にせっかく築いたいわゆる「学歴」のようなものも特別活かすこともないまま、世間一般的に「稼げない」とされているお仕事に就いたわけだけれど、お金はなくとも、時間や心労に追われて毎日下を向きながら仕事をしていたあの時よりも遥かに幸福で満ち足りた生活をしている。
 自炊も良くするようになったし、平日の夜でも人と会うようになったし、気が向いた時には、大きな車に乗って自販機のドリンクの補充をして回るお仕事をしたり、バーや酒屋さんのお手伝いをしたりと、遊ぶ気持ちで別の仕事に行く。どことなくウキウキと浮ついた日々を過ごしているので、せめて交通事故には気をつけたいなと、道路を渡る時によく左右を確認するようになった。

 社会人4年目にして2度の転職。なんとか自分なりにバランスの取れた心地よい生活を送っていけそうで、大好きな季節と共に平穏の訪れも感じている。

 冗談半分で静かに憧れを抱いていた「図書館の栞さん」。焦らず、少しずつ、されど懸命に、大切に育てていきたい。

最近の私の気持ち。



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