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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#病院

【取材した怪談229】神奈川の廃病院

文章取材:三十代男性 ・・・ 私は子供の頃、神奈川の田舎に住んでいました。 自然があふれる場所だったのですが、その自然の中にはあまり似つかわしくなく、昔病院として使われていた建物が廃墟として残っていました。 もちろん施錠されているので中に入ることは出来ず。そして入口の前には車を数台停められるようなスペースがありました。 夜になると近くの空き地や公園には不良連中が屯していることも多かったのですが、その病院の駐車スペースに人がいることは一度も見たことはありませんでした。

【取材した怪談話167】廃病院、二題

1話目:話者・二十代女性Rさん 朝倉病院っていう廃墟、知ってますか? 埼玉の心霊スポットです。廊下に放置された車椅子が有名なんですが。 そこに男友達が五人ぐらいで夜に行ったらしいんです。スマホで録画しながら建物内を周ったみたいですが、その時は何もなくて。で、あとで録画を見返してみたら、女性の声が入ってたんです。 「あはは」っていう笑い声や、「そうだよねえ」っていう同意するような声でした。ただ声が入ってるんじゃなくて、男友達らの会話に参加してるような感じなんですよ。もちろ

【取材した怪談話145】死神の部屋

「死神の部屋、というのがあるんです」 声を落としながら、Jさんは語り始めた。 彼の母親は看護師で、数年前に建てられた病院で勤務している。 その〈死神の部屋〉は、ある六人部屋の病室だそうだ。自力歩行が困難な高齢患者が割り当てられる病室だ。その病室の中には、個室トイレが設けられている。 「母が夜中に巡回する時、その病室の個室トイレの電灯が点いていることがあるみたいです。暗がりの中、トイレの扉の下の隙間からオレンジ色の光が漏れているのがすぐ分かるそうです」 そのトイレの電灯

【取材した怪談話143】夜間警備・病院

Jさんが警備会社に勤務していた頃、先輩男性から聞かされた体験談だそうだ。 先輩が夜間の病院に点検を担当した時のこと。その病院は夜間に無人となるため、夜勤の警備員が巡回点検することになっている。警備員の巡回は、一人で実施する。 夜の一時ごろ、先輩はその病院に到着した。真っ暗の大型の病院のため、点検場所を正確に把握できない。このような場合、警備会社の管理センターに連絡して病院内の各所に設置された監視カメラを遠隔操作で起動してもらうことになっている。センターに居る担当者がカメラ

【取材した怪談話127】邪魔

理恵さんが高校生だった頃、入院中の母親の見舞いに行った時のこと。 面会可能時間よりも少し早めに病院に到着したため、ひとりで待合室の椅子に座って待っていた。その日は、祖父と病院で合流する予定だった。 椅子に座っていた理恵さんは疲労を憶え、うつらうつらと眠気に襲われる。座ったまま、眠りに落ちてしまっていた。 「じゃーま」 自分の頭上から、抑揚のない乾いた女の声が聞こえるとともに意識が覚醒した。 あ、こんなところで眠ってたら邪魔になる。 早く、どかなきゃ。 反射的にそう

【怪談実話109】ロッカー

Aさんには、看護師の友人Bさんがいる。 二十年以上前、Bさんは当時勤務していた病院で救急搬送の処置室に配属されていた。 「忙しいのは仕方ないけど、毎日、人の生き死にに関わるのは辛いわ。でもまだ新人やからワガママ言われへんねん。病棟勤務行きたいわぁ」 時折り電話で話すBさんの声からは、疲労感が伝わってきた。また当時の同僚に関しては、次のように話していた。 「同僚の看護師はみんな歳近いねん。一人は男の子なんやけど、オネェやねん」 「え? 面白そう!」 「そうでもないねん。見

【怪談実話98】巻き戻し

霊感の強い男性Tさんは30代の時、精巣癌を患ったことがある。疾患が判明した時点で既に末期だった。全身に転移が進行している可能性が高く、助かる見込みが極めて薄かったそうだ。 もう自分は長くないと思った彼は、残された時間で何ができるか、自問自答していた。その結果、家族に金銭を残したいと思うに至り、当時住んでいた地域のパチンコ店の景品交換所の場所を全て調べ上げ、強盗を計画していたほどだった。 だが検査の結果、奇跡的に癌の転移が全く認められず、精巣腫瘍の摘出により一命を取り留める

【実話怪談73】紳士

看護師Rさんから、病院の内科病棟で勤務していた時の体験を教えていただいた。 ・・・ 今から5年前、外科病棟から内科病棟へ異動となった時の不思議な体験です。 内科病棟で半年入院していた患者Aさんがいました。 Aさんは70代の男性で、とても紳士的でした。挨拶をしっかりして頂き、その際もニコニコしていました。またいつも労いの言葉をかけて頂き、口調もとても穏やかでした。 その方は余命宣告を受け、歩くことも食べる事もできなくなっていました。 そんなある日、夜勤業務をしていた午

【実話怪談72】サイン

看護師Rさんから、病院の外科病棟で勤務していた時の体験を教えていただいた。 ・・・ 外科病棟でも、人生の最期を迎える患者さんがたくさんいました。 ある夜勤の日です。 個室部屋で亡くなられた70代の男性患者Aさんを、先輩看護師と一緒に霊安室へお見送りしました。夜中の1時ごろです。そのすぐ後、彼が入院していた個室に、状態の悪い女性患者Bさんを移動させました。 その後、夜中2時すぎ、先輩と一緒にその個室へ見回りに行ったのですが……。暗がりのベッドに横たわっていたのは、さっき

【実話怪談71】夫の写真

看護師Rさんから、病院の外科病棟で勤務していた時の体験を教えていただいた。 ・・・ 外科病棟でも、人生の最期を迎える患者さんがたくさんいました。 今から10年前のことです。 ある日、20時を過ぎた頃、60代の女性患者Aさんの状態が急変し、すぐにご家族に電話を入れました。 その際にご家族から、こんな返答をいただきました。 「5分前に母(Aさん)から電話があって、亡くなっている父の写真を持ってきてほしいと言われました。今日は面会時間が終わっているから、明日仕事が終わった