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【取材した怪談話167】廃病院、二題

1話目:話者・二十代女性Rさん

朝倉病院っていう廃墟、知ってますか? 埼玉の心霊スポットです。廊下に放置された車椅子が有名なんですが。

そこに男友達が五人ぐらいで夜に行ったらしいんです。スマホで録画しながら建物内を周ったみたいですが、その時は何もなくて。で、あとで録画を見返してみたら、女性の声が入ってたんです。

「あはは」っていう笑い声や、「そうだよねえ」っていう同意するような声でした。ただ声が入ってるんじゃなくて、男友達らの会話に参加してるような感じなんですよ。もちろん、現場は男性だけなので女性はいません。私も聞かせてもらったんですが、ホントに会話に混ざってるような感じでした。

※朝倉病院は既に解体済みで、建物自体は存在しない。有刺鉄線つきのブロック塀に囲まれた空き地だけが残されている。

・・・

2話目:話者・二十代女性Sさん

男友達から聞いたんですが、高校生の時にクラスメイトと五人ぐらいで廃墟の病院に肝試しに行ったらしいんです、放課後に(場所、移動手段は不明)。

病院内に入って病室、診察室とかを見て周って後、手術室みたいな場所に入ったそうです。部屋の中央に処置台がある感じです。台には何も置かれてなくて。

で、その時に気付いたらしいんですが、仲間のひとりのA君がいなくなってたそうです。建物内を探しながら、電話しても出ないし、LINEでメッセージを送ってみても既読にならなくて。「あいつ先に帰ったんじゃね」ってことになって、その日はそのまま帰ったんですって。

翌日、学校に行くとA君が欠席してました。廃病院に行ったメンバーらは「あいつ、まだ廃墟にいるのかも」と思って、その日の放課後にもう一度、廃病院に向かったそうです。

前日と同じルートで建物内を歩いて探したんですが、それでもA君は見つからず……。
それで手術室に入ったら、処置台にブルーシートが掛けられてたんです。台の上に誰かが仰向けになってて、それにシートが掛かってる感じで。前日にはそんなものなかったのに。

友達がおそるおそるそのシートをめくると、A君でした。「おい! おい!」って声をかけながらA君の両肩を揺さぶると、彼は目を覚ましたそうです。「お前何やってんだよ、こんなとこで」って聞いても、A君はぽかんとして、「俺にも分からない。記憶がなくて」と言うだけ。記憶はなくなってたんですが、身体には特に異状がないみたいでした。

その数日後、A君はバイクの交通事故に遭って亡くなったそうです。

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