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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2021年5月の記事一覧

【取材した怪談話138】唯一の夢

風香さんは、祖母を癌で亡くしている。 その祖母は、母親の再婚相手の親だった。 祖母の病死以降、風香さんはある夢を見るようになった。 夢の中は、やたらに広い原っぱが舞台。 清々しい好天の中、彼女は宙に浮いている。 ビルの3~4階ぐらいの高さだ。 原っぱの地上には、自分の親族が集合している。 老若男女の親族が全員、集まっている。 ここで必ず一度、目が覚める。 だいたい朝の4時ごろだ。 起床には早すぎるため、再び目を閉じる。 そしてまた夢を見る。先ほどの続きだ。 風香さんは

【取材した怪談話137】チったん

女性Tさんに、文章でご提供いただいた話です。 ・・・ 実家で飼っていた3匹の愛猫のうち、亡くなった<チったん>が私のところへ来た時のお話です。 チったんは、肺と腎臓の疾患、そして乳腺腫瘍まで患っていました。病院に週3回通院し、酸素室で1〜2時間過ごさせ、数日様子を見ていました。 チったんが亡くなる直前の夜まで、私が飲み薬を投与したりとお世話を任されていました。でも通院や薬での治療の甲斐もなく、チったんは天国へと昇って行きました。 チったんは11歳でした。人間でいうと

【取材した怪談話136】旧天城トンネル(静岡)

学生時代、旅行サークルに所属していた茜さんから伺った話。 ある年の12月、サークルの仲間と静岡に旅行した。4人ごとの班に分かれて車で別々に各所を巡り、夜に旅館で集合する手筈になっていた。 集合時間まで時間がかなり余っていたため、茜さんの班はノリで心霊スポットに行くことになった。誰も土地勘がないため、その場でスマートフォンを用いてインターネット上で「静岡 心霊スポット」と検索してみた。その結果、茜さんらの現在地から最も近い「旧・天城(あまぎ)トンネル」(別名=天城山隧道)に向

【取材した怪談話135】UFO?(ブラジル)(動画あり)

2017年1月14日18時半ごろ、日本人女性Cさんが旅行先のリオデジャネイロで撮影した映像です。承諾を得て掲載させていただいてます。 複数の動的な発光物体を視認できます。これらは次第に数が増え、やがて少しずつ消えていきます。現場では、画面上方の「母船」が次々に「子船」を産んでいるように見えたそうです。動画の肉声から、現場の興奮が伝わってきます。 沸き立つCさんらとは対照的に、現地の人々は「花火だよ」と言って全く興味を示さなかったとのこと。 「UFOの可能性があると思う」

【取材した怪談話134】古墳は出る

大阪府堺市といえば、中百舌鳥(なかもず)古墳群が有名である。堺市内に残存する、四十四基の古墳の総称だ。二〇一九年には世界遺産にも登録されている。世界最大の墳墓・仁徳天皇陵古墳(五世紀頃の築造)も、中百舌鳥古墳群の一つである。 二十年ほど前、終電を逃した女性Kさんは堺市の某駅でタクシーを捕まえた。以前からテレビなどで「古墳は霊が出る」と小耳に挟んでいた彼女は、運転手に訊いてみた。 「テレビとかで、古墳は出るって聞くんですけど、見たことあります?」 「おう、出るでぇ。見た見た

【取材した怪談話133】立入禁止の防波堤

雅史さんの父親は、大の釣り好きだ。 ある年の冬、彼は単独で夜釣りに出かけた。レイヤリング(重ね着)して防寒対策を施していたが、それでも夜間の冷え込みは身にこたえる。 その日の釣り場は、とある防波堤と決めていた。沖合に向かって一キロメートルほど延びる防波堤で、高さは五メートルぐらいある。標的魚種は、カサゴやシーバスだ。立入禁止区域なのだが、極めて良好な釣行環境の誘惑には抗えず、つかつかと侵入していった。アングラー(釣り人)の性である。 クーラーボックスを担ぎ、釣り竿入りのケ

【取材した怪談話132】グレーの作業服の男

バタンッ ある夜中。中学三年だった雅史さんが二階の自室で寝ていると、いきなり部屋のドアが激しく開かれた。 反射的に目覚めたが、吃驚しすぎて動けない。 敷布団に寝たままの状態で、ドアの方に視線を向ける。 全く知らない男が、ズカズカと大きな足音を響かせながら押し入ってきた。 「最初は、家に侵入してきた不審者だと思いました」 中年と思しきその男は血相を変え、すこぶる憤慨している様子だ。 仰向けになっている雅史さんの上に跨って立ち、両腕で胸ぐらを掴んでくる。 グレーの作業服。

【取材した怪談話131】別れの合図は『少年ジャンプ』

中学二年生といえば、反抗期真っ盛りの時期である。 当時の雅史さんも例外ではなく、深夜まで友人らと外で溜まり、日付が変わってから帰宅することもザラだった。自宅から徒歩二十分程度の公園で、夜な夜な友人らとキャッキャと無駄話を交わして過ごすことが多かった。 公園の上方の山の斜面には、墓地が広がっている。 ある日の夜、いつものように公園で雅史さんは友達二人と駄弁っていた。十二時を過ぎた帰り際、ふと彼がその墓地に視線を上げると、女の姿が見える。彼らが居る地点から女の位置まで百メート

【取材した怪談話130】午後三時過ぎ

「何て言っていいか分からない、不思議な体験があります」と前置きして、雅史さんが教えてくれた話。 彼が通っていた高校は、最寄り駅がB駅だった。通学に電車は使わずに自宅からB駅までバスで行き、そこから徒歩で通学していた。 高校二年の五月のある日、午後三時過ぎ。 雅史さんは授業中に睡魔に襲われ、腕組みしながら居眠りをした。そして夢を見た。 夢の中で、彼は駅のホームに立って電車を待っている。妙なのは、駅員も乗客も全く見当たらないことだ。自分が居るホームにも反対側のホームにも、誰

【取材した怪談話129】朝比奈峠(神奈川)

二〇〇六年の初夏、神奈川。 当時中学三年だった雅史さんは、同級生の友人A君、友人の母親、その母親の友人と四人でドライブに出かけた。A君とは家族ぐるみでの付き合いで、暑くなってきたから夜の海を見に行かないか、と雅史さんが誘われた形だ。 二十三時ごろ。友人の母親の運転でドライブが始まる。江ノ島方面に向かい、夜の海を堪能した。その帰り道。運転中の友人の母親が、「朝比奈峠ににある電話ボックスに、女の霊が出るらしいから行ってみようよ」と陽気な口調で言い出した。その電話ボックスは、鎌倉